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UNISON SQUARE GARDENとは、人生だ

「本日2024年7月24日、UNISON SQUARE GARDEN結成20周年記念日です」
今日という日を迎えられて、武道館に来れて、立ち会うことができて、本当に良かった。そんな気持ちで胸いっぱいになりながら、ステージの3人に心からのおめでとうを込めて手が痛くなるほど拍手を送った。


―僕たちが正しくなくても
―間違ってないはず
―間違っていないはずなのに 迷子みたい情けないな
―間違ってないはずの未来へ向かう

田淵はこんなにも不安を抱えていたのに、なんで気づかなかったのだろう。3人だって人間なんだから当たり前だ。いつ続けることができなくなってもおかしくなかったのに、思い返してみればそんな不安や迷いは一切感じたことがなかった。絶対に見せないように努力していたのだと思う。私の目に映る3人はいつも楽しそうに音楽と向き合っていて、キラキラ輝いて見えた。だからこそこの日3人が伝えてくれた言葉には戸惑いと感謝の気持ちが溢れて止まらなかった。
あれだけ自分たちのために音楽を鳴らしていると言っていたロックバンドに、20年ここまで続けてこれたのは君たちのおかげだ、と口を揃えて言われたら混乱してしまう。いつだって変わらず楽しいライブを音楽を届けてくれる唯一無二のロックバンドに支えられていたのはこちらの方なのに。


「15周年のライブではドラムは器でしかないとかネガティブにも捉えられることを言っちゃったけど、このバンドがかっこいいのは俺のおかげだ!と本気で思えるようになりました」
才能のある2人が見捨てないでいてくれたと言っていた貴雄が、誰よりも繊細な心の持ち主の貴雄が、自信を持って誇らしそうに話す姿がただただ嬉しかった。この5年の間にいろんなことがあって、それぞれの場所で活躍する3人を見ているうちに違う一面を見れたり、距離が近くなったように感じたり、何より3人ともが得たものをUNISON SQUARE GARDENへ還元しているところが本当に好きだし尊敬している。


―本当の気持ちを話すのは 今日ぐらいしかありえないだろ

「101回目のプロローグ」は今日という日のために作った曲という認識で後生思い返しては号泣するけどいいかな。”いつかまたそのステージで”と、信念と覚悟を貫いた武道館という場所で、田淵が紡いできた壮大な物語がこの日一つの区切りとして、もはや終わってしまうんじゃないかという儚ささえあった。

「君が好きなロックバンドは、君がずっと好きでいてくれたからここまで来れた。ロックバンドを諦めなくてよかった。ありがとう、ありがとう!」
次の曲が始まった瞬間、涙が溢れて止まらなかった。リリース当時、田淵が各ラジオで何度も関係者各位が大騒ぎすると冗談交じりに話していた”渾身の一曲”だ。
田淵は世界は変わらなかったと言うけれど、少なくとも私はちょうど大学卒業の時期にリリースされてから、就職、転職、迷って悩んでいるときにこの曲をライブで聴いては大泣きして支えられてきたよ。周りは仕事を続けてキャリアを積んで先輩として頑張っている人、結婚して家庭を築いて幸せそうな人がいる中、私は自分が何をしたいのか分からなくて仕事も続けられず中途半端で愛する人も見つけられないまま。歌詞にあるようなUNISON SQUARE GARDENのように生きたいけれど、目標もなく胸も張れない、そんな私の人生で唯一誇れることはUNISON SQUARE GARDENに出会えたことで。
UNISON SQUARE GARDENに出会って、UNISON SQUARE GARDENが好きで好きで仕方ない人たちに出会って、毎日音楽を聴いて、楽しみで仕方ないライブへ足を運んで、気づいたら人生になくてはならない存在、というか人生そのものになっていた。


そして斎藤が最後に伝えてくれた言葉はUNISON SQUARE GARDENの概念を改めて考えさせられる一言だった。
「本日はUNISON SQUARE GARDEN20周年記念日、おめでとうございますッ!!!」
彼らの記念日なのに、なんで私たちファンが祝われてるんだ!?私が今までUNISON SQUARE GARDENだと思っていたものとは!?もしかしてここにいる全員がUNISON SQUARE GARDENってこと!?
大きな混乱と感動と喪失感と多幸感の中、20周年記念日の幕が閉じた。

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