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作曲少女2/仰木日向

超大好きなシリーズの新刊。発表されたのが急だったからビックリしてしまった。ソッコーでAmazonで予約しました。

内容に関してはもう完全に期待以上でした。相変わらず扱われてるテーマが好みにドンピシャ過ぎてもう。

本作で扱われてる大きなテーマが『好きなものがない人はどうすれば良いのか』なのですが、なんと言うかこう、凄いところに踏み込んだなと。
そのテーマで物語を書いてカタチにすることができるのかなと。読む前はそんな風に一抹の不安を覚えましたが、これが見事に素敵なお話に仕上がっておりました。キチンと“作曲”を絡めつつ。

僕自身は好きなものは割と多い方だと思いますし、何かを好きになる時に特にそれを疑問に思ったりすることもなく、自然と何かを好きになってその数も年を追うごとに増えていったって感じなので、『好きなものがない』という悩みにはピンとこなかったのですが、その悩みの中に含まれている『何も作れなくて受け取るしかできないことのしんどさ』についてはもの凄く身に覚えがあり、刺さるものがありました。

その『好きなものがない』という悩みに対するアプローチとして、『創作の目的の3つの分類』というのが作中にでてきます。これが凄い。
今まで個人的に漠然と感じてたことだけどうまく言葉で表すことができなかったことを、めちゃくちゃわかりやすく説明して貰えました。これマジで超凄い。

『好きなものがない』というテーマは本作から登場する新キャラクターに絡まって扱われて行くのですが、この新キャラがまた魅力的。というかこの“作曲少女”シリーズは出てくるキャラの心理描写がめちゃくちゃ深く丁寧かつ生々しいので本気で心配してしまうくらい引き込まれる。
尚且つシリーズの番外編もコミティアでコピー本として頒布されたり、Web上に公開されてたり(https://info.shimamura.co.jp/digital/composergirl_extra_e)しており、本編の前日譚だったり後日譚だったりが結構たくさん書かれているので、この辺を読んでから本編を読むとキャラクター同士の関係性がより深く理解できたりするのでもう夢中になります。もう僕はむしろ番外編の続きが読みたいです。

そんなシリーズ通してのファンである私は、本作(作曲少女2)の9話を読んでガッツポーズしました。声も出ました。待ち望んでた展開がありました。

ストーリーとかキャラクターの話ばっかりしてましたが、作曲、音楽についてのアプローチも素晴らしかったです。音楽理論とか音楽用語とかを限りなくわかりやすく、且つここまで本質的に書かれた本ってのは、他には無いんじゃないでしょうか。

理論以外にも実際に音楽をやる人、演奏家でもジャンルが違うと演奏に対する捉え方が大きく違ったりする話なんかもあったりして、一口に“音楽”と言っても色んな世界があるんだなぁと改めて思いました。

あとこれは完全な余談なんですが、作中に出てくる架空の漫画『ゴリラギターズ青春白書』が気になってしょうがない。読みた過ぎる。キャラクターのネーミングセンスが抜群過ぎてたまらん。

てな感じで、大満足の一冊でした。他にも書きたいことはあったのですが収集がつかなくなりそうなのでこの辺で。続編が出ることを祈って。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。