ヒント 激化する競争、強化される統制

地域連携や地域完結といった地域における医療提供体制の方向性が示されて久しい。近年では地域医療連携推進法人制度も整えられ、株式会社でいうところのホールディング・カンパニーのような形態も提唱されるにいたっている。高齢化と医学の進歩による医療費の高騰に歯止めをかけるべく、医療機関機能について分業と集約によって重複を避け、医療費の無駄を省こうというわけである。

しかし、現実はそう簡単なものではない。それぞれの医療機関はそれぞれの歴史や文脈の結果としていまの機能にいたっている。また、いずれの医療機関も自らの責任において多額の借金をして未来に投資をしている。それもこれも、地域に存在する様々な競争を優位に展開するためである。自らの判断で選択してきたリスク、自らの意思で歩んできた道である。そう簡単に手放すわけにはいかないであろう。

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