電卓を作らない
LayerX バクラク事業部でプロダクトのデザインを担当しています森です。
バクラク事業部では、法人の支出管理にまつわる、アナログな業務を効率化するプロダクト群を提供しています。
そのサービスのコアとなる技術の一つがOCRで、請求書や領収書などの情報を読みとり、今まで目視で確認、手入力していた業務を自動化するなどしています。
バクラクのOCRの精度はかなり高いものですが、100%とはいかないため、読み取った他の金額を入力候補として表示することで、簡単に訂正できるようにしています。
また、他の金額入力フォームでも利用することができるので、仕訳作業においては手入力を極力減らしています。
この機能は好評だったのですが、「計算機能が欲しい」と要望をいただきます。
電卓なのか?
会計ソフトなどでは、入力フォームで電卓が使えたり四則演算ができる物があるので、当初はそれをイメージした物なのだろうなと思っていました。
電卓であれば要望は満たせると思うのですが、はたしてそれで良いのか?
電卓機能は、目視で書類を確認し物理的な電卓でやっていた計算を、アプリケーション上でできるようになっただけで、目視確認、手入力といった業務の負担を軽減するものとは違うと考えていました。
実際、要件を詰めていくと、
請求書に記載されている金額から、源泉税や消費税を算出したい
記載されている幾つかの金額を合計したい
といったことがわかってきます。
電卓じゃない何か
思考が電卓に引っ張られがちになるのですが、OCRで読みとった金額を選択するだけで入力ができる、現行の体験を変えないように考えていきます。
源泉税や消費税の算出
あらかじめ計算式が決まっているので、OCRで読み取った金額に掛け合わせられるようにプリセットのボタンを用意しています。
税率のプリセットを選択することで、計算された税額を一覧から選択することで入力することができます
金額の合計
合計については足し算だけなので、テーブルUIによくあるチェックボックスによる複数選択の方法を使い、一覧下に表示される合計金額を選択して入力できるようにしています。
言われた通り作らない
バクラクといえば、事業部CTO/CPOのmosaさんの名スライドがあります。
その中の一つに「言われた通り作らない」というのがあります。
結構陥りやすい部分なのですが、お客様への提供価値を最大化していく上で、とても大切な事だと思っています。
バクラクには、お客様の真のペインは何なのか?あるべき姿は何なのか?を絶えず突き詰めて考え抜く姿勢があります。
面談の席で「なぜあんなに熱量を持って顧客と向き合えているのか?」と聞かれる事があるそうですが、ただひたすらにお客様の課題に向き合って価値を提供していれば、お客様も私たちも幸せになれると誰もが実感しているからではないかと思います。
実際、前職のtoCサービスで経験してきたことと比べると、ただひたすらユーザーの利益に向かい合う姿勢はとても健康的で、toCサービスにありがちな、こちらの都合でユーザーに負担をかける施策のモヤモヤ感はありません。
LayerXでは、一緒にひたすら顧客と向き合っていける仲間を募集しています。興味のある方はぜひ下記よりご連絡ください。