ヒント 経営指標のおはなし

病院経営の場面で、患者数という指標はどこの病院でも業績評価の基本的指標として必須の扱いを受けている。患者数が増加していれば、"よくできました!"というプラス評価。患者数が減っていると"がんばりましょう"というマイナス評価。収支に問題があると、原因として取り上げられるのが患者数の減少。入院期間短縮による病床利用率の低下。結果としての述べ患者数の減少。売り上げの減少。という流れが一ふつうの理解のようである。それはその通りなのだが、説明になっていない。その病院を利用する患者が増えたり減ったりする原因は何なのかを示してこそ、患者数という指標に着目した意味があるというものである。

さらにいうと、たくさん患者をみることは、たくさん患者を治していることと同義ではない。"手当てをする"ことが目的の事業であるから、たくさんの患者をみることは目的にかなっているといえるのだが、どうしてもその先が気になるのである。近年の医療は、プロセスに重きをおき過ぎている感がある。ガイドラインだの、マニュアルだのと形式を整えようとする。そこに示されているプロセスに沿うていれば法的に批難されることはないと言わんばかりである。保身のためのプロセスなのか、患者のためのプロセスなのか、わからなくなるときがある。

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医療経営学の視点から、病院経営の抱える問題について、解決策を考える上でのヒントになれば幸いです。