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ナンバーナインさんの翻訳と海外配信の説明会へ行ってきました

昨日は配信代行をお願いしているナンバーナインさんの翻訳サービス、海外配信の説明会でした。
アメブロでもほぼ同じ記事をアップしましたが、こちらはもっと専門的な内容にしっかり書き込んでいきます。

私はすでに英訳タイトルを持っていますし、すぐにでも受け付けていただきたかったのですが…
スタッフさんの人数が少なく、なかなか順番が回ってこないので待ちきれず、名刺だけいただいて帰って来ちゃいました。
ただ、こういう説明会を会社の持ち出して無料でやってくださっているわけなので、それは仕方のないことなのです。
私も他の漫画家さんとお話でもできればよかったのですが、昨日はそんな雰囲気じゃないかったかな(^_^;)
いえ、皆さんお話は弾んでいましたが、あぶれちゃった感じです。

もちろん、説明会の内容は有意義に伺いました。
事業には先行投資というものが必要になって来ますが、ナンバーナインさんはそこを価格に上乗せせず、一か八かの海外配信へ乗り出してくださったのは本当に英断です。
漫画家として感謝しています。

翻訳料は、最初伺った時は「他社の半額くらい」ということでしたが、72%くらいでしたね。
ただこれは最高レベルの作業をした場合で、少し下げることもできそうです。
単純に字数が少ないとか、描き文字の設置まではしないでいいとか。
私がこれまでお願いしていた翻訳会社さんでも、描き文字まで綺麗にはめ込んでもらうと別料金だったので、私は頼みませんでした。
また、レイヤー分けしたままのデータをもらえると作業しやすいと言われ、クリップスタジオの形式で良かったので、そちらをお渡ししました。
確かにモノローグなども綺麗にはまり、嬉しかったですね。
このレイヤー分けしたデータがあるかないかも大きく影響するそうです。
あれば値段も下がる可能性があるし、無料コースでは優先してやってもらえるようです。
何れにしてもここでお願いするしかないという激安価格だと思います。

無料コースは、翻訳会社の商売になるので、売れる可能性の高いものから引き受けることになるというお話でした。
先に書いた、優先順位ということですね。
私が一番数を出すのがロマンスタイトル。
一番多くの国で売り上げが確実に見込めそうなジャンルがロマンスなので、これは無料でお願いしてみようかなと考えています。

ただ、これもあちらに見せてからの判断になることが多そうです。
セックスシーンなしなら安心ですが、私もライトながらほとんどの作品にあります。
一方でTL,BL,18禁も出せるということなので、
「出せるしむしろ売れる可能性が高いが、全く出せない国もある」
と思っておいたほうがいいようです。
国によって牛肉を食べるシーンはダメとか、BLを出しちゃったら逮捕されるとか、日本では考えられない(というより日本は世界一ゆるゆる)ことがあるので、何が引っかかるかわかりません。
私も『Arriba! 2nd season』で牛肉について一言書いた気がするので、それは差し替えないとダメでしょうね(^_^;)
問題ありません。

それでも、日本語バージョンを出版社に任せるのと同じくらいの印税じゃないかと思います。

それとは別に、ツイッターで「昔電子の印税は3割が普通だったのに、だんだん下がってる」というのを見ました。
私は小学館で25%で、悪くないと思っていました(^_^;)

でも、電子は印税とは同じに考えられないと思うんです。
個人出版して、ストアごとの取り分を知っている私には、一律して25%払ってくれる出版社はやはり良心的だと感じます。
ストアの中には、なんと70%もの取り分をぶんどっていくところもあります。
70%…!
漫画の制作に何の貢献もないくせに、厚かましいにもほどがあります。
こんなストアなど、一刻も早く滅びてしまえと思っています。

配信代行会社さんにお願いすると、こういうストアの取り分を除いた売り上げ(7割取るストアからなら、500円の単行本一冊で150円の収入)を、配信代行さんと分け合うことになります。
ナンバーナインさんなら20%からなので、漫画家の取り分は最大80%の120円が手取りとなります。
小学館なら、一律125円ですね。
個人出版に伴う様々な作業、データ保管の責任、広告拡散の力量差、そして基本的に紙の単行本を併せて出してくれるメリットなどを考えると、商業誌は必ずしも悪くはありません。
(25%以上払ってくれる大手なら)
ただし、こういう大手はたくさんのタイトルを抱えているため、古いタイトルのきめ細かな掘り起こしは現状難しいです。
出しっぱなしにされて、死に体となる可能性は考えておく必要があります。

で、電子は印税といっても特殊だという話ですが、電子が最も稼いでくれるのはサブスプリクションによる収入だということを考える必要があります。
いや、違う方も多いとは思いますが(そもそも電子の力を借りるまでもなくヒット作を書かれている人気漫画家さんとか?)、我々のように古いタイトルを多く抱え、特段目立つ活躍をしていないその他大勢の漫画家にとっては確実にサブスクが命綱です。
ストアの有料会員になって読み放題となったら、単価を払うまでではないがちょっと気になった、程度でも気楽に読んでいただけるのです。

サブスクは、紙の本のように一冊いくらでは計算できません。
小学館は、今は知りませんが以前はサブスクはやっていませんでした。
それでも様々な形態がある電子版の計算には苦慮していたようです。
サブスクを含めると計算はブラックホールというか、その中で一律を出すのはかなり大変だと思います。

ただ、今回のナンバーナインさんの翻訳の件で素晴らしいなと思ったのは、翻訳無料コースの場合、もし本がよく売れ、本来の翻訳料を超えるほどの売り上げになった場合、そこからは本来の印税に戻す契約にしてくれていることです。
ナンバーナインさんはこの件で中抜きもしないということだし、これは漫画家ファーストでありがたいの一言です。

残念ながら、『Arriba! 2nd season』のようなスポーツ漫画(ダンスだけど)はあまりあたりがよくなさそうです。
ただ、知ってもらいさえすればフラメンコのファンというものは世界中にいますので、むしろ欧米で読んでもらえる可能性があるかなと夢を持っています。
フラメンコは、アジアはこれからなんですよね。
でもスペイン舞踊、フラメンコは昔から海外受けがとてもいいので、アジアでも早晩必ず広がっていくと思います。

あと、今回のラインナップにはスペイン語が入っておらず、これは将来加えていただきたいと思っています。
言語拡大は考えていらっしゃるようです。
スペイン語も世界中で多く話されており、先日南米に一年いた知人にも
「日本の漫画はみんな大好きだった」
と言っていました。

結論は、海外配信は今は稼ぐという話ではなく、将来に向けて夢を見てもいいのでは、ということでした。
海外なら、日本以上に新しい古いはありません。
私のようにアナログ時代の原稿がたくさん残っている漫画家さん、元漫画家さん、是非ナンバーナインさんのような配信代行さんの力を借りて、眠っている作品を電子本化してみることをお勧めします。
私は嫌いじゃないのでデータ作りを基本自分でやっていますが(デザインはプロの手を借りています)、これも丸投げすることは可能です。
確かにプロに任せた方が綺麗なデータになると思います(^_^;)
ただ、ナンバーナインさんに限らないと思うのですが、ある程度時間はかかるかなと思います。
それもあって自分でやっているところもある…
急がない人なら問題ないですね。

あ、もしデザインの相談をしたいんだけどつてがない、という方は、良かったらご紹介しますのでメッセージいただけたらと思います。
ツイッターのDMも開放していますし、アメブロにもメールフォームを設置しています。

翻訳も、データが綺麗にできていればひと月くらい、無料コースだと3、4ヶ月は待つ(いつかは順番は来るが、優先順位に従いどんどん後回しにされる可能性はある)ということでした。
近日中にナンバーナインさんからは詳細が出ると思うので、気になる方はチェックされることをお勧めします。

写真は、このところご紹介しているグラナダのフラメンコの踊り手、石川亜哉子さんからいただいた写真です。
1月5日の横浜・赤レンガ倉庫でのライブイベントに持ってくるものをいろいろ集めていて、多分これも持って来られるんじゃないかな。
グラナダが発祥の、親指くらいのかわいい土人形です。
赤レンガ倉庫のライブは3回回し、チケットを持っていなくても会場前のミニバルスペースでいろいろ展示したり、亜哉子さんが「一番美味しい生ハム!」と太鼓判の生ハムを使ったサンドイッチ、おつまみなどをワインと楽しめるなど、お正月休み最後をグラナダの雰囲気で過ごすのにぴったり。
最初の2回はお子様無料で、一緒に踊ってみようみたいなコーナーもあるようです。
私もお手伝い、ライブ鑑賞に伺うつもりですので、お近くの方は今からカレンダーにチェックをお願いしますね(^ ^)

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