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認知症のどうして⁉には理由がある

・生活の継続性
・自己決定の尊重
・残存能力の活用

この3つは、日本をはじめ世界中で取り入れられている介護の基本概念です。

「何を考えているか分からないのに、自己決定の尊重!?」

「何もしたがらないのに、残存能力の活用なんて、それどころじゃない!!」

そうですよね。本当にその通りです。

施設で看護師として認知症の方と関わり、また、認知症の義父の在宅介護も経験した私。

理想通りになんて出来っこない。ずっとそう思っていました。

けれども、認知症の症状について理解出来れば、

「どうしてそんな事をするの!?」

という葛藤から解放され、相手を尊重することが出来るようになったんです。

認知症の方が理解できず、つい責めてしまって心を痛めている方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。



認知症の症状


【中核症状】

脳の障害により働きが低下することで、直接的に起こる症状。記憶障害や、時間や場所の把握が出来なくなる、計画を立てた行動が出来なくなる、といった症状が現れます。

【周辺症状】
中核症状によって二次的に、本人の行動や心理状態で起こる症状。別名「行動・心理症状(BPSD)」といわれています。

今回はこの周辺症状についてお話したいと思います。

徘徊(ひとり歩き)


目的もなく歩き回る、あるいは車椅子で動きまわる。

実は、最初は目的があったんです。
トイレに行こう、買い物に行かなくちゃ、

と目的を持って歩き始めるのですが、その目的を忘れてしまうのが原因です。

認知症になると、場所を把握することも難しくなるので、歩き続けることになってしまうんですね。

私は義父と同居中、2回徘徊された経験があります。部屋で寝ていると思っていた義父がいないと気づいたときは、心臓がとまりそうなくらいビックリしてしまいました。
幸い、2回とも事情を知る近所の方が家まで送ってきてくれたので、事なきを得ました。

徘徊を無理に引き留めるのは逆効果だといわれています。

でも余裕がなかった私は

「どうして出かけようとするの!?」

と責めてしまっていました。理想通りにいかないと思い知らされた瞬間です。

今でも、自分がとってしまった行動を思い出すと、心が痛みます。


うつ・焦燥


出来ないことが増えて、気分が落ち込みうつ状態になる。

意欲がない、食欲がない、眠れない、といった症状が現れると要注意です。

うつ病が悲観的なのに対し、認知症によるうつ状態は無関心が多いといわれています。

今まで出来ていたことが少しずつ出来なくなってしまうことで不安感や焦りが強まり、イライラしたり些細なことで怒ったりする状態が焦燥です。

認知症初期から中期は

今まで出来ていたことが出来なくなってきている】ことに気づいています。

自身でも戸惑い不安なのに、周囲から理解されず、

「どうしてそんなことをするの」
「なぜ、そんなことも出来ないの」

なんて言われたら...。
どんな気持ちになるか容易に想像出来ると思います。


暴力行為


理解力が低下すると、自身の置かれている状態がつかめなくなってしまいます。

そのため不安を感じたり、混乱したりすることで、暴言や暴力に発展してしまうんです。

また、脳の感情を抑制する部分がうまく働かず、感情のコントロールも難しくなってしまいます。

暴言や暴力に対して、威圧的に大きな声を出して制するのはやめましょう。

大きな声で注意をされると、恐怖心を感じてしまい、返ってパニックになってしまうからです。

とはいえ、体格のよい男性が暴力的だと怖いですよね。

そんなときは、気持ちを落ち着かせてくれる薬などで対応することが出来ます。暴言や暴力に対して、ひとりで悩まず、医師に相談してみてくださいね。

ただ、本人の性格や意思とは関係なく起こるものであることは知っていてほしいと思います。


認知症の方と関わっていて、余裕がなくなると、理想通りにいかなくて当たり前です。

けれども、仕方ないと諦めるのではなく、理解し歩み寄ることが、認知症の方を尊重することにつながると思うんです。

認知症の方は否定されると、ますます不安になり症状が悪化してしまう場合があります。
どうせなら、お互い穏やかに過ごしたいですよね。

そして、認知症の方に向けるのと同じくらいの意識を、ご自身にも向けて下さい。

疲れきっていませんか?

余裕がなくなっていませんか?

疲れて余裕がなければ、ストレスがたまるだけです。

ひとりで抱えこまず、あなた自身も大切にして下さいね。



心に寄り添い、ストレスや不安の解消に向けた執筆活動をしています。
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