見出し画像

入院日記6日目聞いたことがない病名「いまのところ、この疑いがあります」


昨日夕方に先生が来てくれて一枚の書類を渡された。

まだ、確定ではないんですが、
いまのところこの病名が疑われています。
「視神経脊髄炎スペクトラム障害」

はじめてきく病名だ。
我ながらのんきかもしれないが、
スペクトラムという響きがきれいだと思った。
同時に思う。脳腫瘍じゃなかったということなんだろうか…
先生は病気の特徴などは何も言わず
まだ検査も続けながら変わる可能性もあるので、丁寧にみていきましょう。とだけ言った。

たしかにいろいろな検査はしているが、どれもその結果をすべて知らされていない。きっとどれも決め手に欠けるのかもな…

でも視神経脊髄炎スペクトラム障害ってどんな病気なんだろう。早速調べてみたら女性に特に多い難病だった。
でも症状を詳しくみてみると、そんなにガッツリあてはまることがない。強いて言えば吐き気くらいで、
視力が落ちた感じはしないし
手足には麻痺がないし
排泄機能に異変も感じない。
放っておいたらこうなっていくということだろうか。
症状は怖いことばかり書いてあって
ひどくなると失明とか車椅子生活とある。
この病気ももちろん嫌だけど
この病気じゃないのにこの病気として治療がすすむのも怖いなあとふと思う。

午後主治医の先生が部屋に来てくれてまた細かいテスト確認をする。
ぐわんぐわん頭にめまいはあるが、どうにか歩くことは出来る。でも平均台の上を歩くみたいにつま先の前に、もうひとつの足のかかとを持って来て真っ直ぐ立とうとすると必ず右側に倒れてしまう。1秒もじっと立っていられない。だから一瞬片足になる階段の昇り降りは毎回隣の人にもたれかかりそうになっていたんだなと通勤路、電車での乗り換えの情景を思い出す。また、距離感がつかめないことや見るものがたくさんあるとピントを合わせるのがおいつかず吐きそうになる。

脳梗塞や脳腫瘍の疑いはないことは
ハッキリと言っていただき、そのことについてはホッとしたが、やはりあの視神経脊髄炎という診断が気になり、なんでアレなんですか?と聞いてみる。
わたしの症状にはあまり当てはまらないような気もしたんですが…

視神経脊髄炎って言うのはこう言ってはなんですが、
なんでもありな症状っていうか…
ただ、今回MRIでみた小脳の炎症部分がちょうどこの病気の原因となる場所で、目を開けていてもふらついたりバランスが取れない状態とあわせてこの視神経脊髄炎が考えられます。今週あとすこし検査をして、治療は来週から出来ればと言われた。

夕方「急遽空きがでたからスケジュールが追加です」と言われる。またMRIだという。
今回は胸の脊髄を調べるとのこと。
やり方も音も時間も頭を調べる時と同じだった。

すさまじい音の中でなぜか昔のアルバイト先でのことが蘇る。美術の洋和書取扱店で知り合った人たちはみんな本当に美術に詳しく面白かった。OくんKさんTさんUさんSさんみんな元気かなあ…

迎えに来てくれた看護師さんと車椅子を押してもらいながら病室に向かう。
MRIを一度やったことがあるというその看護師さんと、なんであんな音の検査なんだという話になった。今の技術ならクラシック音楽にするとかできないんですかね!パニックになる人絶対いますよね!とそうだそうだと勝手なことを言いあう。あんなすさまじい音、脳の検査なのにむしろ脳を破壊しかねないですよと2人で笑った。

看護師さんが「今日はちょっとコースを変えて外が見える渡り廊下を通りましょうか」と言う。
「違うコースがあるんですか?」
いつもは地下の、窓のない道を行くが、いつも乗らないエレベーターで2階に行って、また乗り換えるという。乗り換える時に2階の渡り廊下にでると、とたんにパァッと明るくなった。外の街並みも美しく、改めてじっくりと見る。ゆったりとした気持ちになった。


夜娘からLINE。
おかーさんと夕飯を共有したいから毎日送っちゃうよー!みてー!ジャーン!今日はチャンポンにしましたー。野菜たっぷりだよー。王将でギョーザも買っちゃったー!

チャンポンいいねえ!おいしそう!
夫は料理何もしないしできないから子どもたちがこうやって明るく用意してくれて助かるなあ。
本当はやることたくさんあるのに毎日ごはんのことも考えながら買い物しなくちゃいけないことを少しも愚痴らず常に前向きな言葉でLINEを送ってくれる娘。
ごめんよ。本当にありがとう。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?