ただのオタクで売れてない芸人で借金300万円あったボクが、年収800万円になった件について。/天津・向清太朗


『オタク芸人』でおなじみ、お笑いコンビ『天津』の自伝的一冊。

個人的にずっと好きな芸人さんではあったのですが、読んでみると知らないことだらけでした。

テレビ等のメディアへの露出が多いタイプではないものの、自らの生きる道を自力で切り開いて今の立ち位置を築き上げた方だと思っていたのですが、想像以上に苦しい思いをしていたようです。

コンビの芸人さん特有の「片方だけが大ブレイクしてしまう」というのはやはり関係性を崩しやすいものらしく、御多分に漏れず向さんも嫉妬や憎悪の感情を相方の木村さんに抱いてしまっていたそうです。それも結構強烈に。

当時の印象としては木村さんが『エロ詩吟』で大ブレイクしてちょっと落ち着いたころに向さんのテレビへの露出が少しずつ増えだしたなという風に感じており、これってコンビ的に良い感じなんじゃないかなんて思っていたのですが、蓋を開けてみてビックリ。めちゃめちゃギクシャクしてたらしいです。
と言うより、向さんが木村さんのことを完全に敵視してしまってたそうな。完全に『闇落ち』してしまってたそうな。

そんな状況から、様々な先輩方から助言を貰ったり他業種の人と話をしてハッとすることがあったりして何とか立ち直り、今に至るまでが赤裸々に綴られた一冊です。

この”先輩からの助言”や”他業種の人との話”は読んでてかなりグサッと来るものだったんですが、その時感じたことを行動に移すまでのスピードの速さに、向さんの凄さがあるのかなと思いました。

他人から言われたことをそのままやるということに何故か人は抵抗感を感じてしまうし、頭ではわかっていてもなかなか「思い立ったらすぐ行動」ができないのが人間です。たぶん人の能力差って結局こういうところにあるのかなと。

僕は中学生の頃に『天津』の存在を知り、そのころからのファンだったので時系列にそって裏話が展開されていく本書の内容は非常に楽しめるものでした。『爆笑レッドカーペット』や『人志松本の○○な話』を観てた人なら「ああ!あれってそういうことだったんだ!」となること請け合いだと思います。

”人間臭さ”が好きな人には大変おすすめできる一冊です。興味を持たれた方は是非ご一読を。


読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。