ヒント わたしの大失敗

わたしの大失敗とは、従業員採用時に彼らの倫理観を確認しなかったことにあります。さらには、日常のなかで倫理について語り合う機会を充分にもたなかったことであります。

事件は、その処理に何年も要すものでした。わたしの体験は、採用の失敗が後々に大きな災いとなる可能性を秘めているということの好例なのかもしれません、採用の大切さは誰しもがわかっていることと思いますが、ときに、想定を超えた事態も起こりうるということをお示ししましょう。

わたしが主宰するコンサル会社は従業員數が10人にも満たない零細な規模でした。零細な組織が、従業員数数100人、數1,000人の大規模な組織と決定的に異なるのは、従業員1人の全体への影響度が極めて強いということであります。
また、病院のように主要な職種が倫理規定をもつ国家資格者であるのに対して、コンサルは個人の倫理観に依拠する点が医療機関との違いです。つまり、倫理については人それぞれ、言い方をかえれば、野放しといっていい状態なのかもしれないということです。
病院経営では理念の共有が重要なテーマですが、倫理水準の確認というのはもっと深いところにある難題であるということを身をもって学んだということであります。

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医療経営学の視点から、病院経営の抱える問題について、解決策を考える上でのヒントになれば幸いです。