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セイロンティー7大産地⑥甘い香りとコクを使い分ける「サバラガムワ」

セイロンティーの7大産地も6つ目。
北部の標高の高いところから順に追っていたので、今回のサバラガムワと7つ目のルフナは標高の低い南部の紅茶となり、今まで紹介してきた紅茶とキャラクターが大きく変わる興味深い産地の紅茶だ。

製法は、主にストレートティー用には「ローグロウン製法」と言われる製法で製茶していて、ミルクティー用には「CTC製法」という製法で製茶している。
そのため、同じ産地といえども、この二つは美味しいポイントも使い道も全く変わってくるので、使い分けするとより美味しく楽しめる。

まず、おさらいも兼ねてざっくりとセイロンティー全体の特徴を言えば、大きく分けて、標高別に「ハイグロウンティー、ミディアムグロウンティー、ローグロウンティー」という分類がある。
標高の高い産地ほど、香りが華やかで紅茶本来の心地よい渋みを持つすっきりとした味わいとなる。標高が低くなるにつれて、香りは穏やかになる反面、甘味や香ばしさ、コクも加わり、味に厚みが生まれてくる。

これは、土地の気温差や日射量、雨量などを含めた気候や地理、土壌の影響ももちろん大きいところだが、実はその特徴を生かして、製茶の方法も変えているのだ。

詳しくはここでは割愛するが、サバラガムワはスリランカ南部の主に平地で、赤道にも近く気候も安定した熱帯気候。シェードツリーと呼ばれる、日よけ対策も兼ねた中高木が植えてある以外は、さんさんと太陽の光が降り注ぐので、一年中比較的安定して紅茶を生産することが出来る。
雨も多く降り、茶葉の生育は早く、大葉種と呼ばれるアッサム種に近いおおぶりな茶葉なので、乾燥して縮むのが性の紅茶にとってうれしいかな、量産にも適している。


素朴な穀物の風味や柑橘の香りとも相性がいい

ストレートティーにおすすめは、OP(オレンジペコー)と呼ばれるフルリーフに近い大きめの茶葉か、もしくはBOP(ブロークンオレンジペコー)。
ローグロウン製法ならではの、天然の甘い「蜜香」を引き出したタイプは、ストレートティー単体で飲んでも、最後まで美味しく飲み切ることができる。もちろん、シンプルな焼き菓子などと合わせても素朴さが伝わり美味しく食べ合わせることができる。
ほのかにほろ苦く、コーヒー党の人にも好かれやすい。
実際に、薄めに淹れたコーヒーのような、深い赤みのある褐色をしている。
スリランカ紅茶局は「スカーレット色」でスタイリッシュな紅茶と表現している。
その色味に反して、意外と渋みは少なく、砂糖などの甘味を加えなくても甘い香りのおかげで実際に甘味を感じやすい。
優しい味わいとなり、渋みが苦手という理由で紅茶を敬遠される人にもおすすめの紅茶だ。

ちなみに私は夏場、このサバラガムワで作るアイスティーに、自家製のジンジャーエールシロップを加えたジンジャーティーが好き。
ジンジャーが特に合う茶葉だと思う。

炭酸の代わりにジンジャーティー

また、一方でミルクティー用に「CTC製法」で作られたサバラガムワの茶葉は、コクと香ばしさのあるミルクティーが作れる。

レッスンでも扱うバナナとの組み合わせ

CTC(CRUSH潰す TEAR引き裂く  CURL丸める)という位だから、茶葉の成分をしっかりと発酵させていく過程の中で、もちろん渋みも含めた味の強い紅茶が生まれる。ただし、この茶葉はミルクに負けにくいので、コクのあるミルクティーにするのならピッタリの茶葉となる。これをストレートで飲もうと茶葉を減らすかお湯を増やして薄めて飲んでも、OPやBOPのような甘い香りは立ちにくく、苦しぶ~い紅茶が出来てしまうかも。よっぽど渋いお茶が好きな人でない限りは、ちょっと飲み進めるのがつらい。
好みの問題ではあるけれど、そんなリスクを負う位ならば、ストレートはストレート用の茶葉で、ミルクティーはミルクティー用の茶葉で、上手にサバラガムワを使いこなしてほしいな(笑)


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