『在宅輸血の実際』【#在宅医療研究会 オンライン|3月度開催レポート】

本日は、あんクリニック訪問診療の山村武史先生に「在宅輸血の実際」をテーマにご講演いただきます。山村先生は、一般内科、血液内科、そして訪問診療をご専門にしておられる先生です。在宅での輸血は、輸血に伴うリスクのことを考えると難しいことも多いので、今日のお話は非常に役に立つのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 
ご紹介いただきましたあんクリニック訪問診療の山村武史です。私は熊本県出身です。平成18年に防衛医科大学校を卒業後、一般内科、血液内科の研鑽を積み、平成28年から現職を務めております。医療法人敬正会あんクリニック訪問診療では、副院長・診療部長、あんクリニック世田谷の輸血委員長もさせていただいています。
 
本日の研究会では、以下のテーマでお話をさせていただきます。


1. 在宅輸血を取り巻く環境と問題点


まず、在宅医療の現状についてお話しするとき、日本の高齢化は避けられないテーマです。厚生労働省のデータによると、令和3年の時点で、65歳以上の方は人口の28.9%を占めていますが、45年後にはこの割合が38.4%になると推計されており、日本の社会は高齢化がすすむ一方です。また平均寿命も、45年後には女性が91.35歳、男性が84.95歳になり、現在よりも男女とも3歳以上寿命が伸びると推計されています。このような状況は、今後アジア諸国でも生じると言われておりますが、日本は高齢化においても先進国といえます。
次に血液疾患の代表的疾患である白血病罹患率の年次推移を見ると、近年罹患する人が増加傾向にあることがわかります。また白血病の年齢別罹患率の推移を見ると、白血病患者数は60歳を超えると急増することもわかります。
 
またAYA(adolescent and young adult)世代、つまり思春期や若年成人(15~39歳)の方に
おけるがんの年齢調整罹患率も増加傾向にあり、さらにAYA世代のがん患者の在宅での死亡割合も増加傾向にあります。罹患率が増えると、どうしても根治不能の患者さんが増えますが、そのような患者さんが在宅での死を選んでおられると言うことが、これらのデータから言えるかと思います。
 
血液疾患における在宅医療の現状を整理すると、次のようになります。
 
まず日本の高齢化、在宅医療患者、造血器疾患患者の増加により、在宅輸血のニーズは増加しています。そしてAYA世代も含め、終末期であっても家族との時間を大切にしたいとの思いから、在宅輸血のニーズは増えています。
 
ただし血液専門医の増加はわずかであり、なかでも在宅医療に携わる血液専門医はかなり少ないのが現状です。特に輸血療法は、その専門性や特殊性、準備のコスト等もあり、敬遠されがちです。
 
また輸血製剤が高額であること、投与できなかった場合の損失、製剤の管理や副反応への対応の煩雑さなども相まって、急性期病院からの血液疾患患者の受け入れを困難とする在宅医療機関も多いと聞いています。
 
ただコロナ禍では、入院時の面会制限や感染リスクによる通院頻度を減らす目的から、在宅医療との連携を望む声が増えてきたことも事実です。

2.輸血療法の基礎


まず輸血について、簡単におさらいをします。

a)輸血の歴史


1667年フランスのドニが、子羊の血液を貧血と高熱の患者に投与したのが輸血の始まりと言われています。ただこの時は輸血によって亡くなった方がおられたため、しばらく輸血を行うことがありませんでした。
 
1827年イギリスの産婦人科医ブランデルが、弛緩出血に対して大量輸血を行い救命したのが、輸血成功例の最初と言われています。
 
その後、1900-1901年に血液型であるABO型発見、さらに1940年にRh型発見されました。
 
1964年ライシャワー駐日米国大使が暴漢に襲撃された時、輸血を行われています。なおこの時の輸血で、大使は輸血後肝炎を発症します。この時使用されていた血液は売血によるもので、日本赤十字社を中心とする献血が供給源でした。この当時、決して安全なものであったわけではありませんが、近年では、輸血の安全性は著しく向上しています。
 

b)輸血療法


次に輸血療法について説明します。
血液は、赤血球、白血球や血小板といった細胞成分と血漿成分からできています。十分な血液を作れない場合や、出血が大量なために、生命に危険が生じる場合や、血液を固めるタンパク質(凝固因子)が足りず、出血の危険がある場合にそれらを補う必要があります。
 
輸血で補うことができる成分は、主に赤血球、血小板、血漿成分及び凝固因子になります。輸血は、それぞれの状況に適した血液製剤を選んで輸血します。白血球だけは輸血することができません。

c)赤血球輸血の採取について


通常は、献血等で血液200mLまたは400mLを採取しています。この血液から濃厚赤血球製剤が作成されており、この濃厚赤血球製剤が輸血に用いられています。

d)赤血球について


次に赤血球についてご説明します。
 
赤血球は酸素を全身に運搬する役割を持っています。けがや手術で出血したり、血液の病気や抗がん剤等で赤血球が作られなくなったりする結果、貧血が生じます。貧血が高度になると、組織への酸素運搬が障害され、体の組織は酸素不足に陥り、心臓も含めて組織が障害されてしまいます。この状況を改善するために、赤血球液の輸血を行います。なお当院で行うのは、この赤血球輸血のみになっています。

e)赤血球輸血について


赤血球輸血に用いる血液製剤としては、血液400mL中の赤血球と赤血球保存用添加液(MAP)92mLにより、濃厚赤血球2単位(280mL)となっています。
 
赤血球輸血の目的は、末梢への十分な酸素の供給、循環血液量の維持にあります。
 
適応としては、次の通りです。
慢性貧血の場合、造血機能不全が原因であれば、Hb 7g/dLが目安、消化管等からの少量長期的な出血であれば、Hb 6g/dLが目安となります。
 
急性出血の場合、臨床症状/血液検査などを参考にしますが、出血初期にはHbは低下しにくいことを意識しておく必要があります。Hb 6g/dL以下では、輸血は必須です。
 
血液製剤の識別ですが、A型、B型、O型、AB型で色分けされたラベルが貼付されているため、容易に識別できます。
 
すぐに使用する場合は、常温の運搬が可能です。またすぐに使用しない場合は専用冷蔵庫を利用し、2~6℃で保存します。
 
使用する際の留意点として、通常は加温せずに輸血すること。ただし急速大量輸血などでは、専用加温器(37℃)で加温するようにします。
 
ABO式血液型の復習です。

赤血球型    A型      B型     AB型      O型
抗体      B抗体     A抗体    なし       A/B抗体
抗原      A抗原     B抗原    A/B抗原    なし

ABO式以外にも、300近い不規則抗体があると言われています。
 赤血球輸血の一般的な流れです。

輸血予定患者がいる場合、まずABO血液型、RhD血液型、そして不規則抗体のスクリーニング検査をします。

通常は、ABOおよびRhD同型の赤血球製剤を準備します。不規則抗体を持っている方などの場合、検査結果や患者の状態に対応した赤血球製剤を準備します。
その後、交差適合検査(コンピュータクロスマッチ)を行い、適合する場合にのみ輸血を実施します。なお緊急時は、緊急度に対応した血液製剤を準備します。交差適合試験(クロスマッチ)についてですが、クロスマッチには主検査と副検査があります。

 主検査では患者の血清と輸血用血液の血球、副試験では患者の血球と輸血用血液の血清を掛け合わせることで、実際に輸血をした際にトラブルが生じないか確認をします。
主検査、副検査ともに陰性であれば、輸血可能です。主検査のみ陰性、副検査陽性であれば、原則的に不可、主検査陽性、副検査陰性であれば、輸血不可、そして主検査、副検査ともに陽性であれば、輸血不可となります。

3.当院での在宅輸血と医療連携


 輸血のタイムラインの違いについて説明します。

基幹病院で輸血を受ける場合、自宅を当日朝出発、病院で採血をしてもらってから1時間後には輸血が開始でき、2時間ほどで終了。会計や自宅までの移動を考えると1日がかりとなります。

 クリニックで輸血を受ける場合、クリニックを受診し、採血をしてもらったらすぐに輸血を開始することができます。通常は2時間後には輸血が終了、受診してから3時間ほどもあれば帰宅できます。

 在宅で輸血を受ける場合、輸血を行う数日前に採血し、交差試験。輸血当日は往診し、輸血を開始します。その後しばらくして訪問看護が入り、状態の確認。輸血開始後2時間ほどで輸血は完了。在宅で輸血する場合は、すべてを自宅で受けることができます。

 ここで当院での輸血準備についてご説明します。

 あんクリニック世田谷では、輸血委員会を設置しています。輸血委員会は、輸血委員長、世田谷院院長、副委員長(輸血担当看護師)、総務部長、医療連携部相談員、医事部事務員で構成されています。

 当院では輸血が必要な在宅患者さんが発生すると、主治医から輸血委員会に報告、相談する仕組みになっています。輸血委員会では、依頼を元に協議し、輸血の可否を判断します。その際、患者さんの状態等も加味して検討されます。輸血委員会の許可が得られたら、在宅で輸血を行っています。

この間、委員会が訪問看護師との調整も行います。

 輸血を行うことが承認されたら、主治医は依頼書を作成、チェックリストに基づいて準備を進めます。患者さんやご家族に輸血に伴うリスクの説明がなされており、輸血に対する同意が得られていること、輸血することで悪化する恐れのある心不全や腎不全がないこともチェックリストに基づき確認することになっています。

 輸血の同意書は一般的なものですが、在宅で行うリスク(観察が不十分になることなど)や輸血の副作用について、本人やご家族にも説明をして、同意を得ています。

 当院で輸血を行う際の基本的な流れです。

 まず輸血日を決定します。そして輸血を実施する3日前に、血液を採取します。当院では採血後に外注で検査をしますので、採血日は検査の実施が可能であることが必須です。同時にクロスマッチ用の血液も採取しています。クロスマッチ用血液は、冷蔵庫で72時間程度の保存が可能です。

 輸血2日前に血液製剤をオーダーします。オーダーは、日赤からはウェブでの対応を推奨されていますが、当院では間違いが起こる可能性を懸念し、まだFAXでオーダーをするようにしています。今後は、輸血委員会等で審議して、ウェブ対応に変更する可能性はあります。オーダー時は、間違いがないように看護師が二人でダブルチェックするようにしています。

輸血実施前日に、輸血用の血液製剤を受領。その後、クロスマッチ検査を提出するため、この日も検査が可能であることが必須条件です。また血液製剤を受領する世田谷院が、受領可能な体制であることも条件になります。血液製剤の受領時は、バーコードを用いて間違いのないよう受領します。製剤番号等もダブルチェックしたのち、クロスマッチを行います。その間、血液製剤は温度管理した環境(冷蔵庫)で保存しています。

 輸血当日は、訪問看護師が輸血中に患者さん宅を訪問するため、訪問の時間が調整可能であることも条件となります。ただし調整困難な場合は、当院の待機看護師がいれば可能な場合もあります。保存場所から血液製剤を出庫する際は台帳で管理しており、温度管理ができる専用のボックスに入れて、患者さんのところに運搬します。これは温度記録ができる装置を用いて確認をしていますが、夏の暑い環境であっても、ほぼ一定の温度で運搬できていることが確認できています。実際の輸血を行う際は、自宅のベッドで横になっておられる患者さんのそばに点滴台を設置し輸血を行い、看護師が頻回に確認します。

 患者さんはTVを見たり、お菓子を食べたりしながら、輸血を受けられています。なお、万が一有害事象が発生したとしてもすぐに対応できるよう、必要となる物品も患者さんのそばに配置するようにもしています。

当院ではすべての医師が輸血をすることができるよう、その質を担保する取り組みも行っています。例えば輸血前の検査、輸血後の感染症などの検査で必要となるスピッツは、目的に応じて使用するスピッツの種類や採血量がわかるようにマニュアルを作成しています。輸血を行う際に必要となる物品は、セットにしています。ちなみに当院では輸血の際に副作用対策としてポララミン(抗ヒスタミン薬)を投与することにしていますが、これもセットに含めています。合わせて緊急対応が必要となる時のアドレナリン等の薬剤もセットにしており、いつでも使用できるように備えています。

 輸血実施記録は一般的な記録用紙を用いています。発生した副作用も詳細に記録できるようにしています。また出庫から実際に使用するまでの記録、ダブルチェックした際の実施者のサインも残しています。最初の30分は当院の看護師、そのあとは訪問看護師の方が状態を確認しますが、それぞれが確認したことも記録できるようにしています。この用紙は二部用意しており、一部は私たちが持ち帰り、もう一部は訪問看護師の方がすべて終了した後に持ち帰り、その後ファックスしていただいて、最初の一部に添付するようにしています。

 輸血に伴う副作用については、副作用の時に見られる症状を一覧にし、症状に応じてどのような副作用が考えられるか、訪問看護師の方が見られてもわかるように表を作成しています。

 専門的知識を要した症例も2症例あります。ひとつはダラツマブ(抗CD38モノクローナル抗体)の影響を受けた症例、もうひとつは直接抗グロブリン抗体(Direct antiglobulin test: DAT)陽性製剤への対応を必要とした症例です。

当院の輸血実績についてです。2019年11月に開始しました。

  • 2019年 総輸血回数7回 総単位数 14単位

  • 2020年 総輸血回数9回 総単位数 18単位

  • 2021年 総輸血回数61回 総単位数 124単位

  • 2022年 総輸血回数147回 総単位数 298単位
    合計 総輸血回数224回
       総単位数 454単位

 このように徐々に増加しており、現在は3日に一回以上は輸血を行っている状況です。なお輸血副作用は、TACO疑い以外に発熱が2回程度です。

 私たちは、全員が輸血に対応できることを目指していますので、職員教育のための勉強会も積極的に行っています。講義をするだけでなく、緊急時対応のシミュレーションを行うこともあります。

 在宅での輸血はまだ敷居が高いとお考えの方たちのために、トータス往診クリニックの大橋先生が運営されている、「NPO血液在宅ねっと」についてご紹介します。血液患者支援を目的に活動しておられるグループですが、「NPO血液在宅ねっと」が目指す4つの柱として、血液患者支援、基幹病院支援、地域・在宅支援、啓蒙活動・情報収集を挙げておられます。先ほどご紹介した血液製剤を運搬する装置の貸し出しもしておられます。

4.まとめ

 
当院における在宅輸血の概要等を説明しました。

 在宅医療患者、造血器疾患患者の増加により、在宅輸血のニーズは増加していますが、対応できる医療機関や事業所は不足していることもご紹介しました。

 在宅医療機関は、急性期病院や他職種と連携を図りながら、在宅(輸血)患者が自宅においてQOLを保ちながら、より良い生活を遅れるようなシステム作りを進めていく必要があります。

 謝辞です。
NPO血液在宅ねっと・・大橋晃太先生
株式会社スギヤマゲン様
株式会社KNラボラトリーズ様

 
ご清聴ありがとうございました。

5.質疑応答

 

Q. 在宅での輸血の間、訪問看護師がずっと滞在するのでしょうか?また輸液路(ルート)の確保は、医師が行うのでしょうか?
A. 初めて輸血をする場合、また最初の数回は、当院の看護師が滞在するようにしています。その後は必ずしも全例において訪問看護師がずっと滞在しているわけではありません。ご家族の協力も得ながら、状況に応じて対応しているのが現状です。輸血のための静脈路(ルート)については、すべて医師が確保するようにしています。また必ず血液製剤が漏れることがないか、輸血をしても問題がないことを確認してから、輸血を開始するようにしています。

Q. 訪問看護師です。輸血の間、訪問看護師が2時間近く滞在することになるようです。この時間の請求は介護保険の長時間加算で対応されるのか、特別訪問看護指示書などを発行し、医療保険での対応で実施されているのか、どちらでしょうか?
A. ケースバイケースです。どの保険を利用するかは、訪問看護ステーションの事業者やケアマネージャーの方達と相談して決めています。

Q. 訪問看護師です。輸血の間、訪問看護師が2時間近く滞在することになるようです。この時間の請求は介護保険の長時間加算で対応されるのか、特別訪問看護指示書などを発行し、医療保険での対応で実施されているのか、どちらでしょうか?
A. ケースバイケースです。どの保険を利用するかは、訪問看護ステーションの事業者やケアマネージャーの方達と相談して決めています。

Q. 地方の開業医です。血液の入手は日赤かと思いますが、簡単に手に入りますか?都会だからできることなのでしょうか?
A. 確かに献血者が多い都会だからできるという側面はあるかもしれません。ただ日赤は血液を提供したいとの意向です。地方ごとの状況に合わせた工夫が必要でしょうが、地方での対応も可能かもしれません。

Q. 訪問看護師の立場では、やはり輸血の副作用が懸念されます。在宅での副作用の対応で注意すべきことはありますか?また先生がご経験された重篤な副作用の事例はございますか?
A. 当院では赤血球輸血をかなり行っていますが、副作用は発熱が数件でいずれも軽微なものでした。アレルギーと思われた事例もステロイド投与で改善しています。重篤なものはTACO(輸血関連循環過負荷)が疑われた事例です。輸血後血圧が180近くまで上昇し、血中酸素飽和度が下がった事例がありました。実は元々心臓が悪かった方ですが、その情報が病院から私たちに伝わっていませんでした。対応としては、患者さんに酸素投与しながら利尿剤を投与しましたが、なかなか改善しなかったため、最終的には病院に搬送しています。こういった重篤な事例が発生することを心配される訪問看護師の方もおられます。ただ先ほどもご紹介した、事前のチェックリストを用いて、副作用の発生につながるような心臓や腎臓の疾患がないことを確認しておくことで、安心して安全な輸血が可能になるのではないかと考えています。安全のための必須事項がクリアできない場合は、病院で輸血を受けることをお勧めしています。

Q. 輸血のための静脈路(ルート)は末梢静脈でしょうか?
A. 基本的には末梢静脈から静脈路(ルート)確保できることが必須条件です。

Q. CVポート(中心静脈)からの輸血も可能ですか??
A. 基本はCV(中心静脈)からの輸血は勧められていません。当院では基本的に対応していません。

Q. 輸血施行時は、全員の患者さんにおいて在宅酸素(HOT)導入が必須になっていますか?
A. すべての患者さんで導入しているわけではありません。高拍出性心不全等がある場合は必要だと思いますし、状態に応じて適宜導入を検討することにしています。ただあったほうが、万が一の時の対応はスムーズになるかと思います。

Q. 訪問看護師です。滴下速度や有害事象の観察時間にガイドラインとの違いはありますか?また副作用出現に備え、アドレナリン等も準備しておられるとのことでしたが、実際に副作用が出た時は、その対応をフローチャートなどで定めておられるのでしょうか?ドクターからの指示を仰ぐのでしょうか?
A. 輸血のガイドラインでは、輸血開始後15分は観察することになっていますので、15分は必ずいます。初回、2回目くらいは30分ほど当院の看護師が観察するようにしています。副作用が出現した場合は、ドクターコールですぐに対応できるようにしています。また輸血を実施している間は、実は輸血中の方の周辺のお宅を回るようにしていますので、何かあればすぐに駆けつけることができるように配慮しています。

Q. アルブミン製剤を投与するときも、輸血製剤と同じように訪問看護ステーションから対応しているのでしょうか?
A. アルブミン製剤の投与は、当院では行っていません。やはり有害事象が懸念されますので、病院で実施していただくことをお勧めしています。

Q. 輸血終了後の輸血パックの回収はどうしておられますか?
A. 終了後は静脈路(ルート)を抜いた後、すべて輸血製剤の入っていた袋に入れていただき、冷蔵庫で患者さん宅に保管していただいています。その後当院から往診する際に、患者さんのお宅から回収するようにしています。

Q. 末梢静脈路(ルート)の確保は18ゲージを使用していますか?医師が静脈路(ルート)確保していますか?末梢が確保できない場合は、どうしていますか?
A. 私たちは22ゲージを使用しています。それで問題になることはありません。医師が静脈路(ルート)確保し、CVポートからの輸血は行ってません。末梢静脈路(ルート)が確保できない場合は、在宅ではなく病院で輸血をしていただくようにしています。

Q. 1回あたりの患者負担はどの程度でしょうか?
A. 値段についてはよくわかりません。赤血球製剤は1パックで18,000円くらいします。保険でカバーするものではありますが、ある程度の金額になることも想定されます。この辺りは、輸血の前に患者さんや家族に説明できるように、事務職員により説明文書が作成されています。

Q. 在宅輸血による延命、QOL向上の事例があれば教えてください。
A. 終末期において、輸血による延命は推奨されていませんが、再生不良性貧血・非がん患者さんが通院せずに済んでいるという観点でQOLの向上は認められています。輸血をすると、症状が改善し、散歩や入浴ができるようになるので、QOLが改善していることはわかります。

Q. 同日に2種類の輸血をすることはありますか?この場合、輸血製剤の交換は訪問看護師が行うのですか?
A. 当院では赤血球輸血しか行いませんので、異なる種類の血液製剤を交換することはありません。ただ赤血球製剤を2パック、合計4単位の輸血をすることはあります。この場合、最初の15分は当院で観察し、その後は訪問看護の方に交換も含めてお願いしています。2パック目も最初はゆっくり滴下し、症状発現を観察するようにお願いしています。



今後の予定につきましては下記リンクよりご確認ください。
医療職・介護職・福祉職の方であればどなたでもご参加いただけます。


 

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