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まるで小説の1ページ目のような、

どうして、学園系の物語の最初ってだいたい桜並木から始まるわけ?
そう彼女に聞かれたのは一緒に寝ようとベッドに潜り込んだ時だった。生温い風が吹くその日、ベッドの中で意味もなく話したその会話をやたらと思い出す。
無駄な会話だったと言えばそれまでだが、彼女の頭の中を見れた気がする。それがすごく新鮮でもっと話したいと思った。でも、それでがだめだったんだ。
その欲が、僕と彼女を決別させた。

中学生か高校生の時に書いた、謎の小説の最初である。
たぶん、何かの作品に影響されて書いているのだが、思った以上に面白くない。何かを書きたいのか、何を暗示しているのかさえ不明である。

ただ、なんとなく分かることもある。
どうしようもない感情の生温い風、当時本当に疑問だった桜満開で始まるアニメやドラマの始まり(4月に書いたからかもしれないが)、誰かの腕の中で泣きたかったあの時の不安な感じ。
どうしようもなく不安で泣きたくて書いたこの文章が、当時のわたしを映し出す。

毎日、わたしは小説の最初の1ページが埋められるような人生を歩きたいと思っている。だから、当時の充実してない自分が許せなかった。どうしたらいいのか分からなくて、もやもやしていた。
だから、せめて小説の最初の1ページぐらいは書けるようになりたかった。理想の生活を送りたかった。

今は毎日充実していて、毎日が小説の最初の1ページになる。楽しすぎてたまらない。
焦らなくてもいいよ、いつか楽しい生活が送れるよ。
そう思いながら、今日も小説の最初の1ページを書く。

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