ヒント 一流の効率化、下品な効率化

公営企業たる公立病院は、公共性と経済性を発揮することが求められている。さらに、その経営活動については、公平性と透明性が求めらる。経営上の権限(責任)は、職制の中に細かく規定されているうえに、厳格な予算によって支出の管理が行われている。この厳重ともいえる権限の制御は、行政権力の行使について恣意性を排除するためのものである。

時として、このような事情を理解していない人から、意思決定が遅いとか、事務が非効率であるとの指摘を受けることになるが、真っ当な理由が存在しているのである。このような構造や過程が赤字の原因だと決めつけて、それらを改めるというのは本末転倒ということになる。

公立病院は民主主義の行政機構に組み込まれている以上、権力を制限する仕組みを維持することは宿命というほかない。だから、公立病院の経営は難しい。だから、公立病院の経営は複雑なのだ。

ここから先は

1,650字

¥ 100

医療経営学の視点から、病院経営の抱える問題について、解決策を考える上でのヒントになれば幸いです。