Dot Allison / Aftergrow(CD)

・Dot Allison / Aftergrow (2000 BMGファンハウス）

Amazonマケプレで購入。One Doveのボーカリストの1stソロアルバム。2月に亡くなったアンドリュー・ウェザオールがプロデュースしたOne Doveの唯一のアルバム「Morning Dove White」(1993)は90年代に青春を過ごし音楽を聴き漁っていた世代にとっては見過ごせない夢幻的な魅力を持った作品でウェザオール追悼ツイートなどでもこのアルバムをのことを語っている人が多かった。私もウェザオールの訃報を機にOne Doveのアルバムを何度も聴き返しているうちに関連作をもっと聴いてみたい欲求に駆られ「Aftergrow」の購入に至った次第。因みにOne Doveという名前はエクスタシーの銘柄が由来とか。

One Dove解散や自身の交通事故など重苦しい経験を経て制作されたというこのデビューアルバムはほぼ全曲作詞作曲に関わっていてボーカリストとしてだけでなくソングライターとしてもバランス感覚とセンスに優れた人だということが一聴すればわかる。シンプルなフォーク調の2曲目「Tomorrow Never Comes」はBIG STARの3rdなんかにも通じるメランコリックなムードがある。ケヴィンシールズが参加した4曲目から7曲目まではOne Dove時代の延長戦上にあるようなミニマルでダウナーな楽曲が続くがそれは8曲目のポップソング「Mo Pop」で一気にリスナーの開放感を倍増させるための仕掛けのようにも思えた。ラストは古く哀しい映画のエンディングテーマ風のワルツで締めるなど全体的に構成が素晴らしい。

ボーカリストとしては同時代にテクノ/クラブミュージックなどと接近を図って作品を残したビョークやベス・オートンなどと比べると圧倒的な個性とか声質があるわけではないが、電子音や打ち込みのバックトラックに違和感なく映える声を持っていて特にダブルボーカルやコーラスのパートでその効果が如実に表れるので聴いていて気持ちいい。

サブスクにはない（2nd以降はあり）。