映画の感想備忘録

『ひどくくすんだ赤』を観た。

動機


𝕏で胸糞悪い映画だという情報が回ってきたから。
私は映画が苦手だ。よっしゃ見るぞ!と気合いを入れて映画館に行く過程がきつい。2時間弱もスマホいじれないじっとしなきゃいけないとかしんどすぎる。実際は映画に集中するのでスマホとかいらないんですが、心のどこかで「早く終わんないかな〜」と思う自分がいる。友達と遊ぶときもドラマを見るときも旅行も、早く終われ、早く帰りたいな〜と思うことが多い。別にその友達のことが嫌いとかドラマがつまらないとかではなく、飽き性なので目の前のことにすぐに飽きてしまうのである。その後、飽きることにも飽きて再び興味を取り戻すことも多い。概ね楽しかったなー、もっと一緒にいたい(続きみたい)な〜に巻き返すことができる。
この映画のいいところは上映時間が1時間もないところである。2時間弱スマホをいじるのは苦痛である私も1時間弱なら耐えられるかなという気がした。大好きな胸糞悪いストーリー・上映時間が1時間弱・たまたま東京にいる。以上の三拍子揃ったためこの度観覧させていただきました。

ざっくりとしたあらすじ

かつてヒーロー戦隊として平和を守っていたが、今では凋落したおじさん(レッド)が主人公。過去の栄光回想を交えながらかつての仲間(グリーン、イエロー、ブルー、知らん怪人?、ピンク)に会いにいく。かつての仲間たちは皆悲惨な現状を送っているが、それはレッドがかつてやらかした事件のせいであった。レッドはその贖罪をおこなう。

世界観の認識齟齬

私はあまり特撮ものを見ないので、現代日本の話かと思っていた。自分のことをヒーローだと思い込んだ痛いおじおばたちの話かと思ったら、ガキがすごい威力で人や自販機を殴ったり蹴ったりボコったり、挙句の果てに街の一員として溶け込む謎のハリボテ怪人が出てきて殺処分されたりしていた。また、ヒーローオタクくんが「あいつめちゃくちゃ強かったのになぜか殿堂入りしなかったレッドじゃん!」的なことを言っていたシーンで、ようやくここはヒーローと怪人が当たり前にいる世界(特撮世界)なんだと気付いた。このシーンはほぼ映画中盤である。半分くらい気付かなかったけど、これってSFだったんだ……ッ!察しの悪い自分、国語力ゴミなんかな?と思いました!

選民思想と没落

「俺たちは選ばれたんだから」というセリフが何度も出てきます。派遣で働く酒カスのレッド、片脚を引き摺りながらスクラップ屋?で働くこれまた酒カスのイエロー。現代日本ではほぼ底辺と見なされる生活をしている彼らがかつて得た栄光だけを自慢に生きている。痛々しいなんて思いません。身に覚えがありすぎるからです。
「あなたたちは受験を勝ち抜いたエリートだ」と言われながら中学3年間過ごしました。高校に上がり「内部生の選民思想じみたエリート意識は気持ち悪い」と某関西トップ国立大卒担任に言われました。そのとき、私は、あ、これってキモイことなんだ……と初めて気付きました。
子どもの頃に植え付けられた選民思想は精神の根本に深く根ざされる。自分を褒めそやし、特別だと言ってくれる思想に甘んじないわけがない。そして、自分が特別だ(実際特別であったから)、優秀だと思いこむことで培われた自信、意識、思想を捨てることは難しいのではないでしょうか。
実際レッドたちはめちゃくちゃ強かったし、レッドは特にめちゃくちゃ強かったので、担任みたく「お前のその選民思想キモイんだよ」と言ってくれる人はいなかったでしょう。しかも、それはレッドよりも強い人間に言われなきゃ響かない。
選民思想というのは揉め事を起こすことが多い。大多数は、選ばれなかった側の人間を見下しているからである。「あなたは特別」と教え育てることは大切かもしれませんが、「あなた以外は特別じゃない」という風に捉えられない教育が肝要です。ガキに選民思想を1度でも植え付けると抜け出すのが難しいと思います。宗教の教えにもなる思想なので……
レッドに植え付けられた選民思想はやがて「自分は強いから何をやってもいい」という「正義」となり、やらかしてしまうことになります。やらかしてしまったことは後悔しつつ、没落した今でも選民思想からは逃れられないところに切なさを感じました。

レッドがサイコパスすぎる〜!

私は映画を観たあと𝕏やネットで映画の感想を検索して見るのが好きです。色んな人が1つの作品に対して様々な見解・感想を持っているところが面白いからです。そこでよく見たのが「レッドがサイコパスすぎる〜!」でした。
レッドはめちゃくちゃ強いが、キレたら手がつけられなくなる人間です。やらかしのネタバレをすると、

・無抵抗の怪人にいきなり殴り掛かり仲間ドン引き
・レッドは止めにきたブルーを払い除け、さらに怪人の反撃でブルーは片腕を切り落とされる。その上、レッドに蹴りをくらい頭を打ち寝たきりになる
・ピンクのケツに興奮しレイプ、下半身不随にさせる。そのときできた子どもは本部に研究され精神障害を負う
・レッドに恋愛感情を抱いていたグリーンはピンクレイプにショックを受ける。その後ピンクと結婚しレイプで子どもを一緒に育てるも子どもにレッドの面影を感じ辛くなり自殺

です。イエローが片脚引きずってる原因は忘れました。
このやらかしはレッドが暴走したんだなって感じですが、グリーンが死んだことを知ったレッドはこのやらかしの贖罪として仲間を殺して回るという選択を取ります。
寝たきりのブルーの首を絞め殺害、イエローに自殺用の薬を鎮痛薬だと偽って渡し毒殺、ピンクと息子を殺そうとしたところ良心が生まれ未遂、その後自殺しようとするも頑丈な身体ゆえ死ねず自らを殴りつけまくってどうにか死のうとする。

レッドが、よっしゃ!殺して回ろう!となったところがサイコパスと言われてるんだろうけど言うほどサイコか?と思いました。世界全てを巻き込んだ自殺にしか見えないというか……皆を今の境遇から救ってやろうという気持ちは少なからず伝わるのですが、自分一人で死ぬのが怖くて道連れにしたかっただけなのかにゃ〜(ドルバッキー)と思ってしまう部分もあります。もともとキレたら手が付けられない、衝動性の鬼、破壊衝動ヤバかったんじゃないでしょうか、知らんけど……
いつまでも子ども心を忘れてない、悪くいうとこどおじなのかな?精神性が子どもの頃から全く変わっていない。ピンクが「皆何かを抱えて我慢しながら生きてる!お前とは違ってね!」的なこと言ってましたけど、結局レッドは子どもの頃に戻る妄想に浸り、幸せなまま死んでいって?しまいました。現実を受け入れることなく逃避できてお前だけハッピーエンドだね……

まとめ

つらつら思いつくまま書き留めたので特に読んでもおもろくないと思う。深く考えてないので考察?が間違ってることもあると思う。脳の回転がょゎぃので映画を見て数日経ってようやく感想が出てくる。
短くて見やすいので、興味湧いた人は見てほしいなーと思いました!地方民がどこで見れるのかは知らんけど!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?