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実力不足を痛感したシーズンに得た、希望と課題【2023シーズン 振り返り】

あれやこれやと色々書いては消してを繰り返したら、CSが終わってしまった。強者たちによる祭典、真の王者を決める短期決戦に学ぶことは多く、同時にファイターズの弱さを痛感する。1点差は僅かな差のようで圧倒的な力の差だと知った1年は、もどかしくて悔しいシーズンとなった。そんな2023シーズンを野球未経験の身で毎度どの面で申し訳ないが振り返っていこうと思う。

開幕早々、北の大エースに痛感させられたファイターズの未熟さ

シーズン開幕戦。メジャーの難しさやレベルの高さを知り、優勝や日本一の味を知る田中将大から経験の差を突きつけられた。簡単に「経験」とは言うが、それはただ時間を長いこと過ごすだけでは得られないものだ。短くもその中でたくさんの知識や濃い体験が「経験」を積んでいける。無論、これには「時間経過的な経験」と「アハ体験のような一瞬のきっかけを得られるような経験」など、様々な要素が含まれるだろう。そう考えると、今のファイターズには「経験」が圧倒的に足りない。プロ野球選手として10年以上生活していても、ずっと2軍にいては優勝の味は分からない。実際ファイターズが優勝、日本一を果たした2016年に一軍で主力だった選手の多くは既にチームを去っている。ほとんどの選手が一軍生活2年目3年目の「超絶若手球団」がどのように経験を得るのかが今年のポイントであったことは間違いない。

その中で多くの「経験」を勝ち取ったのが万波中正である。開幕前、ななつぼし班としても特別な期待を抱いていたわけではなかったが、キャンプの途中で彼がどうやら侍ジャパンへサポートメンバーとして合流するらしいと知った。なぜ彼が選ばれたのかは今も想像の範囲でしか語ることが出来ないが、ロッテの藤原・岡と共にたった数日合流しただけで、彼の中で何かが変わったのをななつぼし班は見逃さなかった。その何かを言葉にするのはとても難しいし、他人に伝えるのはもっと難しい。ただ彼が侍ジャパンで何かを感じ何かを見たのは間違いないのだ。ファイターズに帰ってきた万波の目は今まで見た事ないくらい鋭く、別人のようなオーラを身にまとっていた。

それでも新庄監督は宣言通り「四番・野村佑希」を開幕スタメンに据えた。一方で万波は私たちが感じた「何か」が勘違いだったのかというくらい、大人しく静かに開幕を迎えた。元々の登録の通り外野スタメンだけでなく、一塁手としても試合に出場。クリーンアップや上位打線など、様々な場所を任されることになった。そうするうちに、彼は得点圏での勝負強さを見せ、5月末に4番の座を奪うと他球団の強打者らとホームラン王を争ってみせたのである。ずっと欲しかった右の大砲。若き才能の開花の瞬間が間近に迫っていることは、来季を迎える上で大きな希望と言えるだろう。

「6.24」の重み

今季のファイターズを語る上で外せない試合がある。「6.24」と称されるその試合は、夢のAクラスがその目に捉えられるかどうかを握る重要な一戦であったのだが、9回に2度のスクイズ失敗で勝機を完全に失った。この敗戦は結果的に7月の13連敗を引き起こす大きな要因となった。

あの試合がなければ……
あの場面でスクイズ以外の選択をしていれば……

多くのファイターズファンがそう嘆いているのを目にした。現地でもあの日のプレーを指摘し、野次を飛ばす人もいた。新庄監督も「あの日のスクイズ」みたいなプレーが選手の成績がガクッと落ちたことへ責任を感じているようだった。ああいう仕掛けにいくプレーは成功すれば一気に常勝、失敗すれば一気に転落へ直結してしまう。弱いチームにとって勝負の一手はどうしたって劇薬であることに間違いはないだろう。

ただ、あの試合を現地で見て違うことを思った。あのプレーは、あの時スクイズをしに行った石井一成が下手くそだとかハムが弱いからだとか、そんな理由で失敗したのでは無い。あの時、完全に感覚が冴え渡ったバッテリーの「読み」が完璧だった。テレビ視点で見ていた方は、ああいうサインが出続けたことへ怒り呆れたのかもしれないが、現地で見ていた分には「読みが冴えた」だけだった。

あまりタラレバを語るのが好きじゃないが、もし仮にあの場面がヒッティングのサインだったとして、内野フライとか得点に繋がらない打球が飛んだ場合、ただの敗戦として処理されるのだろうか。スクイズというイレギュラーなプレーがあの試合の価値を変えたのだろうか。違う。博打のようなプレーがあろうがなかろうが、あの試合を含めた千葉3連戦はそもそも「負けてはいけなかった」のだ。あれを勝たないと上に行けないし、セ・パ交流戦でノリに乗ってきて、上が見えそうなところまで行けたのに、そのチャンスを自分たちのミスで手放した。同じように「勝たなければならない」試合を今年は何度も落としてきた。9月の楽天3連戦はその一例だ。チームの3本柱を投入したのに3連敗。我が軍の誇る3エースが投げて勝てない、流れを捕まえられない。試合の中のワンチャンスだけじゃなく、重要な一戦を勝ちきれないことがファイターズの弱さだ。

なぜ勝てないのか。それはミスが多いからだ。今季は両リーグ最多失策となり、昨シーズンより増えてしまった。「6.24」の試合のような攻撃のミスも多かった。勝つパターンが増やせないから戦い方は淡白になる。そうなれば相手から見れば怖さはないし、ある程度準備も対策もできる。「6.24」の時、打者が石井一成だったことで、捕手の田村が「スクイズやってくるよな」と準備が完全にできてしまったように。あらゆるミスの多さゆえに限定的な作戦しか出来ないことがファイターズの勝ちを遠ざけてしまっていると感じる。

今回のCSでもひとつのミスが命取りになる場面を見かけることがあった。1球の間違い、継投のミス、攻撃のチグハグさ。少しでもそれを見せるとそこに付け込まれもうひっくり返せないのが短期決戦の恐ろしさである。稀に「幕張の奇跡」と名がついた起死回生の一撃のようなものが生まれて大どんでん返しをすることもあるが、基本的には流れを一度呼び込んだらそのまま敗戦への直行便へ乗ることになる。上に行くためにはそういうミスの確率を減らすことが何よりも重要だ。秋にエスコンの芝に慣れるための守備強化キャンプが行われることが決定しているが、まずは球場を味方にして、守りからリズムを作るファイターズを取り戻してほしい。

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ななつぼし班としても実は過去最もしんどい1年であった。互いに流行り病に感染し、しばらくの間体調が戻らないためにメンタル面もやられた時期があったり、個人的には生まれて初めてアレルギーによる症状が出て身も心も苦しく、野球が二の次になることは多々あった。仕事の都合で母も私も試合を見れない追えないという日もあって、手帳会議は難航した。宮崎駿と私の中の阿久悠が救ってくれた日も多く、彼らには感謝してもしきれない(?)。

苦しいながらにも今年も名作が沢山生まれたと思う。今年は昨年のような手帳総選挙を行わなかったが、さすがにポリーGM最多登板数を更新(=敗戦数が昨年より増加)してしまったことを受け、「ほぼ日ハム手帳大賞2023」を開催しようと考えている。日本シリーズ後くらいを目処に行うつもりなので、しばしお待ちを。

ともかくまぁ、来年の春、勝ちに飢えた選手たちが目をギラギラさせてポジションや一軍の座を奪い合い、他チームにひと泡吹かせられる程に成長してくれることを願っている。落ちるところまで落ちたわけだし、あとは這い上がるだけ。伸び代はシーズンの最終盤でたくさん見せてもらったし、大いに期待しようと思う。来年はエスコン行けるといいなぁ……店長が希望休を通してくれますうに🙏

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