十字靭帯の機能

膝の十字靭帯、前十字と後十字、は大腿骨に対する脛骨の過剰な前方移動・後方移動を制限する。というのはよく教科書などにも書いてあり、私も十字靱帯はそうゆうものという認識でした。ただ、よくよく見直してみたり、他の機能解剖学書をみてみると、それ以外に膝の滑り・転がり運動を制御する役割についての言及もあったので、ここでまとめてみたいと思います。

関節の凹凸の法則により、オープンキネティックチェインでは伸展時に脛骨は大腿骨に対して前方に滑りながら転がり、屈曲時には後方に滑りながら転がります。極端にシンプルにすると、十字靱帯はこの滑りと転がりの回転軸を作る機能があります。伸展する場合、脛骨は大腿骨に対して前方に滑ります。前十字靭帯はこの前方移動を制限しますが、この時に前十字靭帯は緊張します。前十字靭帯は大腿骨の後方と脛骨の前方をつないでいますので、この靭帯が緊張すれば脛骨は前十字靭帯の大腿骨の付着部を中心として転がります。後十字靭帯は屈曲の際に、脛骨が大腿骨に対して後方に移動するのを制限する際に緊張します。後十字靭帯は大腿骨の前方と脛骨の後方をつないでいるので、脛骨が後方に移動して後十字靭帯が緊張すれば、後十字靭帯の大腿骨の付着部を中心に回転軸が形成され、屈曲します。

クローズドキネティックチェインの時は大腿骨が脛骨に対して滑り・転がり運動が起きます。屈曲の際は大腿骨は脛骨に対して前方に滑りながら転がります。この大腿骨の前方移動を制限するのは後十字靭帯です。屈曲の際に大腿骨が脛骨に対して前方に滑り、それを制限するために後十字靭帯が緊張します。よって後十字靭帯の脛骨付着部を中心として関節が転がります。伸展の時は大腿骨は脛骨に対して後方に滑りながら転がります。この後方移動を制限するのは前十字靭帯です。伸展の際に大腿骨が脛骨に対して後方に滑り、それを制限するために前十字靭帯が緊張します。よって、前十字靭帯の脛骨付着部を中心として関節が転がります。

こうまとめてみると自分も整理がつきました。

オープンキネティックでもクローズドキネティックでも屈曲は後十字靭帯、伸展は前十字靭帯を軸として回転し、どちらの靭帯もオープンキネティックの際は大腿骨付着部を、クローズドキネティックの際は脛骨付着部を支点とします。

Calant Sports Rehab & Performance
代表:爪川 慶彦
www.calant.org

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