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輪廻する宇宙(7)

横山順一著『輪廻する宇宙』の構成は下記の通りです。今回は第四章を描きます。

  • 序章 輪廻転生とは何か 転生者の捜索と科学の方法

  • 第一章 宇宙の中味をさぐる

  • 第二章 宇宙観の変遷 偏見からの解放

  • 第三章 加速膨張宇宙の謎

  • 第四章 ダークエネルギーの正体

  • 第五章 宇宙のはじまり

  • 第六章 宇宙の将来

  • 終章 ダライ・ラマとの邂逅

第四章  ダークエネルギーの正体
真空のエネルギー
電磁波は短波長になるほど大きなエネルギーを持つが、量子ゆらぎも同じである。無限に小さな波長のゆらぎまで考えなければならないということはゼロ点振動のエネルギーは無限に大きい、ということを意味する。

この真空のエネルギー密度が無限大になってしまう、という困難に対して通常の場の量子論の与える処方箋は、そのような無限大の量は最初から取り除いて、無いものとして残りの部分で考えるというのである。これを、朝永振一郎博士が考えた繰り込み理論という。

物理学者が、「計算して無限大になれば、それを取り除く」という身勝手な発想するのは信じがたいことではある。しかし、真空がゆらぎのエネルギー、ゼロ点振動のエネルギーを持っていることは、カシミール効果と呼ばれる現象によって証明されています。その詳細は、煩雑となるので省きます。

捨てられない無限大
粒子の波長とエネルギーの間には反比例関係にある。波長が短いほどエネルギーが高いのである。ゼロ点振動のエネルギーを求めるには、全ての波長にわたって足し上げようとすると無限大に発散してしまう。

足し上げる波長をどんどん短くしていくと、重力の量子論的効果が効き出し、時空間そのものを量子的に扱うことになるプランク波長というものに達する。

それより小さな領域では時間や空間そのものがふらふらとゆらいでしまい、わたしたちの持つ確固とした空間のイメージでは捉えられなくなる。プランク波長は、10マイナス33乗cmである。そして、プランク波長まで足し上げた真空のエネルギーの密度は1立法センチメートルあたり10プラス91乗グラムに達する。

宇宙項問題
しかし、観測されているダークエネルギーの密度は1立法センチメートルあたり10マイナス29乗グラムに過ぎない。この二つは120桁もずれていて、何かがおかしい。

この真空のエネルギーはアインシュタインの宇宙項と同じものだから、これは「宇宙項問題」と呼ばれ、現代物理学最大の問題といって良いような難問である。

これは、「119桁まで何故0なのか?」と「120桁からは何故0でないのか?」という質的に異なる問題である。ところが、前者に対する満足な解答が得られないため、後者のみを研究しようとするのがほとんどであり、これはおかしい、と述べている。

宇宙項とは?
アインシュタインが考えたように、宇宙が全体として変化しないものであったとして、星ぼしや、それが多数集まってできている銀河が静かに止まっていたとするとどうなるか?

銀河どうしは万有引力を及ぼし合っているのだから、互いの距離が縮まっていくことになる。それは、一般相対性理論によれば宇宙空間までもが小さくつぶれていってしまうということを意味する。

このため、アインシュタインは、宇宙空間自体が反発力を持っているのだと仮定し、このことを表す宇宙項というものを自分の方程式に導入した。

しかし、アインシュタインの宇宙項を導入した一般相対性理論に基づいた宇宙モデルではうまくいかないということが分かった。ところが、間違っていたのはアインシュタインの方程式ではなくて、宇宙は永劫不変であるという偏見の方だった、ということです。

【ダークエネルギーだの宇宙項だのと、もはや完全にオカルトの世界ですね。このダークエネルギーの正体を必至になって追い求めているのが、現代物理科学の世界のようです。

この正体が分かれば、人類全体を幸福に導くということではないでしょうが、事実を追い求めていく姿は、幸せ感が満杯であるだろうなと想像はできる。ダークエネルギーなるものの正体が分かれば、もうエネルギー問題で地球人同士で争わずにすむ可能性もあるのではと、ちょこっと期待している。】

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