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耳鼻科で泣きわめく子どもたち。かわいくてかわいくて涙が出た。

いままであまり耳鼻科に行くことがなかった。

調子が悪いとなったらなんでもかんでも内科を受診していたからだ。子どもたちも小児科ばかり連れて行っていて、プールの季節などに学校からプリントをもらってきたりした時だけしか行ったことがないくらいだった。

だから今回自分のひどいめまいを周りの人に話した時、
そんな時はまず耳鼻科がいいよといわれてもいきつけの耳鼻科がなく近所の病院を調べてはじめての病院にお世話になった。

私はもうなんだかフラフラで、目もよくピントがあわず、受付の人に支えられながら歩いてイスにすわりゆっくりと室内を見回すと小さな親子連れの人たちばかりであった。しかもお父さんと一緒の親子さんが多い。

会話を聞いていると耳垢をとるだけとか、定期検診だとか言ってる。しかもまだ歩けないような小さいお子さんもいる。すごい、なんてキチンとしてる家庭なんだ。いや、これは普通なのか?
うちなんか学校の検診でプリントに耳垢って書いてあるくらいだったのに…

部屋で待っている子どもたちはみんないい子にしている。だからその何分後かにこんなにも情景が一変するとは思いもよらなかった。

お父さんやお母さんとたわいもないおしゃべりをしたり、お父さんがみているスマホをのぞいたりしている子どもたち。
でも、〇〇さーんって名前を呼ばれて「あ、いこうか」となったとたん、ほとんどどの子も泣き出すのだった。しかもめちゃくちゃ大泣き。叫び泣きなのだ。
足も前に出なくなりもう1歩も動かないぞ!というような姿をみせる。

いや、あるお子さんなどはまたちがう姿をみせた。
それまでご機嫌に絵を描いたり、ひっきりなしにおしゃべりしてお母さんと笑いながら楽しそうにしていたのに順番がきたとたん、座っていたソファーから跳ねるように飛び起き、ぐるぐるぐるぐる全速力でソファーの周りを回り出した。しかもこちらは大笑い!あはははははーといいながら5回も6回もまわり、とまらない。
お母さんも止めない。きっといつものことなのかもしれない。そのうち女の子の声は半泣きのような笑い声になり、とうとう泣き出す。わあわあ泣きながらお母さんに連れられて診察室に入っていった。
近くに座っていたので、間近からジロジロ見るわけにもいかず、耳で全て聞いていたが子どもが全身で発する心を見てみたいとすごく思った。

だからさっき呼ばれてまた泣いて帰ってきた男の子が遠くのソファーに戻ってきた時、そっと顔を上げてこっそり見る。

赤ちゃんの弟さんは全く泣いておらずベビーカーに座らされ、お父さんがベルトをしめていた。お兄ちゃんは3歳が4歳くらいだろうか。大泣きだ。
叫んでいる言葉がまたいいと思った。

「怖かったんだよ!怖かったんだよ!」

なんてわかりやすいんだ。そしてなんてすてきなんだ!
大人はあんなふうには泣けない。
なんて純粋なんだろう!
なんてかわいいんだろう!
私はもうその涙でぐしゃぐしゃになったお顔になり、体中で怖かったことを訴えている男の子をだきしめたくなった。
かわいくてかわいくて涙が出てしまった。

お父さんはふふふと笑いながら、怖かったな、うんうんとなだめてあげていた。
そうだよね、お父さんもお母さんもあんなことは日常茶飯事で、どちらかというと子どもが泣くのは困ったことだから場所によっては泣かないでーという対応に必死になることもあるからかわいいなんて余裕がない。
だけど子どもの泣く姿は、
しかもあんなに手放しで心の苦痛を見せて泣く姿は、
伝えたい一心の強さを感じ、ジーンとしてしまった。
かわいいなあ!
なんてかわいいんだろう!


でも、小児科ではあんまり見ないような光景だったようにも思い、耳鼻科って子どもにとってそんなに怖いのだろうか。なんて思いながら彼らの背中を見送った。

診察おわったね、がんばったね!


ごるちきさんのステキなイラストを使わせていただきました。ありがとうございました!


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