俺と「Wings of Vi」の8日間戦争。 または如何にして俺は地獄に心を灼かれたか
このカミソリに満ちたラブレターをWings of Viに捧ぐ。
・大きな過ちの小さな始まり
それはある日の、自分が懇意にしているディスコード鯖で起きた。
ある人が8bit風なアクションゲームを鯖内の配信でプレイしていたのだ。
それを面白そうに観ていたらまた別の人が「よかったら、このゲームギフト致しますよ」と言ってくるのである。
私、法事金太郎はついこの間にミドルでありながらゲーミングpcを手に入れたばかりの新人スチーマーだ。
本格的にSteamゲームを楽しめる体制を手に入れ、夏のセールを待ち遠しく思うものの一人だ。にも関わらず、最初に遊んだゲームがgetting over itになったのはここでは割愛させていただく。何をやっているんだお前。
そんな時に上述したように「よかったら、このゲームギフト致しますよ」などと囁かれ、これは僥倖と誘いに乗ってしまった。
こうして俺は「Wings of Vi」の世界に放り込まれた。
「配信、楽しみにしていますね」
敬虔な布教者(元凶と読む)はギフトを終えてそう自分に言った。
ほう、なるほどなるほど。世の配信者たちは普段このような期待をかけられているんだな?悪くない気分だ。よしじゃあギフト頂いたからにはこの鬼畜ゲームを見事打開してみせようじゃないか。(難易度は真ん中のmortal)
…法事金太郎、第一の失敗である。
・「自惚れない、舐めない、侮らない。」
このゲームを始めるにあたって己に掲げた理念。
俺はこのゲームに対して「俺アクション得意なんでwww」みたいな自惚れを絶対しない。俺はこのゲームを舐めない。侮らない。
開発元は元アイワナ派生作者であられるらしい。
これは偏見だが、アイワナ派生とは難しくてなんぼのように感じていたので(自分は本家含め未プレイだが)そういう感覚で作られたかもしれないWings of Viをどうしても軽く見ることは、ゲームを始める前の自分でさえも出来なかった。
俺はソウルシリーズはデモンズからダクソ3、SEKIROまで終えている(ブラボはまだ)
2Dプラットフォーマーもcelesteをch9まで終え、C面も7まで埋めている。
それでもWings of Viには最大限の危機感を以て臨まなければならぬと予感していた。
結論から言うとその危機感は正しく、そしてそれでも足りていなかった。
・デモ版を信じるな
ご丁寧にWings of Viにはデモ版という、いわゆる体験版がある。
そんなに財布があったけぇわけでもない自分には買うゲームを見定められる嬉しい機会だ。デモ版は素晴らしい。ゲームの本質、その片鱗がちゃんと感じられる場合に限り。
Wings of Viのデモ版は1面道中前半と中ボスまでとなっている。
たしかにあの道中だけでもこのゲームがアイワナじみていたり、そこそこ要求アクションが高いことは概ね感じられる作りではある。
問題はボスだ。
1面のボスは中ボスとは比にならない強度を以て自分に襲いかかった。狭い足場、ジャンプしないと届かないこちらの攻撃、一度降りないと避けられないボスの攻撃。
並のアクションゲームなら2~3面においてほしいレベル。こいつを体験版で体験させてほしかった。
そうしたら、もっと強い危機感を感じてギフトに甘んじなかったかもしれないのに!
あのデモ版を信じてはならない。あれは「おっ、これくらいなら俺でも行けそうじゃん?」とプレイヤーに思わせるための魔王軍団が用意した罠である。
ちなみに、このゲームの事の起こりは「主人公の天使(乳がでかい)の同じ天使の友人(乳がでかい)が遊び半分に幽閉されてた魔王茶化したら脱獄されてヤバい」という感じ。マジなにしてくれてんの?
・かくして地獄ははじまった
そういう「洗礼」を経て俺のWings of Viは始まった。
詳しい経緯は後続が見るかもしれない(?)のでこのへんはネタバレなしとして伏せていくが、俺は順当にこのゲームにハマっていった。
2Dプラットフォーマーなので敵配置以外にもステージそのものが牙を剥く構成もあり(俗にアスレチックと呼ばれる)、正しい手順を踏まなければ(我を押し通せないこともない場合もあるが)突破できない難所もありとプラットフォーマーが求められている味はWings of Viには塩っ辛いほどに感じることが出来る。
アイワナ等知っていたらニヤリとする要素などギミックに覚えがあるものも散見され、そういうのも地獄の微かな清涼感となった。
ボス戦もアホほど骨があり殆どが撃破に1時間掛かる代物となった(個人差があります)
自分は特に足場がおぼつかないボス戦が苦手なのでそういう相手はそれはもう禿げ散らかしながらクリアしたりとかして…。
平たく言えばまだ楽しかった。楽しかったのである。まだ…。
途中、同じくギフトを受けていた鯖主が途中ステージでリタイア、これに一日ぶっ通しでプレイした自分が追いつき気を良くしたのが法事金太郎、第二の失敗である。
・意地なんですか恐怖なんですかこのゲームを投げることにより誰かが悲しむならそれは望むところではないからですか?
全てはラスボス戦で起こった。(ちょっとネタバレあります)
これまでのボス戦でもやることは相手の予備動作に対応して最適のアクションを返す。それを高精度に行う。それを自分ができるまでやるだけだった。それはこのラスボスだって変わらないはずだった。
「為すべきことを、為すのです。」
「迷えば、敗れる。」
全てのアクションゲームに通ずるSEKIRO2つの金言である。
ではラスボスはどうだったのか?
常に減るこちらの体力、そのために仲間の落とす回復アイテムを追わなければならないという状況、ランダムに発生する長くとどまると炎上ダメージを受けるエリア、発狂することにより攻撃に追加される雑魚召喚、タイミングの計りづらい画面外からの急降下、難解な軌道の浮遊弾、時たま行われる超反応の攻撃!、たまにえぐるように移動するせいで体当たりをもらう形になること!!、なんの間違いが起きたかわからないが発狂した後、普段より低い位置から攻撃が開始され回避困難になる事案!!!!!!
…いや、前半は理解できる。炎上するやつとかマジ邪魔だけどまだ理解はする。雑魚召喚も十分に体力減らして発狂したのだからそりゃそうだろうと思う。だがあの移動パターンはなんだ?いやそれでもこれは来ると見込んで足場移動すればいいわけでまだいいんだけど、なんかの間違いで低い位置から攻撃始まると物によっては不可避なんだわ。
いや俺が下手ってのはあるだろうけどありゃないだろ。意図してないなら今からでも直してくれ。不確定要素が一番困る。
ラスボスだから当たり前といえば当たり前なのだがこれが一番時間がかかった。6時間かかった。3時間目あたりから上記タイトルに至るような後悔が押し寄せてきていたのを覚えている。
でも今更やめられない。
普通にギフト受けたからにはクリアせんとなーみたいな気持ちもあったけど、ここまで来たらクリアしたいとか普通に思うし。
…これは壺おじをやってるときにも思っていたことなんだけども、こんなゲームでもかならずクリアしてる人がいて、もし俺がここで折れればその「じゃない方」になるっていう怖さが、手を出したゲームにはずっと在り続ける。俺は自分にそういう烙印を押し続けることになる(個人の考え方です)
だからこそ壺もクリアしたときには最高に解き放たれた気分(これも鯖内でやっててメッチャはしゃいだ)だったんだけども、Wings of Viは後述するがちょっとそうはならなかった。
もらったからにはクリアしないとな、という意地。
クリアできなかった自分になりたくないという、恐怖。
…話は鯖主がリタイアした時に戻る。
自分にギフトしてきた人は鯖内でやっている人がいればしっかり観に来る敬虔なファンなので、このときも勿論自分と一緒に(当時の自分はネタバレ防止に配信は観ておらず、ボイスチャットのみにしていた)観ていたのだが、鯖主がリタイアを告げると
残念そうに「かなしい…」と呟いたのだ。
なんだ、そんなに最後までやってほしかったのか。そんな残念そうにされたら最後まで頑張らないといけなくなっちゃうじゃないか…。(後にその人は「これラスボス戦が一番楽しいんで!」とか言っていたが、自分の感想は上記の通りだ)
俺にはギフトするほどの懐はないが、出来れば折れずに最後まで観たりやったりしてほしい作品というのは確かにあり、そういった過程で脱落者が出るのは確かに悲しく、さみしいことだ。
いいじゃないか、わかったよ。クリアしようじゃないか。
俺もその未来が見たい。
法事金太郎、最後の失敗である。
・まぁそういった流れは忘れて最後はボスへのフラストレーションとか怒りとか怒りとか(大事だから)焦燥とかでいっぱいだったんですけどね(台無し)
救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救われたい。救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!救ってくれ!全ての歯車よ、噛み合え!(プレイ中の自分)
最後はこっちの反応が遅れて攻撃をもらうしかなくなった時に、こちらの残存体力とボスの体力を鑑みてダメージレースに持ち込む事により勝利。それでもゲーム内の実績取得音が聞こえるまで勝利など確信できなかったことは付け足しておく。
19日にギフトを受けて、27日にゲームクリア達成。
短く永い8日間戦争が終結した瞬間である。
途中から、「これクリアしたら即アンスコしてやろう」とか「クリアしたら思いつく限りの罵詈雑言を投げつけてやる」とか思ってたんですけど、もうそういったリアルの体力も残っておらず、これまで「シャオラッ!」とか勝鬨をあげていた撃破の瞬間もディスコードに乗ったかもわからないくらい小さく「終わった…」とつぶやくのが精一杯。
その後の感想もあー…とかア、アザス…など完全に語彙が死ぬなどしてダラダラ話してしまうなどしたので、実質このnoteが正しい「完走した感想」なのだ。
・そしてI wanna be the "Vi"は遂げられた。
ここからは完走した感想なんですけども、ラスボスに心をぐちゃぐちゃにされた以外は普通に良い高難易度ゲームだったとおもう…多分…
いや、これ書いてる最中にも鯖内でWings of Viやってる人観てるんだけど、もしかして俺が下手だっただけなんじゃいかとか思えてきた。わりぃ、やっぱつれぇわ…。
そんなだから誰にでもこれオススメできるかって言うと自分みたく心乱れてしまう危険性はあるので大手を振っては勧めづらい…勧めづらくない?
いやでもつまんなくはなかった…すげー病んだ以外は面白かったはず…多分…おそらく…でも上記のような流れあっても「テンメー!なんてもんギフトしてくれたんだ!」って感じなんだけども、まぁ俺が興味持ったからいけないわけで、だからデモ版がマジで罠なんだよな…
…高難易度ゲームに謳われがちな「達成感、カタルシス」は多分得られると思います。自分も確かに途中までは感じてましたし、ラスボスにも最初からキレ散らかしてたわけでもないので…
・まとめ
「Wings of Vi、面白かったけど、大嫌いです。」
なんかラスボスに対するヘイトを吐き散らかしただけのpostでは?もうそう言うしか無い。全てが憎らしいわけじゃないけど深みへ行くほどに病んでしまったし、病んでもプレイを止めなかった俺も俺だけどとにかく クリアするしか俺にはなかったから必死でした。もうまとめる余力もない…
ここまで読んでいただいてありがとうございます。もしこれを読んだりしてWings of Viに興味なぞ持ってしまったのならちょっと考え直してほしい。
冒頭でも自分が戒めたように「俺アクション得意だからーwww」では確実に火傷をする難易度。舐めてかかればあなたの舌はもう味を知ることはないだろう。
…ただ、それでも。
Wings of Viを終えたものと同じ苦痛を、
同じ喜びを、
同じ景色を、
同じ場所に立ちたいと思うのならば。
どうぞリンク先から地獄の招待状をお求めになるといい。
我々はその挑戦を歓迎する。
「Run Vi, Run Like The Wind!」
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