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日々是紅茶㉜<番外編>「お釈迦さまに捧げるバースデーティー、甘茶」

今回は番外編。

4月8日は、お釈迦様のお誕生日と一般的にはされていて、各地のお寺では「花まつり」という行事が行われている。
仏教国の中には、旧暦でお祝いする場合もあるし、スリランカにおいては日付ではなく、満月の日にお祝いするので、新暦5月に「ウェサックポヤデー(5月の満月の日)」にお祝いする習慣がある。

日本における行事は?

暦によっても変わるので、4月8日に本当にお釈迦様が生まれたのかも定かではありません。
しかし、7世紀ごろに中国から日本に伝わってきてから現在まで、4月8日に仏教行事である灌仏会(かんぶつえ)が行われています。

この灌仏会が花まつりになった理由も諸説あり、「ルンビニーの花園で生まれたことから転じて花まつりになった」という説や、1901年にドイツに留学していた近角常観(ちかずみ じょうかん)がドイツの“Blumen Fest”を「花まつり」と訳して日本に持ち帰ったという説があります。

https://www.e-sogi.com/guide/20380/

日本のお寺では一般的に、誕生したときのお釈迦様の像に、甘茶と呼ばれるお茶をかけて、お花をお供えするという慣習がある。

この甘茶というお茶は、「チャノキ」から作られたお茶ではなく、ヤマアジサイの変種である「アマチャ」という植物の葉で作られるいわゆるハーブティー。
実物を見たことはないので添付の写真は、タマアジサイだが、検索するとすぐに画像で出てくるので見てみてほしい。
その見た目は、まさにヤマアジサイ。

こちらはアマチャではなくタマアジサイ
見た目はとても似ているが葉っぱの様子が違うらしい


そして名前の通り、とっても甘い。
甘味を感じさせるハーブの仲間で言うと、ステビアが砂糖のうん十倍、リコリスがうん百倍とも言われる中、アマチャは1000倍とも(!)言われる程、強い甘さを感じられる特有の成分がある。
しかし、そのままの生葉では苦くて甘くないらしい。

アマチャは、加工調製で発酵させることで甘くなります。夏に葉を採取し、水洗いした後、約2日間日干しにします。これに水を噴霧し、むしろをかぶせて1日発酵させた後、手で葉をよく揉んで、さらに乾燥させて仕上げます。このようにして調製すると、葉は甘味を生じ、縮んでしわが多数あるアマチャができます。
アマチャは「甘茶」の名の通り、特異な甘みがありますが、生の葉は苦くて甘みがありません。この苦味は、グルコフィロウルシンが含まれているためですが、このグルコフィロウルシンが酵素の作用で(加水)分解されると甘みの強いフィロズルチンに変化します。
フィロズルチンは、砂糖の約1,000倍の甘さがあり、かつて砂糖が普及するまでは甘味料として利用されていました。

https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crudem/140327/index.html

ひとが手を加えることで、新たな一面を見せてくれる植物。
これは、「チャノキ」にも通じるところがあってとても興味深い。

さて、この日、この甘茶をお釈迦様に浴びさせる代わりに(ベイビーシャワーみたいだ)、私はアマチャブレンドティーを作ってみた。
好奇心でなんでも紅茶に入れてみたくなる。
使ったのはこちら

〇セイロンティーのシャンパンとも呼ばれる「ヌワラエリヤ」
〇アマチャ 
〇矢車菊とカレンデュラの花


紅茶葉はいつもなら5gのところ4gに減らして
お花もルンビニをイメージしてプラスしてみた
右下の青みがかったウーロン茶みたいな形のがアマチャ
「MITSUTEA」さんのヌワラエリヤと
「和ハーブスタイル」さんの甘茶

甘茶の使い方は気を付けなければならないとは聞いていたけれど、本当に甘味をしっかり感じられるので、入れすぎに要注意。
今回300㏄のお湯に対して0.4gとしたけれど、もっと少なくしてもよかった。ほんのひとつまみ入れるだけでもいいくらいだった。

ちなみに、アジサイにはこの成分は含まれていないので、乾燥させても揉んでも甘味は出ないそうだ。
なにより紫陽花は人間にとっては有毒で、食用飲用は出来ない。
見た目は美しいけれど要注意だ。
ヤマアジサイの変種であるとされる「アマチャ」。
それにしても、変種って微妙な変化が大きな変化につながっている。
自然の甘くて甘くない世界で、甘さに転んだ一例。
あくまで人間にとって、かもしれないけれど。
とにもかくにも、お釈迦様のお誕生日は甘いケーキではなく、甘いお茶を捧げましょう。
という話。



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