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【ゲームレビュー】ELDEN RING - エルデンリング PC版【3DアクションRPG】

XBOX Series Xコントローラーを使用。クリア済み。


『ソウル』シリーズのフロムソフトウェア最新作。オープンワールドなレベルデザインを採用した、高難易度な探索型アクションRPG。『褪せ人』となり、広大な『狭間の地』に眠る謎を解き明かそう。

※本稿はPC(Steam)版『ELDEN RING』のプレイを基に執筆しています。

--------------------【良い点】--------------------

物語と神話

◆ 『エルデンリング』の物語は『氷と炎の歌』の作者、『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者である巨匠『ジョージ・R・R・マーティン』と言った方が通じやすいだろうか、彼が物語の下地となる『神話』を担当している。

流石と言うべきか、彼の作り出した神話は本編となる物語のダークなファンタジー性を損なうどころか、深みを持たせつつも『フロムソフトウェア』らしい要素をゲームに与えてくれている。

遠くからでも見える、黄金樹。

“らしい”要素としては『フロムソフトウェア』のシリーズでは、アイテムや装備品などの所謂『フレーバーテキスト』が豊富な事で有名だが、『エルデンリング』でもその仕組みは健在だ。

過去の『ソウル』シリーズと同様にゲーム本編の物語はゲーム内ではそれ程詳しくは語られないが、フレーバーテキストは物語を考察させるための『材料』にもなり、至る所で先述した神話に関連した記載を見る事もできる

そういった点で、プレイヤーは物語を考察して楽しむ事もできるのだ。

『氷と炎の歌』が元ネタとみられる武器等も登場する。

その他にも本編で登場する強力なボス達は過去の神話に登場する英雄たちであったり、伝説に語られる存在であり、プレイヤーの心をくすぐる設定になっている。

探索

◆ シームレスに繋がる広大な舞台、オープンワールド制を導入している事によって、過去の『ソウル』シリーズよりもはるかに探索における自由度が上昇している。探索可能な場所は広大なフィールドだけでは無く、道中で発見する城や砦、ダンジョン、遺跡など様々なロケーションが用意されている。

メインダンジョンこと『レガシーダンジョン』は気合の入った作りになっている。

オープンワールドとは言うものの、敵は自身のテリトリーであるエリアからは一定以上離れないため、一定のエリアをある種の『ステージ』というようにとらえる事もできる。

他にも今作には朝と夜の概念があり、夜にしか登場しない敵や、時間によって敵の配置が変わったりする仕組みもある。もしかしたら、特定の時間にしか発見できない何かが隠されているのかもしれない。

プレイヤーがどのタイミングで物語を進めるかの自由度は高く、物語冒頭でチュートリアルを終えるとプレイヤーは自分の好きなようにマップを探索し進める事ができる。いきなりメインのダンジョンに進んでも良いし、心行くまでマップを探索するのもアリだ。

どの程度自由度が高いかと言えば、メインダンジョンを『無視して』先に進む道が実は用意されていると言えば、わかってもらえるだろうか。

レベルの概念がある作品である都合上、全ての地域を序盤から探索できるわけでは無いが、『この先には何があるのか?』『この道は通れるのか?』、そういった事を考えながら辿り着いた先で味わう『発見の楽しみ』とワクワク感はたまらない。未知の世界を知っていく楽しさが『エルデンリング』には詰まっている。

UIやインジケーターは無いものの、自然と目を引く『何か』が用意されている。

探索をするにあたって、新しく追加されたシステムが色々と役立ってくれる。

例えば、従来のシリーズには無かった『ジャンプ』ができる点も大きいが、その他にも騎乗可能な『霊馬』が役立ってくれる。『霊馬』は移動速度が単純に早いだけでは無く、騎乗中は二段ジャンプが可能になったりと移動能力が極めて高い。

徒歩ではたどり着けないような地形も、『霊馬』を使用すれば何とかなったりする。また、『霊馬』は戦闘でも役に立ち、騎乗中でも攻撃を行う事が可能だが、こちらは少々癖があるので、敵に当てるには慣れが必要になってくる。

ただし『霊馬』は当然と言えば当然ではあるが、何処でも使用できるわけではなく、いわゆるオープンなフィールドでのみ使用できる。

流石に城の中に馬で突撃することは出来ない。まあ、オープンワールドの作品なので、そういったバグ技が今後発見される可能性はあるが。

探索が長引くことが多い今作では、道中で探索に必要なリソース、回復関連のアイテム等が不足しない様に『アイテム製作(クラフト)』が追加された。

プレイスタイル次第では重宝するだろう。

『アイテム製作』はメニュー画面からいつでも行う事ができるが、対応したアイテムの製法書を入手している必要がある。製法書は探索で見つけたり、道中に登場する商人から購入が可能だ。

長く探索できる仕組みとしては、回復アイテムの仕様の変化も大きい。回復は『ソウル』シリーズに登場する『エスト瓶』の代わりに『聖杯瓶』が使用可能だが、こちらの仕様は過去のシリーズとはやや異なっている。

『祝福(いわゆる拠点、チェックポイント)』で休む事で使用可能な回数を回復できる以外にも『敵の集団』を撃破する、あるいは『雫スカラベ』という特殊な敵を撃破する事で1回分回復する事ができるのだ。

今作の“篝火”にあたる『祝福』。

また、戦闘中以外はマップ画面を開くことでいつでも発見済みの『祝福』へとファストトラベルができる。探索時には有効活用しよう、

ダンジョン

◆ オープンワールド制になった影響でメディアなどではあまり取り上げられる機会が無かったが、砦や城、地下のダンジョンなどもまた立体的に良く作り込まれている。

探索可能なダンジョンは物語に関連したメインとなる大型のモノとフィールドで発見する事ができる多数の小型のモノが用意されている。

いつでもジャンプが可能になった事もあり、過去作よりもいっそう立体的な作りとなったエリアが登場する。

探索する楽しさの部分ではオープンワールドな場所とは少々異なり、物陰に隠れた敵の配置やトラップ、強敵との戦闘、この先をどうやって進むのか等といった“楽しさ”を感じる事ができるだろう。

ダンジョンには危険だけでなく、”ご褒美”もしっかりと用意されている。

また、メインのダンジョンは製作陣が張りきったのか、彼らの過去の作品群と比べても同じかそれ以上に洗練されている。

アクション

◆ 基本的なアクションは過去のソウルライク作品と似ており、その点についても書いてしまうと長くなるので、今回は割愛させてもらうが、間合いや攻撃のタイミングの調整、スタミナ管理が重要となる戦闘は相も変わらず挑戦的で、強敵に勝利した時の達成感もまた“相変わらずだ”。

戦闘は過去のプレイフィールを踏襲しつつ、新たなアクションの追加によって、戦闘でプレイヤーが取れる選択肢を増やしている。

その中でも筆者が最も印象的に感じたのは『ガードカウンター』の追加だ。『ガードカウンター』は敵の攻撃を盾や武器でガードした直後に反撃するアクションだ。

従来の『パリィ』よりもローリスクローリターンではあるものの、後述する敵の体勢を崩す助けになる強力な攻撃方法の一つだ。

また『ガードカウンター』の登場によって『盾』を使用するメリットが増え、装備の選択肢の幅も広がったと言える。

体勢を崩した敵に止めの一撃を入れよう。

他にもジャンプが何時でも可能な点が従来のソウルシリーズとは大きく異なっており、ジャンプを織り交ぜた回避や攻撃を行う事もできる。所見ではあるが、プレイした限りでは、こちらは『SEKIRO』等の経験が反映されている形に感じられた。

ジャンプ攻撃は強力なだけでなく、敵の体勢を崩しやすいというメリットもある。

重要となる新しいアクションとしては『戦技』の仕組みが少々変わった。『戦技』自体は『ダークソウル3』や過去のシリーズに似たものが登場しているが、『エルデンリング』では特定武器固有のモノ以外に『戦灰』と呼ばれるアイテムを武器に付ける事で使用する事が可能になっている。

『戦灰』は探索をして発見したり、特定のボスを撃破する事によって入手する事ができる貴重なアイテムだ。『戦灰』は対応した武器種にしか装備できないが、とある消費アイテムが必要になるものの、いつでも付け替え可能な点は有難い。

状況に応じて戦灰を付け替えよう。

仕組みが変わったものとしては過去作にもあった、敵に気付かれずにその背後に忍び寄り、強力な一撃を与えられる『致命の一撃』のシステムに変化があり、今作ではそれに加えてもう一つの状況下で『致命の一撃』を使用可能になった。

敵の背後から忍び寄って、一体ずつ片付けていくのも一つの戦い方だ。

連続で敵に攻撃を当てると敵が体勢を崩し『致命の一撃』を与えられるようになったのだ。この仕組みは同社の作品である『SEKIRO』のシステムを彷彿とさせる。

これによって、よりプレイヤーがアグレッシブに攻めるという選択肢もまた重要になり、戦い方の幅が増えたと言える。

霊体召喚

◆ 『霊体』の召喚は道中で入手できる『遺灰』を使用し、FPを消費する事によって共闘してくれる仲間(NPC)を召喚するシステムだ。

序盤から活躍する『はぐれ狼の遺灰』

ただし、プレイヤーから一定の距離以内に『還魂碑』と呼ばれるオブジェクトが配置されていないと霊体を召喚する事ができないので注意が必要だ。また、マルチプレイ時にも召喚する事はできない。

霊体は敵を引き付けてくれるため、ボス戦でも有効活用できる。

召喚した霊体は『還魂碑』から離れる、HPが尽きる、もしくはボスを撃破すると消滅する。といっても、また召喚可能なので心配する必要はない。霊体は強化を行い、成長させる事も可能だ。

召喚可能な霊体は様々な特徴を持ったモノがあり、敵を引き付けてくれる霊体や遠距離から攻撃してくれる霊体などがある。

プレイヤーのプレイスタイルに合わせて、『パーティ』を組むかの様に選んで使用すると良いだろう。

この仕様によって、ソロでプレイ時にも協力プレイの様な事が可能になったわけだ。PvPを行わないためであったり、ソロでプレイしたい時等にもプレイヤーの助けになってくれる。

ビルド

◆ 『ソウル』系作品の一つの楽しみと言えば、プレイヤーの操作するキャラクターをどのように成長させていくのか、所謂『ビルド』をどのように組んでいくのかという楽しさだろう。

まず重要となるレベルとステータスだが、キャラクターのレベルを上昇させるには道中で出会う『メリナ』に話しかける事で可能になる。

敵を撃破する事で入手できる『ルーン』と呼ばれる通貨を使用して、好きなステータスを強化して、レベルを上げていく仕組みだ。通貨の名称こそ異なるが、従来の『ソウル』シリーズと同様の仕組みになっている。

特定のステータスに特化したビルドを作る事も楽しみの一つだ。

ステータスは特定の武器や装備品を使用、装備する為に要求値を満たしている必要があるため、必要に応じて、あるいは好みに合わせて上昇させていくと良いだろう。魔術や祈祷も同様に要求値を満たしていないと使用できないので注意が必要だ。

レベルを上昇させることで強化可能なステータスは八つあり、『生命力』『精神力』『持久力』『筋力』『技量』『知力』『信仰』『神秘』となっている。

名称自体は過去の作品とは若干異なっているが、その殆どは強化する事で過去作と同じような結果をもたらす。

ただ、『持久力』を強化する事によってメインとなる『スタミナ』以外に『装備可能な重量の上限』も上昇する仕様になっているので、こちらの影響は大きいと言える。

何故なら、過去作では重量の上限を上げるためには別のステータスを上昇させる必要があったからだ。これによって、今作では“ビルドに関係の無い”ステータスを上げる必要性が無くなった点はありがたい。

他の点でも不要なステータスを極力は上げる必要が無いように調整されており、その点で言えば、新アクションである『戦技』の追加によってキャラクタービルドに関しては、過去作よりも自由度が高くなった。

例えば、近距離戦がメインのキャラクターでも『嵐の刃』等といった遠距離に攻撃ができる戦技を使用して、苦手な距離での戦闘をある程度はカバーする事ができるのだ。

過去作でも弓やクロスボウに武器を変える事で同じことができたのだが、その手間がある程度は省かれたわけだ。もちろん、この手自体は今でも取れるし、ビルドの方向性を無視するならば、魔術を習得する手もある。

特定の遠距離手段は確保すると良いだろう。

繰り返しになるがプレイヤーのビルドに関しての選択肢が増え、“自由度”が増したわけだ。

こちらはレビューとはあまり関係の無い事で、これからプレイされる方への筆者からの“お節介”となるが、このタイプの作品が初めてであるならば、最初は『生命力』と『持久力』を強化する事をオススメする。

メダリオンでステータスの底上げをする事も一つの手だ。

上記の二つのステータスはあって困る事は無いし、そこから使いたい武器に必要な分のステータスを振っていけば“器用貧乏”になったり、“詰む”様な状況を避けられるだろう。

難易度曲線

◆ 『ソウル』シリーズの流れをくむ作品であることからアクション自体の難易度は高めだが、理不尽な作りにはなっていない。

面白い点としては、チュートリアル以降に出現する敵や探索可能なダンジョン、登場する地形のタイミングが良く計算されており、プレイヤーの腕が徐々に上がっていくように上手く調整されている。

ダンジョンについてはプレイヤーがある程度任意のタイミングで行けるため、見落とされる可能性もあるが、それ以外の点ではよく作られた難易度曲線になっているように感じられた。

メインのルートからそれれば、いきなり強力な敵と戦闘が発生する場合も。

また、レベルの概念がある作品であるため、『レベル』を上げる事によって難易度の調整を行い『プレイヤーの腕が上がったかのように錯覚させる』事が上手い点も良い意味で過去作を踏襲している。

ひとつ付け足すならば、このタイプの作品では、プレイヤーが何らかの理由で『縛り』の様なプレイを無意識にしている場合もあるため、『難易度曲線が良い』というのは『プレイヤーが与えられたリソースを全て活用した場合』である点に注意して欲しい。

--------------------【悪い点】--------------------

イベント

◆ 良くも悪くも、過去の『ソウル』シリーズと同様に特定のサブクエスト、サブイベントを追う機能が無い。

そのため、プレイヤーが各クエストの内容を覚えていないといけないのだが、今作では前述の通りに『その他の探索要素』が多くなっており、自由度が格段に上がった弊害として、他のクエストの存在自体を忘れがちになってしまっている。

必要最低限の情報しか載っていないマップ。だが、『ソウル』系作品はこれで問題無いだろう。

誤解の無いように書くと、『ココに次のクエストがある』『ココへ行け』等のインジケーターが欲しいわけでは無い。これらの仕様はソウル系作品における発見する面白さを損なうからだ。

所謂、『おぼえがき』の様な受注しているクエストを思い出せるような文章を確認できる仕組みが欲しい程度だ。

カメラワーク

◆ 特定の状況とプレイスタイルによっては、過去作よりも自キャラが見えず、敵にハメられる場面が増えた。

例として一つ。ネタバレになるため詳細は伏せるが、狭い部屋で巨大なボスと戦う場面があるのだが、自キャラが殆ど見えなくなってしまう。

簡単なボスではあるものの、敵の攻撃がヒットしてるのかすら分からないような状況になるため、難しいというよりは理不尽に感じてしまう。

この他にも空中を激しく飛び回る敵はロックオンするとカメラの動きが激しくなり、たまったものではなくなってしまう。

最適化不足

◆ 筆者の環境の問題だという可能性もある点は留意してもらうとして、特定の場面で妙なFPSの低下や少しフリーズしたかの様な現象が発生する。

また、筆者の環境では発生していないが今作に搭載されている『EasyAntiCheat』が誤作動を起こしてプレイができないという報告もあるようだ。

いくつかの問題はパッチによって改善されたが、本レビュー執筆時点(『2022年3月9日』)では未だにいくつかの最適化不足による不具合が報告されている。

PCプレイするならば、注意しよう。

----------------------【総評】---------------------

『ソウル』シリーズを正統に進化させればどのような作品ができるのか。その答えの一つは間違いなく『エルデンリング』にあるだろう。

どの面をとっても正当進化を果たしている今作はソウルライクな作品が好きなプレイヤーにだけでは無く、これから初めてプレイする方にも是非とも手に取って欲しい傑作になっている。

広大なマップで心が躍るような冒険を果たし、王となる物語を楽しんで欲しい。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:


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