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【お蔵入り回避】ななつぼし親子で対談やってみた。

2022年12月某日。ほぼ日ハム手帳の面白さをより伝えるべく文章にまとめたいと思っていた私は、思うような文章を書けずにいた。そこで、ななつぼしへのインタビューを敢行し、さらに「このインタビューを録音すりゃいいんだ」ということに終盤で気がついた私は、iPhoneの録音機能を使って約2時間も親子のそっくりすぎて聞き分けする困難になった録音データを作り出すことに成功した。まとめられなかったがためにお蔵入り寸前だったが、供養してやりたい気持ちもあり、開幕寸前のタイミングでここに残そうかと思う。ちなみにテーマは「ほぼ日ハム手帳の裏側」である。文章にするにあたって、口調が本人のものとかけ離れている部分が出ているが気にせず見てほしい。実際、もっと雑な会話をしているので(特に私)。また一部、私視点からの補足を加えながら手帳の裏側をより客観的に伝えられたらと思う。

対談スタート。ほぼ日ハム手帳の"こだわり"とは?

ムスメ:「ほぼ日ハム手帳」として今年はいろいろなことがあったけど、振り返ってみてどう思う?

ななつぼし:今年(2022年)は上がる写真がバラエティに富んでいたなと思うよ。まさに「BIGBOSS効果」だと思う。プロ初ヒットの時に監督が記念ボールをもらう場面とか、写真としてあがることが珍しいものも多くて、写真選びの選択肢が増えた。手帳を構成する上でパターンが増えることはとてもありがたい。BOSSのおかげで手帳づくりが楽しかった一年だったよ。

ムスメ:確かに今年はBOSSが手帳にもたくさん登場したね。手帳に載せる写真としてこだわっていることはあるの?

ななつぼし:自分が面白いと思った場面を載せるようにしてるかな。面白いと思ってもスポーツ紙に載る写真とは限らないから、そういう時はGAORAさんとかパテレ(パ・リーグTV)さんのダイジェスト動画のスクショに頼っちゃう。それでもないときは諦めるしかないね(笑)

ムスメ:写真もたくさんの中から選んでるわけでしょ。実際どうやって選んでるの?

ななつぼし:紙面としてのまとまりは意識しているかな。例えば活躍した人が全員左打者だった時、頭の向きが同じ写真ばかりを載せないとか。写真の向きは一番気を付けてるかも。ページの中に動きが出るようにしたいからさ。

ムスメ:なるほど。それであれだけの臨場感が生まれるのね。

ななつぼし:たくさん写真があればいろんなパターンを作れるけれど、そういう日ばかりじゃないでしょ?勝っても写真が少ない日もある。そういう日は今年に関して言えばBOSSの言葉からヒントをもらっていた。何かコメントがあればそこに寄せた内容にする。でもね、写真のない日はBOSSのコメントも広報経由になっちゃうから、そうなったときはもう必死。とにかく埋めるために写真を探すしかない。(ちなみに監督コメントもない日は勝ち負け問わず軽く絶望します)

ムスメ:確かにそう(笑) 「素材」がない日はどうしても時間かかってるよね。

ななつぼし:時間をかけると言えば、その試合のスポーツ紙の記事は全部読むようにしてる。手帳の中の言葉は、新聞記事のタイトルとできるだけ被らないように考えるけど、そのためには記事に使われていない言葉や被ってしまった場合は別の表現を使うようにしているから、全ての記事に目を通しているよ。見出しになりそうだけどならない言葉や短い一言で何をしたのかわかるものを思いついたらすぐにメモする。その言葉が試合内容から逸脱していないかも、記事を読むことで確認できるしね。

2022シーズン版ななつぼしのイチ推しページ

2022シーズンは面白い試合が多かった。ツーランスクイズとかフェイクありのダブルスチールとか、いわゆる「奇策」を見る試合や、ノーヒットノーランなどの記録も生まれた。一方で負けた試合も多く、結果的にぶっちぎりの最下位に沈んだ。

ムスメ:試合としての面白さを度外視にして、ほぼ日ハム手帳から見た面白かった試合は?

ななつぼし:やっぱり5月26日のヤクルト戦3試合目かな。あの試合の中継を見てて、BOSSが教授(北山亘基投手)のそばに行ったときに『この写真(BOSSとのツーショット)を絶対に載せたい!』と思って。正面からの写真だと表情は分かるけど、この試合に教授が登板することの意味とか重さを感じられないと思ったんだよね。あの時ファンもみんな、あの背中に全部を託した。教授の投げている写真で顔はちゃんと見えているし、構成的にも正面の写真を手帳に残す必要はないと思ったのもあって、教授の背中の写真を探してた。そしたらBOSSの手が教授の背中に手が回ってて、中継では見えなかった二人の顔の角度を見て、『これしかない!』って思ったんだよね。

ムスメ:そうね、あれは今見返してもグッとくる。

ななつぼし:実はこの日、教授とBOSSの写真を待っていたら、ちょく(石川直也投手)の指差しがドーーーンと出てきたんだよね。それまではビビッと来た写真じゃないけど、3年ぶりの白星ってことで載せたくて写真を選んでたんだけど、救援だったから普通の投げてる写真しかなくてそれで妥協しようとした。そしたらあの指差しが来たもんだから、嬉しそうな顔が良くってギリギリで『ちょく、おかえり!』って、それだけ入れたくてた変更したの。

ムスメ:他にも勝った試合でこだわりの詰まった日があるよね。

ななつぼし:9月17日に開催された『FIGHTRES CLASSIC』だね。あの日は私の『始まり』が集結していた。あのチームがあったからファイターズを好きになったからさ。ヒルマンが来日してセレモニーがあるって知ってから、勝とうが負けようが左のページは確定演出だったの。特に外野会議を入れるのはマストだったね。当然メディアもたくさん写真をあげたけど、その中から当時中継で一番見ていた角度にこだわった。うちらが見ていたのはこの写真だったでしょ?稀哲(森本稀哲氏)がSHINJOと稲葉(稲葉篤紀氏)を見ているような、でも実際は3人がそれぞれ中心を向いて膝をついているっていう構図。あの頃の再現にこだわりたかったんだ。

ムスメ:この日の手帳は勝利の立役者よりも今川優馬選手の笑顔が印象的。

ななつぼし:写真を探しているときに、優馬が塁間を笑顔で走り抜ける姿を見て『この写真は外せない』と思ったんだよね。手帳としては勝ち負けを決定づけるシーンは絶対外せないと思っているんだけど、それを上回るのが優馬の夢が叶った瞬間だった。試合の内容よりもドキュメンタリーのようなストーリー重視。『このユニフォームを着て満員の札幌ドームでホームランを打つ』っていうだけじゃなくて、彼が見ていた選手や監督の目の前で、それを叶えるサクセスストーリーを収めたかった。この日だから意味も思いも強くなる。そういうのを詰め込んだページなんだよね。

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ムスメ:勝った試合は写真の切り抜き、負けた試合はポリーGMが登場するイラスト回になるわけだけど、実は最初からこの形じゃなかったんだよね。

ななつぼし:最初の時は真面目に描いていたし、かわいく選手を励ますポリーちゃんっていうイメージだった。でもそれがいい意味で崩壊したのが2019年の道東シリーズ。それまでは選手の似顔絵が中心で、たまにポリーが出てくるみたいな感じ。でもこの8月27日の試合で初めてポリーを結果から派生したネタでいじったんだ。さらにその翌日は日没コールドになっちゃってポリーが白目をむくという…。ここから今のポリーの形が始まって。ジブリの仮装を描くのもこの後で、だんだんポリーGMとしてのキャラが確立していったんだよね(笑)

ムスメ:ちなみに、母さんは簡単な漫画なら描けるけど、一枚の絵にこだわってる理由とかあるの?

ななつぼし:起承転結を考えるの大変じゃない?(笑) そういうのもあるけど、一枚のほうが今日の試合でななつぼしが注目したところはどこ?って聞かれて、ここですって伝えやすいから。この一枚に全部託すっていう感じかな。

ムスメ:それを考えるのも大変だけどね。私もネタ会議に参加しているけれど、ああでもないこうでもないって議論して数時間かけてあのネタにたどり着く。6時間かかったこともあったね。

ななつぼし:結局何と紐づけするかってことなんだよね。例えば7月18日の『サイコロの旅』は、残塁が多い=ホームに還れない=帰れないっていうところからきているし。あとはキャラクターを使うときはその世界観を崩したくないから、セリフや表情など元ネタを絶対順守で描いているの。だからセリフの言い方がきついと思われても、元ネタがそうだから仕方ない。

こちらの画像は7月18日の「サイコロの旅」ネタの会議の様子である。私がバイトに行っており、帰宅中にLINEで突如として会議が行われ偶然にも残っていたものが発掘されたためここで紹介する。黒丸の番号順に読んでもらうと分かるようになっている。少しでもネタ会議の様子が伝わればと思う。(白吹き出し=ななつぼし、緑吹き出し=ムスメ)

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ムスメ:今年はイラスト回限定で「ほぼ日ハム手帳総選挙」も開催して、たくさんの人が参加してくれて年間MVPは「山本ポリンダ」に決まったわけだけど、母さんの一番思い入れのあるページはどれ?

ななつぼし:9月3日の「WANTED」かな。これは、ポリーにこの顔をさせられるのは私しかいないと思って自信を持って出した(笑)去年と一緒でファイターズに油断したらダメっていうことを描きたかったのと、最後まで仕掛けをやめず侮れないチームっていうところからこのネタにたどり着いた。最下位だったけど舐めてかかったら痛い目見るよっていうその気概はまだチームにあると思っていたし、それを選手にも届けたかった。発信したいと思った。

ムスメ:当然選手に届くわけないことは分かっているんだけどね。そのくらい、強いメッセージでこれを描いたってことだよね。

ななつぼし:そう。9月はもうシーズンも終盤で、そういう姿をファンは楽しみにしてるよって伝えたかったんだよね。シーズンの最初の頃は負けても面白いって言いながらやっていた。だけど最速80敗とかやっているのに、そんな状況を受けてもまだ負けた試合をポジティブにあげちゃうのは違うと思った。負けてポジティブな時期じゃないから。だからと言って負けて腐っている手帳は私のポリシーに反する。それをどうするかって考えたら『WANTED』の内容になった。

ムスメ:ちなみに、年間MVPに選ばれた「山本ポリンダ」は替え歌ネタが人気の要因だったんだけど、母さん的には替え歌ネタについてどう思ってる?

ななつぼし:替え歌は、その時はそれでいいじゃんっていう感じ。みんなむしゃくしゃしたらカラオケ行ってストレス発散するでしょ?それと一緒。私のツイートにも書いてあるけど「こういうときこそ歌って踊れ」って、ただそれだけだよ(笑)

ムスメ:それじゃあ最後に。今年はファイターズとしても「ほぼ日ハム手帳」としてもBIGBOSSが前面に出たシーズンだったけど、来年(2023年)は手帳がこんな風になってほしいっていう思いはある?

ななつぼし:今年の種まきが失敗じゃなかったって思えるシーズンになってほしいかな。今年はキャンプから一年通してBOSSの奇想天外な部分や奇抜さが軸になって、そこから生まれた数々のネタを回収する作業が2023年シーズンになると思ってる。昨年できなかった教えをできるようになったとか。これまでの『ほぼ日ハム手帳』はシーズンが終わったら全部がリセットされて新しくなっていく感じだったけど、来シーズンは今シーズンの手帳をベースにバージョンアップしていきたい。そういう今までやったことないことができると思っているし、そういう繋がる野球こそ新庄の野球だと思っているから。

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