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【ゲームレビュー】メタリックチャイルド - Metallic Child【ローグライク/アクション】

※本記事はSteam(PC版)をプレイして書かれたレビューとなります

『掴んで、投げて、壊す』、見下ろし型視点のローグライクアクション。永続強化とアンロック要素あり。 宇宙船ライフストリーム号内で勃発した大規模な反乱。機械の少女【メタリックチャイルド】『ロナ』は産みの親である『アイリーン』博士の暴走を止めるため、巨大な敵ロボットの一団に立ち向かっていく。


----------------------【良い点】----------------------

物語、グラフィック、BGM

◆ 身も蓋もない事を言ってしまえば、キャラクター達に関しては良くも悪くも、ステレオタイプなキャラクターの性格つけがされているため、人によっては『鼻につくかもしれない』事に注意して欲しい。

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筆者としては、プレイヤーの分身と主人公『ロナ』の関係は現在よくスマホ向け作品で使用されている関係そのままである点は気になった。

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それらさえ気にならなければ、ステージをクリアする毎に少しずつ進んでいく物語は王道でお約束と言える展開であるし、所々で出現するユーモラスな会話や選択肢は面白い
特にストーリー中に出現するいくつかの選択肢が出てくる場面では、真面目な回答からユーモアに溢れた回答まで、なかなか個性的な選択肢が出てきてプレイヤーを笑わせてくれる。


アニメチックなデザインの登場人物達も魅力的だが、それもさることながら、ゲーム自体のグラフィック表現は良好で、特にキャラクター達は力が入った作りになっており、なかなか綺麗で印象に残った。


BGMに関しては各所で戦闘を盛り上げてくれるようなハイテンポなモノが多く、ゲーム性にマッチしている

ステージ選択型

◆ このタイプの作品としては珍しく『ステージ選択型』になっており、拠点からボス毎に決まったステージを選択して開始する

開発者は『ロックマン』シリーズのファンとの事なので、わかる人には『ボス選択画面』のような仕組みのメニューからステージを選択すると書けば伝わりやすいかもしれない。

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ステージは基本的には4フロア(階層)で構成されており、ボス毎のテーマに沿ったザコ敵やギミックが登場し、それぞれ個性的なステージとなっている

一部のステージはミニゲームに近いシューティングの様な操作性になり、ゲーム性自体が変わるモノも用意されている

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戦闘

◆ 『Metallic Child』では『掴み、投げ』『武器スキル』『チェーンスキル』『MCスキル』等を使用した、大雑把な難易度調整ではあるが派手で爽快感のある戦闘を楽しむ事ができる


掴み、投げ

敵やオブジェクトを掴んで投げるアクションは、今作でおそらくもっとも使用する頻度の高い行動の一つだろう

この技は説明する所が殆ど無いのだが、シンプルな動作ではあるが、SEやエフェクトの効果もあって非常に爽快感がある。巨大な敵は基本的に投げる事ができないので、注意。

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また、敵を攻撃していく事で溜まっていく『テイクダウンゲージ』が溜まっている状態で敵を投げると強力な攻撃が発動する。こちらも戦闘に爽快感を与える一つのギミックとして上手く機能しているように感じられた。


武器

戦闘で使用できる武器は『ハンマー』『ガントレット』『ソード&シールド』の三種類が用意されており、二つまで同時に持ち歩く事ができる。同じタイプの武器を二つ装備するという事も可能だ。

同じタイプの武器でも武器毎に異なった固有の『武器スキル』を保持しているため、状況によっては同じタイプを装備するという選択肢も重要となる。

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使用する武器はステージ選択時に初期装備として二つ選択する事ができる以外にも、ランダムにステージ内で入手する事ができる。ステージ内で入手できる武器にはレベルがあり、レベルが高い程能力値も良いモノとなる。

二つまで持ち歩くことができる武器は戦闘中いつでも瞬時に切り替える事ができ、特定の行動をキャンセルするために使用したり、スキル使用中に切り替える事で切り替え先の武器のスキルが強化された状態で使用される『チェーンスキル』を発動する事も可能だ。


この仕様を活用し、使い方が上達すれば敵に対してスキを余り作らずに攻撃を連続で叩き込む事ができるようになるだろう。ただし、武器は一度変更すると再度変更可能になるまで少々クールダウンが発生するため、使い過ぎには気を付けよう。


また、武器によって取れる回避行動が異なり、例えば『ガントレット』型の武器を使用時はローリングの様な回避行動を取るのに対して、『ソード&シールド』系の武器であれば回避の代わりに『ガード』を行う事が可能となる。どちらが強力というわけでもないので、好みと状況で使い分けよう。

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これらのスキル使用や回避行動を取る際には『エネルギー(他の作品で言うところのスタミナに近い)』が消費される。『エネルギー』は敵を通常攻撃する事で回復するため、上手く使い分ける事が戦闘で立ち回る時のコツとなる。


MCスキル

ボスを撃破する事によって、『ロックマン』シリーズの特殊武器に近い扱いになっている『MCスキル』を入手する事ができる。『MCスキル』はステージ選択時に二つまで装備する事ができ、いつでも切り替える事ができる。

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攻撃的なスキルやサポート系、果てには特殊なシューティングが始まる『MCスキル』等々、それぞれに特徴を持った強力な能力を発揮する事ができる

注意点としては『MCスキル』を使用するためには専用のゲージを消費するのだが、通常のスキルとは異なり回復手段が限られている。そのため、ここぞという場面で使用すると良いだろう

ランダム要素

◆ このタイプの作品のお約束といえるいくつかのランダム要素だが、特徴的なモノは『ミニコア』と『スーパーコア』のシステムだろうか。

ミニコア

敵を倒すと稀に敵がその場に残り『ミニコア』入手するか『ディスク(今作の通貨の一つ)』を入手するかの選択肢が出てくる。

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主人公である『ロナ』は『ミニコア』を食べる事で、自らにそれをインストールし、一時的に能力を強化する事ができる


『ミニコア』には様々な効果があり『敵を撃破でHP回復』『通常攻撃力アップ』等の恩恵を得る事ができる。ただし、これらの効果は短時間で無くなってしまうため、プレイヤーは効果が切れる前に素早くステージを回る事となる。

また、『ミニコア』は同時に三つまで装備する事ができ、三つ揃った状態であれば主人公の攻撃力等の基本性能が一時的に強化される


『ミニコア』入手時には『バグコア』を入手する場合もあり、こちらは何らかの不利な効果を一時的にプレイヤーに与えてくる。所謂デバフだ。

だが、『バグコア』の入手はデメリットだけではなく、メリットもある。『バグコア』の効果が切れると下記する『スーパーコア』の一部の能力を取得する際に必要な通貨が手に入るのだ。

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スーパーコア

敵を『テイクダウン』を使用して撃破したり、何らかの方法で道中で入手できる『エッセンス』が一定値溜まると『コアレベル』が上昇し、『スーパーコア』を装備可能になる。

『スーパーコア』は『ミニコア』と同様に様々な効果を発揮してくれるが、こちらは『ミニコア』とは異なり時間制限の無い強化要素となる。と言っても、ローグライクな作品らしく、効果は現在のステージでのみ適用され、拠点に戻るとリセットされる。

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『コアレベル』は10まで上げる事ができ、最大で『スーパーコア』を10個セットする事ができる。


その他

武器やアイテムの入手できる宝箱、ディスクを消費して回復薬や武器を入手できるトレーダー、クエストをくれるNPC等、基本的な要素を取り揃えている。

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面白い要素の一つとしては、戦闘で役立つものとして、冗談のように聞こえるかもしれないが、猫耳の生えた黄色い『ロックマン』の様な『パワーボッツ』と呼ばれる装備がステージ内に配置されている場合がある

装備する事によって時間制限付きではあるものの、遠距離攻撃、どう見ても『ロックバスター』、を連射できる非常に優れた装備になっているので、見つけたらとりあえず使ってみると良いだろう

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永続強化要素

◆ 上記した一時的な強化要素以外にも、ステージ内で敵を撃破したり、後述する『チャレンジ』を達成する事で入手できる通貨『チップ』を使用して、拠点の装置で永続的な強化を行う事ができる

アンロック可能な要素の一つに能力値だけではなく、主人公『ロナ』の外見にも影響を与える『カスタムパーツ』がある

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『カスタムパーツ』はチップを消費する事によってアンロックする事ができ、一つのみ装備する事ができる。

『特定のMCスキルの強化』から『ステージ中に入手できるディスクとチップ増加』等の効果を持った様々なパーツが用意されている。


他にも『アップグレーダー』では『最大HP』や『バッテリーの最大値』等といった、基本ステータスの強化を行う事ができる。こちらも『カスタムパーツ』と同様に『チップ』を使用して強化を行う。

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ゲームに詰まってきたら、これらの強化を行ってから進めるというのも一つの選択肢だろう。

難易度設定

◆ ゲーム開始時点では、難易度は簡単なモノから『Story』『Easy』『Normal』『Hard』の四つから選択してプレイする事ができ、ゲーム内のラボでいつでも変更する事ができる。

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キャラクターを永続的に強化する要素もあるため『Normal』でもそれほど難しくは無いが、「アクションが苦手だが今作の物語を楽しみたい」という事であれば難易度『Story』を選択すると良いだろう


また、最終手段として、設定画面で『無敵モード』をオンにしておけばそもそも負けることが無くなるので、特に拘りが無ければ、そちらを試してみても良いかもしれない。

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やり込み要素

◆ 本編をクリアする以外にもやり込み要素が用意されている。特定の条件を達成する事で報酬として『チップ』が入手できる『チャレンジ』、ステージ毎のクリア評価である『ランク』、各種永続強化とアンロック要素。

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その他にも特殊な課題を持った高難易度ステージを攻略する『バーチャルミッション』等だ

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----------------------【悪い点】----------------------

大雑把な難易度とランダム要素

◆ 本作はプレイする毎にステージの形状や敵の配置、イベント、入手できる各種『コア』がランダム生成される。だが、それらの難易度に繋がるようなランダム要素はお世辞にも上手くまとまっているとは言い難い


コア

『ミニコア』による一時的な強化システムと『スーパーコア』によるステージ内での永続強化を活用したシナジーを殆ど発揮する事ができない。シナジーが発揮できない理由は二つあり、入手できる『ミニコア』自体を選択できない点と時間経過で『ミニコア』の効果が切れてしまうからだ。


特に、通常の戦闘よりも長引く事の多いボス戦では、戦闘の中盤辺りから『ミニコア』の効果が切れる事が多く、『ミニコア』自体が空気になりがちだ

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また、両コアともあからさまに強力なコアがあり、シナジーが殆ど発揮できない事もあり、単体で強力なそれら以外は使用する機会がほぼ無い。

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武器

ランダムに入手できる武器でも似たような事が言える。各系統の武器には強力な物とほとんど使用する機会のない武器とに分かれている。
それに加えて、プレイヤーのプレイスタイルの傾向によっては、道中で発見する武器の大半は不要となるモノが多く、見つけても有難味がほとんど感じられない。

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このタイプの他の多くのローグライク作品が『必要のない武器を通貨(今作で言えば、ディスク)に変換する』といった類の機能があるのに対して、今作では特にそういったシステム的な対策が取られていない点も問題と言えよう。

ステージの長さ

◆ 『ロックマン』シリーズの様にステージを選択可能というように前述させていただいたが、その各ステージ内が恐ろしく単調かつ、長い

どのぐらい長いかと言えば、フロアが四つある基本的なステージをくまなく探索してクリアすると40分~1時間程かかる

他のローグライク/ライト作品に馴染みが無い方向けの情報としては、1時間というのは、他の作品によっては1ゲーム(ステージではない)クリアできる程の時間になる。

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ステージを更に長く感じさせる要素として、別項目で書かせていただいたようにそれぞれのテーマに沿ったモノはあるが、ステージ内のギミックとランダムイベントがほぼないという点も重要となる

最近流行りというと少し語弊があるが、直近で発売されている多くの『見下ろし型視点のローグライクアクション』作品の傾向としては、ステージ内のギミックがシンプルにまとまっている。

理由としてはプレイヤーの行動を阻害するようなギミックが大量にあるとゲームのテンポを悪くしてしまい、テンポの悪さがそのまま戦闘やゲーム自体の爽快感の喪失に繋がるからだ。

だが、それらの作品のゲームプレイは短くまとまっているからこそ繰り返しプレイによるマンネリと単調さを誤魔化せるのであって、『Metallic Child』程1プレイが長いとそうもいかない。


改善案としては、ステージを長くとも30分ほどでクリアできる程度に短くして、各種バランス調整を行った方が繰り返しプレイを行いやすくなるように感じられた

視認性の悪さ

派手な演出に加えて、一部の攻撃時やエリアではカメラが主人公に近付きすぎるために、敵の攻撃を視認する事ができない事が度々発生する

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特にボス戦では敵から離れすぎるとボス自体が画面外に出てしまい、視認する事ができなくなってしまう。


カメラのズームに関しては設定画面で『固定』や何らかの設定変更が可能であれば良かったのだが。

-----------------------【総評】----------------------

エフェクトや攻撃が派手なだけでなく、敵を撃破した時に発生するSEの出来も良いため、戦闘は非常に爽快感がある

直近で発売されている見下ろし型視点のローグライクアクション作品の中でも『メタリックチャイルド』は簡単な部類に入るが、難易度も細かく調整が可能であるため、ストーリーを楽しみたいがアクションが苦手という方でも問題なく今作をプレイする事ができるだろう


一方ではステージが単調かつ長い事と戦闘中の視認性が悪かったり、それを調整できるような設定項目がオプションに無かったりと、戦闘やシステム面の調整は良くも悪くも大雑把となっている事が玉に瑕と言える

プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


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