『ザンキゼロ』クリア後感想

『ザンキゼロ』というスパイク・チュンソフトから発売されているコンシューマのゲームをクリアした。プレイ時間はおよそ70時間で、一周目だけの時間としてはかなりじっくり遊んでる方だとおもう。

このゲームは、目が覚めると謎の島にいた男女8名が「人類滅亡まで残機8人」と告げられ、何故こんなことになってしまったのかをサバイバル生活をしながら解明していくアクションRPG。基本的にストーリーを楽しみながら女神転生のような一人称視点でアクションしてダンジョンを攻略していく。

で、全体感想

エンディングが本当にすばらしかった。登場人物たちとの別れも苦しく悲しくでもとても暖かかったし、ザンキゼロは0じゃないという仕掛けもよかった。別れまで5年は短すぎて不憫すぎたので、三代目サチカに10年くらいは与えてあげたかった。10歳でも十分過酷じゃない?
またエンディングの冒険をステミスカイでオマージュしたミニゲームみたいのが終わったあとに遊べてもいいかなとおもった。

登場人物とそのストーリーの感想

・日暮ハルト
この中でひとりだけ主人公を選ぶことになると、日暮の物語になるとおもう。
ハルトのストーリーは、ハルトが自殺しようとしてしまう要因が弱すぎだとおもった。彼の記事で女性が死んでしまうのだが、意図して行った部分が殆ど無く偶発的に起こった部分が強いので、あそこまで自責に囚われるのが不自然、そのため日暮くんはメンタルが異常に弱いやつにみえた。
しかしそれ以降の章ではリーダーシップを発揮し、物事を客観的に考えられる精神が一貫してみられており、ちぐはぐしたキャラだと感じた。
このゲームの主人公たちは「本人たちのトラウマ」を罪として、そのトラウマと戦うというシナリオでしたが、最初のハルト君でこの程度の物語なのか・・・と結構ガッカリした。

・久保田ゼン
8人のメンバーの中で一番好きなキャラクター。彼の章でこの物語の評価がグッと上がった。彼は実は母と祖父との子であり、その営みは彼が成長しても続いていた。さらにゼンの兄が結婚し嫁いできた兄嫁にも祖父は手をつけており、それを止めに入ったゼンに対しこれは合意の上だと兄嫁本人から説明される。そして彼は家を出る。
”自分がもし当事者だったら”という視点で考えると一番共感できる行動をしてくれていた。環境は変えられると言うけど、家族に問題があったらどうするの?という問いに、自分に流れる血は受け入れつつもしっかり拒絶するという行動を取ったゼン君。
サバイバル生活でも、嫌われようがなんだろうがしっかり厳しい行動と言動をしていてブレない芯を感じました。しかもその芯はメンバーを思いやることからきていて、とても良かったです。

・瀬戸内ミナモ
直情的な部分が強いので7章ではマモルに対する言動が強くてヒヤヒヤしたけど、素直でみんなを気遣うことができ、笛をピロピロしながら明るく楽しく生きていけるいい女。
ミナモのトラウマは弟に対する罪の意識だったけど、話を聞けばただの被害者、正義感が強い分弟に対する罪悪感も強くなってしまったのかなと。
あとこの子は老後にパワーアップするスキルが多めなので、攻略上けっこうお年寄りでいることが多かったからオカンのイメージが強い。オカンにはハンマーを装備させて前線でがんばってもらった。ありがとう。

・眞白ユマ
ユマのお父様がクローン研究を我欲で動かしていた事を知って落胆するシーンがあるがマジで違和感がすごかった。
レストランでシェフを解雇したことも、母親に対するイカれた執着心も、言葉の節斑から父は我欲の塊であることが明確に示されてたのにも関わらず、お前はそれに気づかずエクステンドTVのワンシーンをみて落胆するってか?お嬢様ご都合が良すぎではありませんか?
眞白ユマに対しては「父を裏切る理由が欲しかっただけだろお前」
シナリオライターに対しては「眞白父は会社に対して真摯で真面目であるというフリを描写してから裏切れ」とおもいました。

・三花締リョウ
リョウから生まれ出るワードは”いいやつ”,”友達”,”老後はハゲ”そんなところです。いや本当にいいやつ。
寺島ダイチに「お前は両親がいないから親の気持ちがわからないんだ」って言われて黙っちゃうリョウが可哀想だった。リョウの方がよっぽど良い親になるとおもうよおれは。ひねくれること無く明るく育ったことがリョウの両親も誇りだとおもう。三代目サチカに、他の皆は「パパママ」呼びだったのにリョウだけ「リョウちん」呼びだったところにリョウの良さが詰まってる感じがするよ。

・芒野リンコ
何食べてもストレス無く「幸せですぅ~」って言ってモグモグお肉食べてるイメージ。美人で可愛いいところが目立っているけど、気遣いもできて冷静な部分ではしっかり冷静、けっこうおてんばで明るくてハワワって擬音が似合う感じ。イジメられていた過去も誰かを恨むのではなく、それを自身の強さと優しさに変えているとおもった。
リンコは壮年期でも若々しく美しいんだけど、老年期で一気にクソババアになるので衰えって本当に酷だなって感じさせてくれた。

・一葉マモル
絶対恨む人を間違えてる。黒崎ヨウスケだけがお前の憎悪の対象だろ。
仮に恨んだとしても、追い詰められて指をさした7人は死んでいいほどの罪なんてあるわけない。
「一葉先生も辛かったんだな、復讐されてもしょうがないな」なんてプレイヤーほとんどいないとおもう。思い込んだらマジで頭爆発してヤバい行動しちゃうイカれたやつだ・・・とおもうではないだろうか。僕はそうおもった。そういう点では父親に似ている。
それにそれだけの愛情を持って行動した人間が、3章でよくクローンのサチカがクロスケにまたナイフで滅多刺しにされてるところを耐えて傍観できたな。わかっててもそれはそれだけは許されない光景なんじゃないのか?
7章のネタばらしのためだとしても、そんなシナリオを吹き飛ばして、おれの一葉マモルはサチカのためにクロスケに飛びかかっていくとおもうよ。

・サチカ
初代サチカは、最後まで通してみると意識も記憶も再生されることもなく惨殺された悲しい少女だということがわかる。本当に可哀想。
クローン・サチカは、
・病院にいたときは起伏が乏しかったのに何故感情が豊かになったのか
・何故忘れた手足は再生されなかったのか
ということが解明されずモヤッとする。戻ってきたとおもった初代サチカは結局寺島ダイチだったし、ラストの攻撃で再生されることなく消滅してしまうし、もっと楽しい思い出たくさん作ってあげたかったよ。
三代目サチカは、本当に過酷だった。それ故に素晴らしいエンディングだった。ありがとうサチカシリーズ。


以上。
ザンキゼロとにかく最後が良かったに尽きる。







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