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【ゲームレビュー】ラチェット&クランク パラレル・トラブル【3Dアクション/TPS】

PS5 コントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』のプレイを基に執筆しています。

レビューの最後に実際のプレイ動画も貼っているので、参考になれば何よりです。


あらすじとゲーム概要

◆ 『インソムニアックゲームズ』が贈るハチャメチャアクション『ラチェット&クランク』シリーズの累計17作目となる作品がPCにやってきた。

銀河の征服をたくらむ悪のロボット『ドクター・ネファリウス』によって歪められてしまった次元を元に戻すべく、大きな心を持った我らが小さなヒーローである『ラチェット』と『クランク』がさまざまな惑星をめぐって奮闘する。

我らがヒーロー『ラチェット』と『クランク』

そして本作から登場するもう一人(?)の主人公『リベット』もまた『ドクター・ネファリウス』との戦いにその身を投じる事となる。

もう一人の主人公『リベット』

ゲームの概要に入る前に少し物語について解説する。

少々ややこしいのだが、物語的には本作は初代『ラチェット&クランク』リメイク/リブート作品である2016年に発売された『ラチェット&クランク THE GAME』の続編では無く、2013年に発売された『ラチェット&クランク INTO THE NEXUS』の続編となる。

『ラチェット&クランク THE GAME』に関しては、3Dアニメ映画版の『ラチェット&クランク THE MOVIE』も公開されているので、気になったらチェックしてみて欲しい。なかなか面白い作品だ。

本題に戻ろう、過去作の物語や登場人物を知っているとお約束のギャグや展開がなんとなく予想できるシーンがあったりするが、ゲームを楽しむ上で過去作を必ずしもプレイする必要は無いので、ご心配なく。

ストーリーは元からコメディ要素を重視しているので、過去作を知らなくとも楽しめる。

本シリーズはそもそもコミカル、というよりもコメディな展開となっているので、本作から入っても全く問題はない。魅力的なキャラクターが多いので、単純に会話を聞いているだけでも楽しめる。

それではゲーム概要、アクション面に関してだが、様々な武器『ガラメカ』を使用しての派手な戦闘やステージ内のギミックを利用したプラットフォーマーアクション、いくつかの特殊なエリアの攻略、等々過去のシリーズを踏襲しつつ、爽快感を増した作りになっている。

プラットフォーマー要素もしっかりしている。

詳しくは次の項目から解説していこう。

豊富な武器とハチャメチャアクション

◆ 本シリーズお約束ではあるが、アサルトライフルやスナイパー、バズーカやボムの様な武器、本作にはバラエティに富んだ武器、通称『ガラメカ』が登場する。

これらは購入後にレベル上げや特殊な通貨を使用して強化を行う事も可能だ。武器のレベルを上昇させると威力だけでは無く外見も変化する点が面白い。

武器は強化していくと威力だけでなく、外見や効果自体も変化する。

適当に使っても爽快感があるし、どれも有用ではあるが、様々な状況や特定の敵の種類に特化した『ガラメカ』もあるので、高難易度でプレイ時にはしっかりとしたTPS+アクションに特化した楽しみ方もできる

巨大な敵やボス等も登場し、これらの武器を有効活用する事が出来るだろう。

一時的に無敵になる『ファントムダッシュ』という能力も新しく追加された。高難易度ではお世話になる。

ちなみに、新しい武器を購入する前にゲーム内で紹介動画を見る事が出来るのだが、非常にプレイヤーを煽るような紹介動画になっているので観てみよう。内容がコメディで面白い。

紹介動画は面白い内容になっているので必見だ。

多くの方は『ラチェット&クランク』シリーズでのアクションのイメージは銃をぶっ放しているシーンだと思うのだが、実はプラットフォーマー的なアクションやその他のミニゲームも充実している。

クランクを操作してプレイするパズル系ミニゲーム。ちなみにメニュー画面からパズルをスキップする事も可能なので、苦手な方は活用しよう。

プラットフォーマー要素は足場移動やレールグラインド、マグネットブーツを利用した特殊な足場移動等の過去作に登場したモノ以外に、本作では次元の裂け目を利用した移動が可能になった。

次元の裂け目を利用した単純な移動以外にも特殊な『紫の裂け目』を利用すると、所謂『チャレンジステージ』の様な場所に行くことができる。

紫のポータル。ストーリー上で必ず訪れるモノ以外はちょっとしたチャレンジステージの様な仕組みになっている。

ストーリー上で“プレイヤーが操作しながら”複数の世界と次元を跨いで移動する場面があるのだが、演出的にもアクション的にも最高に面白いので是非とも体験して欲しい

主人公が複数の次元を連続して超えていくシーン。演出的に爽快感がある。

ミニゲームでは特殊な乗り物で攻略するエリアや相棒の『クランク』を操作するといったお約束が登場する。こちらも十分に楽しめる作りだ。

新たな主人公『リベット』。基本的な操作性はラチェットと変わらない。

概要の項目で登場した『リベット』というキャラクターを操作してプレイするパートも多いのだが、そちらに関しては別の項目で。彼女について今は、操作性やアクション性に関しては悪くないとだけ言っておこう。

グラフィックと爽快感

◆ 流石は次世代機向けに開発されたAAAタイトルと言うべきか、主人公『ラチェット』の毛がしっかりと“フサフサ”になっていたり、相棒『クランク』の自慢のピカピカのボディの反射、これが欲しかったというグラフィック表現が素晴らしい。

もちろん、各所の背景やテクスチャ、ステージの見た目の作りや水の表現など、グラフィック面はあらゆる面でAAA作品と言えるようなクオリティとなっている

ラチェットたちはフサフサ、クランクはピカピカになっている。

その様なパッと見の部分だけでは無く、実は本作のグラフィックの進化はゲーム性に関わる重要な部分にも影響を与えている。それが何かというと、“爽快感”だ

例えば序盤のエリアでは観客で埋め尽くされた会場を移動する事になるのだが、観客であるNPCの数が非常に多く、見ているだけでも爽快だ。

ステージも広くなり、開放感がある。

アクション的な部分では、箱や敵、その他のオブジェクトを破壊した時の破片の散らばり方や量が凄まじく、破壊のカタルシスをプレイヤーに与えてくれる。レンチで箱を破壊したり、銃を撃ちまくるだけでも楽しい。

物を壊した時の破片の散らばり方が爽快感を与えてくれる。

アクション部分ももちろん重要ではあるが、爽快感は本シリーズで重要な要素だ。そこをしっかりと開発側が理解し、昇華している点はプレイヤー的にありがたい。

PCプレイヤーが気になるであろうグラッフィク周りの設定に関しても、かなり細かく設定が可能となっているので、当然常識の範囲内になるが、低めのスペックでプレイする方でも問題は無いはずだ。

グラフィック周りは細かく設定可能。

余談だが、流石は『フォトモード』が充実している事でも有名な『Marvel's Spider-Man』シリーズの開発元と言うべきか、プレイヤーが自由に撮影できる『フォトモード』の作りも良いので、スクショを撮って遊ぶのが好きな方は色々と試してみると良いだろう。

豊富なやり込み要素

◆ 『ラチェット&クランク』シリーズといえば、豊富なやり込み要素だが、本作もその点では変わっていない。

アーマーを入手すると外見をカスタマイズする事もできる。

詳しく解説すると長くなるので簡潔にまとめると、ボルトなどの通貨集め、各武器のレベル上げ、隠し/収集系アイテムの探索、周回要素等々、本作も相変わらずのボリュームとなっている

武器の強化等も含めるとかなりボリュームがある。

取り逃したアイテムはマップで表示されるし、物語を進める事で未探索のエリアのアイテムを表示してくれる道具を入手する事もできる。親切設計になっている。

いくつかの気になった点

◆ 本作に関しては大きな不満点が無く、悪い点と言うほどの物はなかった。

ただ、気になる点が無かったわけでは無いので、そちらに関して参考になるように、この項目で指摘させてもらう。

アクション:全体的なアクション面での気になった点としては、別の項目で書いたように本作では『リベット』という新しいキャラクターが登場し、彼女を操作する場面が多いのだが、ラチェットと使用感が殆ど変わらない

良いキャラクターであるだけに、もう少し違いが欲しかったところだ。

良くも悪くも、もう少しプレイフィールに違いを持たせても良かったかもしれない。物語を通してのキャラクターの内面的な成長や魅せ方自体は上手くいっているだけに、非常にもったいない。

グラフィック:あえてグラフィック表現について穿った事を言うならば、一部の動的オブジェクトの反射表現はその他のオブジェクトと比べてあっさりした表現になっている。ただ、これは仕様が無いとも言える。あくまで、違いについて言及している形だ。

動的なオブジェクトの反射はやや弱めになっている。

それに加えて、グラフィック面というと少し語弊があるが、本作はPS5の特徴でもある高速ロードを可能とするSSDを利用した表現が随所に散りばめられている。
特に顕著なのが次元の移動だ。こちらに関しては、PC版はプレイしている環境によってはロードが発生する可能性もあるので注意しよう。

特に低速なHDDでは一部のエリアでのロードが多発し、それによるカクツキが発生する事をほぼ回避できない


やり込みとボリューム:ボリューム面での問題点としては、やり込み系をカウントしない場合はメインストーリーは短めという事ぐらいだろう
直近で発売された多くのAAAタイトルがそうであるように、本作もメインは短めとなっている。ストーリーが面白いだけに残念だ。

集め物やチャレンジを考慮しなかった場合のボリュームは少なめ。

細かいバグ:チュートリアル関連でポップするウィンドウが消えない事がある。惑星の移動やムービーシーンを挟んだり、ゲームをロードすると解決する。

といったような、今あげた四つが気になった点だ。それ程大した不満点ではないのだが、参考になれば何よりだ。

また、こちらはPC版のみ、かつ本レビュー投稿時点での問題である事は前置きしつつ、実は使用しているGPUドライバーによっては時たまクラッシュが発生する

GeforceシリーズのGPUを使用しているならば、最新のドライバーならば大丈夫らしいのだが、現在公開されている最新のNvidiaのドライバー(2023年8月05日)に問題があるので更新する事はオススメできない。
ゲーム側というよりも、別の問題に感じられたので、上では挙げなかったがこちらも購入の参考にして欲しい。

-------------------【良い点】-------------------

+ 進化したグラフィック表現による破壊する爽快感の増加。

+ コメディなストーリーとキャラクター達。

+ 唯一無二のゲーム性。

+ 豊富なやり込み要素。

-------------------【悪い点】-------------------

- やり込み要素を除くと、ボリュームは少なめ。

- エリアによっては見えない壁があり、素晴らしいグラフィック表現も相まって、通れないという事に違和感を覚える。

- 良くも悪くも、使用しているキャラクターによる違いが殆ど無い。

- 過去のシリーズから大きな変化/追加要素は無い。

--------------------【総評】-------------------

コメディなストーリー、とっつき易く爽快なアクション性、豊富なやり込み要素は歴代シリーズを踏襲しつつも、『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』は確かな進化を果たした傑作に仕上がっている。

頭を空っぽにしてストレス解消にプレイするのはもちろん、高難易度を選択して純粋にアクションとしても楽しめる。

過去のシリーズから大きな追加要素は無いものの、確かな次世代作品の息吹を感じられる本作は爽快なアクションを求めているプレイヤーにオススメだ。


プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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