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ちゃんとするのをやめた

「この家の人達は誰も落ちてる物拾おうとしないよね💢」

皮肉たっぷりのセリフ。

おまけにドラマの女優にでもなりたかったのか

「私はあなたの奥さんではあるけど家政婦なんかじゃない!!」

「なんでお母さんばっかり、、、」

なんて、決まり決まった文句を言って

その場になんとも言えない空気を醸し出す。

それが昔から

たびたび出てしまう私の口ぐせでした。

自分でも苦しかった。

できればそんな態度やめたいし喧嘩もしたくない。

夫に自分の大変さを分かってほしいからって感情的になる自分にもイライラしていたし、私が不機嫌になって子ども達に威圧感を与えて気を遣わせるなんて最悪じゃん。

もうこんなのやめたい。

でも、私がいくら頑張っても、いつも床にゴミが落ちてる。

私がいくら丁寧に伝えても、協力してくれない。

だから私がやるしかないと思って

私は毎日頑張って頑張って無理して無理して
限界がくるからこうなるんじゃない。

こんなに頑張ってる私が一人で悩んで苦しんで

なんでそれでもこのまま一人頑張らなきゃいけないの?

どうすれば分かってくれるの

どうすれば変わってくれるの

いつもそう思っていた気がします。

でもある時、息子に言われました。

いつものように、息子たちの部屋が散らかりはじめたので

毎日、10分リセットと名づけて

自由時間の前の10分間だけ、自分のスペースを片付けるというルールを作りました。

さすがに毎日見張るなんてことはしなかったけど

ある日、片付いた後の様子を見に行きました。

その途端、私の中に怒りがメラメラ・・・

「なにこれ、全然片付けできてないじゃん」

「やったよ」

「こんなのやったうちに入らないでしょ!
お母さんはちゃんとしなさいって言ったの!」

「母さんのちゃんとと俺のちゃんとが違うだけだよ
俺はちゃんとやったつもりだよ!!」


いつも穏やかな長男が、ものすごくムキになって言ってきました。

ああ・・・そうか・・・。

何の言葉も出なくなり

私はそのまま子ども部屋を出ました。

いつもならそこで、引き下がらずに何か言い返していたかもしれません。

親としての権利とか何やらくだらないものを盾にして

息子を言いくるめようとしてしまったかもしれません。

でもできなかった。

息子に言われた「ちゃんと」って言葉がひっかかったから。

「ちゃんと」の意味が突然分からなくなったから。

「ちゃんと」ってなんだろう。

私の思ってる「ちゃんと」って。

完ぺき主義ってなんだろう。


夫が娘を連れて遊びに行っている間の出来事だったのですが

私はそこから一人で

ただひたすら、昼ごはんに使った食器を洗い、夜ご飯の支度をし、洗濯物を取り込み・・・。

まるで無機質なロボットのように手先だけ動かし

ヨガのポーズでやる「顔の筋肉の緊張もゆるめて~」っていうのをやっているようなボーッと気の抜けた顔で

心は随分とタイムスリップしていました。

****

ちゃんと片付けなさいって言っただろうが!

もっと段取り良くしなさい!

そんな拭き方じゃきれいにならんだろうが!

全然できてないやんか!

もっと姉ちゃんを見習いなさい!

今日はどっちがご飯の当番だ!

挨拶は大人より先にしなさい!

ご飯食べる時は背筋伸ばして!

そんな風に言われるたびに

私の心はいつも傷ついていた。

なんでそんなに怒るの?

なんでそんなに責めるの?

私はこれでも一生懸命やってるよ。

言われたとおりに自分なりにやってるよ。

一体いつになったら褒めてくれるの?

よくやったね。偉かったねって

これだけできれば充分だよって

たまには休んでいいよって言ってよ。

それにね

私だって、たまには休みたいんだよ。

私だってたまには子どもらしくしたいんだよ。

例えば冬の朝だったら
ただ寒いな~って思って大あくびしながら起きてきて
お母さんが作ってくれたあったかいコーンスープでも飲んで
それでもまだ寒いからコタツの中で制服に着替えたりして
「そんなんじゃスカートがシワになるよ。ほら襟も!」とか言ってお母さんが襟を折り曲げてくれながら「行ってらっしゃい」って見送ってくれるけど私は後ろも振り返らずに行ってきま~すって学校行って

学校からただいま~!って帰ってきたらランドセルそのまま放り出して
夕方まで友達といっぱい遊んできて
帰ってきたら美味しいおやつがあったりして
そのおやつ食べ過ぎて晩ごはん食べ切れなくても
お腹いっぱいなら明日の朝食べればいいよって
お父さんもお母さんもニコニコしてて
部屋の電気が倍に明るくなるぐらい楽しい会話が弾んで
その後おしゃれに興味があるお年頃だから
ゆ~っくり長風呂して
お風呂あがったら冷蔵庫を自由にあけて
コタツに入りながらアイス食べて。
眠たくなったら「おやすみなさ~い♪」って
あったかい布団に入って寝たかった。

1日でいいから、そんな日を過ごしてみたかった。

朝起きた瞬間から礼儀正しく挨拶して
自分でご飯作って食べて
制服に着替えて準備万端の状態で
緊張しながらリビングで学校に行く時間まで待機して
学校に行ってる間も
今日はどんな話で機嫌とろう?なんて考えて
帰ってから友達の家に行くとかおやつなんて無くて
そのまま宿題、家事の手伝いして
ご飯の時間は私がちょっと面白い話題とかを持ち出すぐらいで後は部屋の電気消えてるのかってぐらい暗く感じて
お風呂はちょっとでも遅かったら「いつまで入ってるんだ!」と怒鳴られるからカラスの行水で
お風呂上がってから寝るまでに時間がある時は
お父さんの肩叩いてあげないととか
夜ごはんの片付けしないととか
お父さんのOKが出るまで漢字を丁寧に書くとか
ずっと気が張ってて
だからおやすみを言って布団に入った後も
なんかずっと苦しくて寂しくて悲しくてなかなか寝付けなくて
朝目がさめたら○○ちゃんの家の子どもになってたらいいのになんて
ありもしない妄想をしながら眠りについてた。

私はずっとガマンして
お父さんとお母さんの言うとおりに頑張ってるのにさ

お父さんもお母さんも口ばっかりで
自分たちは全然できてないじゃん。

いつも怒ってるか疲れてるかのどっちかで
私の気持ちなんて聞いてくれたことないじゃん。

なんで私ばっかりこんなに頑張らなきゃいけないの・・・。

そしてなんで今もまだ、こんなに頑張らなきゃいけないんだろう・・・。


*****

息子のたった一言で

私の中にこんなにもたくさんの傷ついた心や感情がうずまいていることに気がつきました。

そして、子ども達が寝てから

私は夫に、それらの気持ちを全て話しました。

話しながらいっぱい泣きました。

泣いて泣いて

「もう疲れた。ホントは子ども達に怒りたくないしあなたにもイライラしたくないし自分が怒られて嫌だったのに子ども達に同じ思いさせたくない。
子ども達には好きなようにニコニコただ安心してこの家にいてほしい」

そしたら夫が言いました。

「俺と子ども達にとっても同じなんよ。
お前にはいつもニコニコしててもらいたい。
家がキレイに片付いてるのと引き換えにお母さんがいつも怒ったり泣いたりしてるぐらいだったら、多少散らかっててもお母さんが笑ってる方がいいに決まってるやろ」

「だけど・・・私がやらないと結局また・・・」

「すごいな~。怒られすぎて、もうこれ以上怒られたくないんやろうな。
心配せんでも、もう誰も怒らんよ。
それに、お前が気が利くのが早すぎたらいつまでたっても俺たちの片付けスキルあがらんよ(笑)ちょっと手抜きしてみて。
嫌なら何もしなくていいんよ。」


一人でずっと頑張ってきた肩のチカラが抜けました。

今までもね、何度もあったんです。似たようなこと。

でも、息子に言われるまでは

それでもず~っと、どこか腑に落ちないというか

自分が何にそんなにイライラして
いつも片付けていないとストレスがたまるのか

息子や夫がちゃんとしてないように見えてつい口出ししてしまうのか

そしてそれを言ってる自分に嫌気がさして罪悪感に陥っているのかが分からなかったんです。

私の「ちゃんと」できないことによるイライラの原因は

目の前の子ども達でもなく、片付けスキルの上がらない夫でもなく

小さい頃どんだけ頑張っても「OK」をもらえなかった自分へのイライラであり

頑張ったりガマンしたりしている自分のことを気づいてもらえないみじめなどん底気分を

夫や息子の姿を通して思い出す自分の感情に押しつぶされることへの不安をかき消すための怒りであることがやっと分かりました。

そこからさらに、ちゃんとしないことに対する自分を許せるようになったのも

娘の存在が大きいです。

だって、毎日、どこまでも気持ちよく散らかすんです。

ほら、廊下はこれでしょ。

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そして、この廊下を見ても、夫や息子たちは基本、寝る前までこれを拾いませんでした。

それに対して私はいつも言っていたのです。

「この家の人達は誰も落ちてる物拾おうとしないよね💢」


でも、娘がある日、けっこう笑えることをしてくれました。

ご飯を作っている隣で、テーブルに置いていた長ネギを持ち出しました。

私に向かって「ギ」「ギ」と言います。

私も娘に合わせて、「そうだね、ネギだね。まんま作るよ」と答えました。

それなのに・・・・。

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私が炒め物に集中しているわずか数分の間に

同じ場所に立ち、娘が手にしているものは

いつの間にか、長ネギからブロックに変わっていたんです。

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え!?ゆっちゃん、長ネギどこ行った?と聞いても

娘はポカーン。そして「ねんね」と言います。

まさかと思って息子たちの部屋に行ってみると、ありましたありました。

息子たちがたたんだ布団の上に!

娘はニコニコして「ギ、ねんね~」と言っています。

そうか、ネギを寝かせたのね、ハイハイ(笑)

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こんな子どもを目の前に

ちゃんとしなさいなんてキャーキャーわめいても何にもなりません。

それからは私の中のニセモノの完ぺき主義が顔を出すたびに

「お母さんのちゃんとと俺のちゃんとは違う」って言葉と

「多少散らかっててもお母さんが笑ってるほうがいい」って言葉を思い出すようにしています。

と言うより、自然と脳裏をよぎります。

私の中の「ちゃんと」をやめたら、すごく楽になりました。

散らかっていても、イライラしなくなったんです。

どうせ日中は散らかるんだもの、寝る前に整頓すれば良し。

そう考えただけで、すごく気持ちが楽になりました。

それまで1日に3回も4回も片付けていた部屋ですが

今では1回だけです。

あとは、息子の「ちゃんと」や夫の「ちゃんと」も認めることにするつもりだったけど

自分が「ちゃんと」をやめたら、それも無理して考えなくなったし

むしろ、家族それぞれが好きなようにしていることを心地よく感じるようになりました。

それでもまだまだあります。

地雷を踏まれる出来事が。

でもその地雷。

自分でずっと隠し持っているよりは

たまに踏まれて爆発できた方が良いのかもしれないって思います。

周りに迷惑かけない程度にね☆☆

こないだの地雷はこれでした。

テーブルの上にスリッパ😱😱😱

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でもこの地雷は爆発せずにすみました。

もし爆発していたとしたら

娘は過去の私のように、パチンと叩かれてダメでしょうが!と大きな声で怒られていたと思います。

そうやって一瞬考えた後に

このスリッパはそ~っと床に戻しました。

娘を「ちゃんと」しつけるのはやめて

タイミングが来たら優しく教えてあげよう。






私の書く記事は多分、伝わる人が限られています。いじめ、機能不全家族、HSP、病気などの記事多めなので。それでも深くせまく伝えたくて書いています。サポートとても嬉しいです。感謝します。コメントも嬉しいです🍀