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何気に台湾に最も近いポジションのフィリピン。



共産党ラブなドゥテルテさんからマルコスJr.に政権が移り、マルコスさんの優秀さが目立ってきた。

マルコスさんは当初、「ドゥテルテ路線を引き継ぐ」として、ドゥテルテ支持者を上手く取り込んだ。

マルコスさんは冷静にフィリピンの地政学的リスクを見ており、自身の発言でも「台湾有事の際にフィリピンが無関係でいられるとは思わない。最前線にいる心境」と発言している。



その発言も宜なるかな。スカボロー礁やスプラトリー諸島には既にChinaの基地がつくられ、更に排他的経済水域内のミスチーフにも基地が作られている。

フィリピンを挟んで大陸側の第一シーレーンと太平洋側の第二シーレーンと分かれており、フィリピンが「西フィリピン海」と呼びたがる海域は各国が領域を主張し合っており、中でもChinaの出しゃばり感は半端ない。



こうした環境の中でドゥテルテさんは多数の犠牲者も出たスプラトリー諸島を中心とした領土問題は棚上げし、Chinaに全て頼った。

一方でドゥテルテ路線を継承するとしたマルコスさんはフィリピンの4箇所において米軍の利用権の拡大(大量に米軍を受け入れるのではなく、一定数の米軍の常駐、基地の活用を認める使用権的な利用)を資金提供と共に取り付けた。当然、Chinaからの反発はあるものの、コロナ禍において国庫が空になっていたので「援助」を国防の観点からも受ける必要があったからだ。

そうして、一石二鳥とも言える米軍の傘と資金を確保し、同時に日本からも2000億の調達に成功した。

日本としても「台湾有事」の際に死活問題となるシーレーン防衛は堅守したい思惑もあり、少なくとも第二シーレーンの確保に向かったわけだ。同時に「ルフィ」問題がメディアでは過熱報道されていた裏側で、彼らの取引も行われ、「ルフィ」達がフィリピンの法律を上手く利用し、日本側へ引き渡し不可能であった状況を超法規的にフィリピン国内の訴訟を全て取り下げ、ルフィたちを日本へ引き渡している。まあ、オマケみたいなものだろう。

マルコスさんは一連の流れの後に訪問しており、アフターフォローと、外資誘致による外貨獲得にも余念がない。ここら辺の外交感覚はドゥテルテさんには全くな勝ったもので俯瞰的視点がないと出来ない行動だった。

一方で、昔から詐欺と汚職の温床でもあった貧民政策の1つである「不法占有地域」に住む人々への住居提供政策も大幅な加速を見せており、この活動の原資も外資援助によって確保した。

同時に「保育園」の整備も提言している。

大家族制のフィリピンでは現状、大半の家庭において不要と思われているが、近年加速度的に増えてきている年収150万円以上の「中間層」や富裕層において「核家族化」が進んできており、先進諸国の例を見れば保育園整備が10年単位で見れば必要になってくるのは明らかだ。そこに先手を打つというわけだ。

他方で、フィリピンはOFWという出稼ぎ労働者の送金にやって成り立つという構造も踏まえて、TESDAという日本でいうところの「国家資格」の拡大充実を図っている。

これらの背景にはChinaとは上手く取引をしつつ、取り込まれないためには米軍+日本を活用しながら、国内の実力を養い、ボトムアップを図るという視点がある。

日本もかつてそうであったように、不動産の建築によって国が潤うという部分(ドゥテルテさんもbuild build buildと言っていた)も前任者以上に力を入れている。

ここの文章には出来ないがこれらの政策を確実に進めるためのお金の流れも清濁合わせて活発化している。

今年からChina本土からの渡航者も流入しつつあり、米軍政策との兼ね合いでフィリピン国内において今まて全く存在感のなかった英国からの渡航者も激増している。

ミクロ的な視点では、マカティの一部の地域の再開発も進んでおり、あるエリアでは屋台もゴミも消えて、「普通の」道路が見える「普通の」エリア化しつつあるような、エリアの底上げも行われている。

人口も1億200万と言われているが実際には1億4000万くらいはいるであろう「頭数」も国力増強に一役買う。

正直、期待していなかった大統領だったが、かなり優秀で驚いた。一方で、共産主義系の勢力も日本同様に強く、メディアの偏重報道も物凄い。16世紀の頃は日本よりも発展していたルソン地域。同じ島国として共通している文化も意外に多い。

先進国には最先端のインフラは浸透しにくい(既存インフラがあるから)わけだが、途上国においては浸透させやすい。最先端のインフラを整備した途上国の成長スピードは高度経済成長を上回ると思う。

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