通常兵器キャッチオール規制の強化に経産省が動き出している件
現在、安全保障貿易管理小委員会で日本の輸出管理について、様々な見直しが行われています。
その中の一つ、通常兵器キャッチオール規制の見直しに注目しました。
現在の通常兵器キャッチオール規制
大量破壊兵器を除いた通常兵器キャッチオール規制は、仕向地に応じて以下のように許可申請の要件が定められています。
①輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国)向けの場合
規制要件
・インフォーム要件
・客観要件(用途要件)
②国連武器禁輸国以外の場合 (グループA国を除く)
規制要件
・インフォーム要件
現在の規制では、国連武器禁輸国以外の一般国向けの規制が緩いです。
何が変わるのか
武器禁輸国以外の一般国への規制強化
インフォーム要件だけでなく、客観要件も適用。
外国ユーザーリストの通常兵器版の作成
外国ユーザーリストとは、大量破壊兵器キャッチオール規制の客観要件(需要者要件)において確認するリストです。
経産省が作成したリストなので、経産省HPに掲載されています。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law05.html
大量破壊兵器の開発等に関連する企業・組織のリストであり、現在は通常兵器を開発した企業は載っていません。
今回の見直しで、通常兵器の開発等に関わった懸念企業もリスト化される方向で動いているようです。
まとめ
このまま見直しが進んだ場合、民間企業の輸出管理には変化としては
キャッチオール規制の需要者審査で確認するリストが2つに増えます。
<変更後のイメージ>
・インフォーム要件を確認
・用途を確認
・大量破壊兵器の外国ユーザーリストを確認
・通常兵器の外国ユーザーリストを確認 (追加)
変化に伴って、輸出管理内部規定も少々手直しが必要になりそうです。
また、今後は一般国向けでも客観要件が適用となるので、リスト規制品以外の軍事用途貨物は個別許可申請が必要になるという事ですね。
ちなみに、キャッチオール規制には包括許可制度はないので、軍事用途品を輸出する企業は毎回個別許可申請となります。
毎回個別は大変なので、そのうちキャッチオールの包括制度も出てくるかもしれません。
最終的にどのような改正となるのか、今後の進展を注視したいと思います。