140字以内でレビューが書けない

今日はレビューの日である。一時期Twitterでも、読んだり観たりした作品のレビューをしていたのだが、140字以内でレビューを書くのって難しすぎる、そう思いませんか?(?)
字数制限のないnoteでレビューした方が良いなと思った作品については今後日刊更新で書いていこうと思います。お付き合いください。

施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』を読んだ。
ポストアポカリプス的な作品で、悠久の時の中を生きる不死の子供たちが生き残りの人間であるミラと出会い、不死という自身の特性に向き合うことになる、そういう物語だ。上下巻のみで完結するので1時間もあれば読むことができる。

ミラが人間の赤ちゃんとして不死の子供たちが住む星に不時着したその時から、ミラと彼らは数十年の時を共に過ごすことになる。永遠の命の前では数十年は瞬きに等しく、不老不死の子供たちの肉体年齢を一瞬で追い越したミラは病に倒れて死んでいく。

”ちっちゃい頃は自分も永遠に死なないと思ってた もしかしたらかつてこの星にいた子供たちもみんな思ってたのかもしれない 幼いってそういうものだから”

施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』

永遠の命に伴う孤独や退屈をやり過ごすためにミラを育てることを決意したはずの不死の子供たちは、ミラの死を”そういうものだよね”とやり過ごすことができず、彼らはそれぞれに生き方を変えることを決意する。結末についてこの場で詳しく述べることは避けるが、不死の子供たちのうちの1人、πの結末が特に美しく、読む価値のある作品だと思った。

ミラを永遠に失った悲しみから立ち上がったπは、自分のやるべきことを見つけ、生まれ育った星から飛び立つことを決意する。自分にとって確かなものを見つけて、夢に向かって文字通り飛翔する瞬間がこの作品には描かれている。

私たちの人生にも、幾度か訪れる素晴らしいあの瞬間。その喜びで目は眩み、危険も顧みず私たちは飛び立つ。

”すぐ死んじゃう体なのに どうして危ない外の世界に行きたがるのー?”

”親の手が届かないところへ行きたがるのが子供なんだ 人間はそうやって世界を広げ成長する”

施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』

πの問いに対してもう1人の不死の子供であるマッキが答えるシーンだが、本当にどうして私たちは危険も顧みず外の世界に行きたがるのだろうか。
やるべきことが見つかった!という喜びは大抵長続きはしない。うまくいかないことの方が多いし、うまくいったとしてもすぐにその喜びに飽きて、また次を探して苦しむ羽目になる。死ぬまで私たちはそれを繰り返す。

永遠の命がない以上、必ずどこかで幕切れが来る。大抵やり残したことや後悔は山積みで、どうして、と嘆きながら不死でない私たちは死んでいく。でも、確かなものを見つけて飛び立つあの瞬間の喜びは、それが例え永続しないものであってもそれだけで人生は生きる価値があるのだと、『銀河の死なない子供たちへ』はそう思える作品だった。

Big Love…