賃上げは労働者にデメリット? 最低賃金1000円超の悪影響を鑑みる
こんにちは!ハマネコです!
7月28日、厚生労働省の最低賃金審議会で全国平均を41円引き上げることに決定しました。
これにより全国の平均時給が1,0002円となり、史上初めて「時給1,000円」を超えたことになります。
私も含めた労働者サイドからすれば賃金引き上げは嬉しい限りですが、経営者サイドからすれば人件費の向上につながるため急速な賃上げは反対のようです。
とまぁここまでは、簡単に思いつくことです。
ただ急激な賃上げのデメリットは、何も経営者サイドだけではありません。
労働者サイドについても、デメリットがあるのです…!
どんなものがあるのか、見ていきましょう
①「年収の壁」早期到達による雇用縮小
年収103万円を超えると所得税が掛かります
年収130万円を超えると扶養家族から外れます
このあたりは、アルバイトをしたことがある人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
いわゆる「年収の壁」というヤツですね…!
これらの「壁」の範囲内で働く人にとっては、時給が上がることによって相対的に労働時間が短くなることが考えられます。
一方でフリーターの方のように、「壁」を気にせずに働く人もいます。
例えばあなたがスーパーの店長だとして、アルバイトを募集した時に
「壁」のせいで少ししか働けないAさん
「壁」を気にせずフルタイムで働くBさん
の二人がいたとしたら、(他の条件が同じなら)どちらを雇うでしょうか?
どう考えてもBさんの方を採用しますよね。
AさんとBさんで、雇われやすさに格差が生じてしまうことになります。
この差は今もあるでしょうが、賃上げによって「壁」の影響を受ける求職者は、労働市場においてますます不利になってしまうでしょう。
②正社員の負担増加
最低賃金引上げによって、主にアルバイトなど非正規雇用者の労働時間は短縮するでしょう。
しかし賃上げしたところで、その企業が抱える労働量は変わらないですよね。
じゃあどうすればよいのか?
当然、「定額使いホーダイ」である正社員に負担のしわ寄せが迫ります。
先ほどのスーパーの例でいうなら、アルバイトの就業時間が縮小しても営業時間自体は変わりません。
じゃあそのシフトの穴埋めをするのはというと、店長やマネージャーといった正社員。
誰かの負担減は、他の誰かの負担増
残念ながら、これが世の常です
③企業の設備投資や福利厚生の縮小
賃上げをすれば、当然企業の人件費は増加します。
内部留保という名のお小遣いをため込んで、「経費」という魔法の言葉で豪遊していた経営者たちは、さぞかし残念でしょう…(笑)
というのは冗談にしても、人件費が拡大するのであれば、他の支出を削らなければならないのは家計も企業も一緒です。
その矛先は、直接利益を生まない項目。
例えば設備投資だったり、福利厚生なんかが挙げられるでしょう。
「お金が無いので、今後も旧式のPCを使ってね」
「お金が無いので、社員食堂は閉鎖するね」
なんてことは、十分に考えられます…!
【参考】急速な賃上げを行った韓国の「失敗」
実は最低賃金を急速に引き上げて「失敗」した言われているのが、お隣の韓国です。
2018年、当時の文大統領が最低賃金を16.4%引き上げる荒療治を行いました。
日本が3%の引上げを目指していることを考えると、なかなかの決断ですよね
(なお韓国は翌年にも10.9%引き上げています)
その結果2019年の韓国における失業率は前年比+0.6%の4.4%となり、「賃上げは失敗だった」と言われました。
2020年からはコロナ禍に突入し、ご多分に漏れず韓国経済も打撃を受けたため、この賃上げ失敗が短期的なものなのか長期的なものなのかは、残念ながら判断できません。
ただ賃上げを考えるうえで、無視できない実例でしょう
最後に
ここまで賃上げのデメリットを書いていきましたが、私自身が賃上げに反対しているわけではありません。
むしろ、企業は積極的な賃上げを進めるべきです。
だからこそ、「最低賃金1,500円」などという某政党の脳内お花畑な政策を妄信的に信じるのではなく、デメリットも理解したうえで、適切な賃上げを行うべきでしょう。
賃上げを行うからには、これらのデメリットへの対策は必須。
例えば「年収の壁引上げ」などを、セットで政府は考えていくべきでしょう。
では!
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