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「縫い方にも道理がある。」ということです。ペルーコットンで作ったベーシックTシャツ。-4-

以前投稿した、

「やりたいことのイメージを工場さんと共有する」というのが難しい。ペルーコットンで作ったベーシックTシャツ。-3-

の続きです。

前回の投稿で生地作りについてのエピソードを書きました。

今回は縫製について。

理想の生地が出来てデザインも決まった。

さぁ、いよいよTシャツを作るぞ!ということで縫製業者さんに依頼です。

前回にも書いたとおり、今回のHOFI-007を作るまでに同じ生地で2型作りました。

デザインコンセプトも2回とも同じ「定番Tシャツを作る」です。

最初の1型は東京のOEMメーカーさんにお願いしました。

その会社さんでは営業活動と生産管理を行っていて、実際の縫製は東北地方の外部工場さんが行うというやり方でした。

私自身、初めてのTシャツ作りで知識もなく段取りも良く分からないときに、この会社の社長さんが色々と詳しく教えてくださってとても勉強になりました。

けれども、現場の段取りや作業のことも含めて出来るだけ多く縫製の知識を学びたかったので、工場が遠くて直接伺うことが出来ないという点がネックになり、それ以降その業者さんに依頼することはなくなりました。

2型目を作ってもらったのは今回のHOFI-007と同じ業者さんです。

業者さんというか、旦那さんが営業、奥さんが裁断から縫製までをされるというご夫婦です。

真面目な仕事ぶりで細かいことまできっちり対応してくれるし、何よりも奥さんが全部一人で縫われているので仕事のブレが少ないです。

ただ、職人気質な人たちなので最初の会社さんのように先回りしてアドバイスをくれることはなく、指示されたことをきっちりこなすタイプの業者さんです。

2型目を依頼したときの私はまだまだ素人に毛が生えた程度の状態だったので細かいところの指示も甘く、不要なディテールを加えて結果的に品質を下げてしまうこともありました。

たとえば襟パーツの縫い付けについて、リブ襟を別パーツで付ける場合はシンプルにオーバーロックをかけるだけでしっかり縫い付けられます。

縫い目が表にくることもなく、見た目はすっきりした印象になります。

これに対して、襟にステッチラインがあった方が見た目がカッコいいと思った私は、襟のラインに沿ってストレートのステッチを足して欲しいと依頼しました。

業者さんはもちろん指示通りに作業する。

けれども、着替えるたびに頭が通る襟部分に伸縮のない直線縫いのステッチを入れるべきではありませんでした。

この2型目は出来上がりに自身があったので、着用試験を100回、150回と繰り返して強度テストをしました。

そうするとやはり着用100回を越えたあたりから襟の直線縫いの糸が切れてくる。。。

前々回の投稿で書いたように今回はプロのデザイナーにデザイン監修を依頼しました。

そのデザイナーにこの点も指摘されます。

長く使えるものを目指すんなら、このステッチ無いほうがいいよ

と。

そうなんです。

見た目がカッコよくなるからと安直に考えて、着脱のたびに襟が引っ張られるという基本的なことに思いが至っていなかったのです。

そういう細かいこが分かっていないまま、生地の良し悪しや見た目のカッコよさのことを考えていたんです。

でも、糸作りに道理があるように縫製にも道理がある。

ちゃんとそれをふまえて各部分の仕様を決めないときちんとした物が出来上がらない。

あぁ、ものづくりは奥が深い。。。

分かっていたつもりなのに、まだまだ全然駄目でした。

品質の追求に「これで完璧」なんてことはないんです。

一つの課題をクリアしたら次の課題が見えてきて、それを超えたらまた次を目指すという終わりのない道なんですね。

だから、今回のものが完璧だとは言いません。

あくまでも、

定番Tシャツを作る!

と言うことを目的に、現時点でやれるだけのことを全部詰め込んだのが今回の「HOFI-007 ペルー超長綿天竺 丸首Tシャツ」ということです。

もちろん自信作です。

東大阪繊維研究所 オンラインストア
https://hofi.shop/

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