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2020年度の摘発は500人を突破、コロナ禍で大きな社会問題となっている補助金・助成金の「不正受給」とは?

補助金ポータル編集部です。

2020年度は新型コロナ感染症の影響から企業の活動や国民生活を守るため、過去に類を見ないほど大きな規模で様々な補助金・助成金制度が実施されています。

政府はこのような状況の中、支援がより迅速に多くの人に行きわたるよう、各制度の手続きや審査の簡素化などに取り組んできましたが、これらの対応は一部では補助金の不正受給や、制度を利用した詐欺の誘発にもつながり、2020年度は今年2月の段階で全国で500人以上が不正受給等によって警察の摘発を受け、被害総額は既に4億円以上にのぼっています。

そこで、今回はこれから補助金制度を利用する方が誤って事件に巻き込まれてしまわないよう、「補助金・助成金の不正受給」とはいったいどのようなものなのか、過去の事例などを踏まえて紹介したいと思います。

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2020年度の摘発は500人を突破、コロナ禍で大きな社会問題となっている補助金・助成金の「不正受給」とは?
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★不正受給とはいったいどのような事を指すのか?

通常、補助金や助成金は制度ごとに定められた申請要件を満たす者のみが申請可能で、審査に通り実際に現金が給付された場合には、その後も制度上定められた報告を定期的に行い、給付金によって購入したものがあれば一定期間保持しなくてはならないなどのルールを守る義務があります。

「不正受給」というと、悪意を持って不正にお金をもらうことと考えてしまいがちですが、実際には虚偽申請はもちろんのこと、事業開始後の状況報告をしない場合や、管轄当局による検査を拒否した場合なども不正受給として給付金の返還等のペナルティを受ける事になるため、制度を利用するためには細心の注意が必要です。

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◆不正受給の代表的な手段

◇1.発注書の日付の改ざん

事業者としては補助金が採択されるにしろされないにしろ、設備の導入計画等が決まっているのなら直ぐにでも事業に取り掛かりたいところですが、補助金制度では一部の「事後申請」が認められているものを除き、採択前に事業(発注も含む)を行った場合、その経費は補助の対象とすることが出来ません。

「発注書の日付を改ざんして期間内だったことにすれば補助対象にすることが出来る。」という考え方から横行している不正受給の手段です。


◇2.経費の水増し

補助対象となる経費を水増しして受給額の引き上げを計るのもよくある手口の一つで、取引相手がリベートを受け取って領収書の改ざんに協力するなど非常に悪質なケースも目立ちます。

当然刑事告発の対象となるため、加担した者は非常に大きな社会的制裁を受ける事になります。


◇3.財産の処分等

補助金等の交付を受けて購入した設備や機器などを譲渡、交換、貸付け、担保などにして利益を得ることも、本来の補助金の目的と異なるため不正受給の対象となります。

やむを得ず設備を手放す場合なども各省各庁の長の承認を受ける必要がありますので、注意が必要です。

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◆不正受給をした場合のペナルティは?

不正受給をした場合、申請者には下記のようなペナルティが課されます。

・受給額+違約加算金(年10.95%)を支払う
・管轄省庁のホームページに事業所名等が掲載される
・詐欺罪などで刑事告発の対象となる

このネット社会において、不正受給によって社名や個人名がネット上で広まったしまうことは、その後の事業活動にも大きな影響を残すことになります。

積み上げた信用を全て失うことにもなりかねませんので、補助金等の運用には細心の注意が必要です。

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◆コロナ関連で発生している補助金の不正受給

(1)家賃給付金関連

2021年3月新型コロナウイルスで売り上げが減少した事業者に支給している家賃給付金を不正受給したとして、ウェブ制作会社A(東京・港)に給付の取り消しと返還請求をしたと発表した。

給付金は家賃の12分の1を3カ月分補助する。同社は8万5千円の家賃を18万5千円と偽って申請し、2020年9月に4万6250円を受給した。警視庁からの照会を受けて都が確認したところ同社が認めたという。返還され次第、都は違約加算金も請求する。

(2)持続化給付金関連

2021年2月、新型コロナの影響で収入が減った事業者が受け取れる持続化給付金をだまし取ったとして男3人が逮捕、虚偽の事業内容に基づいて申請を行い現金をだまし取った罪に問われています。

このほか他人に対しても虚偽申請の勧誘を行っていたことがわかっており、一連の詐欺について3人を含め計7人が起訴されています。

(3)雇用調整助成金関連

2021年3月、新型コロナウイルスの影響に伴う国の助成金200万円余りをだまし取ったとして、札幌市の整骨院経営者の男ら2人が逮捕されました。

2人は去年6月から9月にかけて整骨院の事業を縮小したり従業員のべ22人を休業させたと嘘の申請をして国の「雇用調整助成金」約219万円をだまし取った疑いです。

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★まとめ

一律10万円の現金給付「特別定額給付金」により、一気に身近な存在となった政府の給付金制度ですが、補助金制度・助成金制度は本来厳格な審査を通過し、定められたルールを順守することを条件に、公的機関からの金銭面での支援を受けられる制度です。

「申請すればお金がもらえる」などという甘い言葉をきっかけに、学生などが軽い気持ちで詐欺に加担してしまうケースも多く発生していますので、不安を感じる場合には公的機関や専門家に一度は相談してみるのが良いのではないでしょうか。

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