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憧れて入社した会社で得た財産

新卒で入社した会社は超ゴリゴリの体育会系、営業会社だった。会社規模はまあまあ大きくて、上場しているし、色々な事業を手掛けているし、入社前はとてもキラキラして見えた。

※「ゴリゴリの体育会系営業会社」とは?

(※)まず、「おはようございます!」が「うっす!」、「はい!(返事)」も「うっす!」。

(※)終電で帰るの普通。終電逃すこともしばしば。

(※)営業には高ノルマが与えられる。

(※)毎月月末の社内は戦場。「なんで(契約)取れねーんだ?!」「(今月見込んでた契約)落としてんじゃねえよーーー!」「(契約)取れるまで帰ってくんなぼけーー!」といったような言葉が社内を飛び交う。

私が配属されたのはIT系ソリューションを提供する法人営業の部署で、入社してすぐに、業界の知識やその部署で取り扱っている商材についての研修を受けた。1日中、眠気と戦う座学(実際寝てた)。でも定時に退社できるし、退社後は同期との飲み会に参加して、「社会人楽しい〜!!」と、余裕をかませることができたのは束の間。その研修はわずか3日間で終了したのだ。

4日目から、「はい、行って来い!」と言われるがままにスタートした新卒社員による飛び込み営業キャンペーン。1人1人に担当エリアが振り分けられ、私に与えられた神保町・御茶ノ水エリアを片っ端から飛び込んだ。その時受けた使命はもちろん契約を取ってくること、それと「まずは名刺をもらって来い」というものだった。その飛び込み営業期間は2ヶ月間。新卒社員には獲得した名刺の数と契約件数に応じてポイントが与えられる。そのポイント数が多い人順に毎日ランキング集計され、社内メールで全社員に【速報通知】的な形で結果が晒されていた。私はその時、「あぁ、名刺取ってくりゃいいんだ、それで同期に勝てるんだ」と思って毎日100件〜150件の会社に飛び込んでは名刺交換をしてもらい、飛び込みで上手くいかない日は道端のサラリーマンに声をかけて名刺を獲得していた。

神保町・御茶ノ水と言えば日本の大手企業が本社を置いているようなビジネス街でもあるが、それ以上に雑居ビルの一室を事務所とするような中小・零細企業の方が圧倒的に多かった。雑居ビルの一室に飛び込むのが1番恐怖で、怒鳴られては門前払いされまくっての繰り返し、涙する日もあったが、「若いのに頑張っているね、名刺だけで良ければ交換するよ!」と言って快く名刺交換してくれる心温かい人々に救われていた。

「営業は動いた分、結果に繋がる」というのは割と本当で、私は同期の中で最速で契約を取ることができた。名刺の獲得数も上位を収めていたので、その「新卒キャンペーン」にて総合結果2位という良成績となり表彰された。その時の達成感は忘れられない。(1位以外はビリと一緒、的な言葉は受け付けません笑)

何より、当時私が所属していた課の先輩・上司からの喝采が嬉しくて嬉しくて。

入社前は、ただただ輝いて見えた会社だったけど実際は泥臭い営業会社だということにこの時点で気付いていたが、それでもこの会社に入ってよかったと思った。

これが私の社会人スタートとなった。現在はこの営業会社を絶って別の会社に転職をし3年半が経過しようとしているが、その時経験をした「飛び込み営業」は私の財産になっている。

どんなに苦しいことがあっても、「あの時頑張れたのだから、今の『苦』も必ず乗り越えられるのだ」と。

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