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『僕の村は戦場だった』(1963/ソビエト連邦)

舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦下のソビエト。
主人公は12歳の少年イワン。映画の冒頭、イワンは川を泳いでいる。白黒映画だから水が冷たく見える。
イワンはドイツ軍から逃げるために川を渡り、なんとかソ連陣地にたどり着いたのだった。

彼はドイツ軍に両親と妹を殺された。12歳ながらドイツへの復讐のため、偵察の仕事をしているのだ。
時折イワンの回想シーンが挟まれて、亡き母との思い出がよみがえる。
イワンを保護したソ連軍は彼を戦争から引き離して、幼年学校へ入れようとする。だが彼は拒否して、偵察業務を続ける。12歳の少年を突き動かすは、家族を奪われた怒りとドイツへの復讐。
今はもうない母との思い出と戦時中の非情な現実のコントラストが白黒映画で表現される。

監督はタルコフスキーは、その世界観が難解と評されるも一部の熱狂的なファンを持つと言われている。
独特で詩的な映像美が心を捉えるは確かだし、最初にイワンが川を泳ぐシーンが印象的だ。白黒映画だが、川の水の冷たさや汚さ、敵から逃げて一人川を渡る孤独な少年、そのあとソ連軍に保護され温かいお湯をもらう。母との思い出には井戸が出てくる。水が多い印象を受ける。同じ水でも恐怖、安らぎ、美しさが様々な印象を受ける。
母との思い出とドイツ軍の怒りに全てを支配された少年の心情が、タルコフスキーによってエモーショナルに描かれるのだ。いうまでもなくどん底の暗さなので、朝一に見るとその日落ち込むから、雨の日の夜とかにウィスキーを片手でゆっくりと観たらよいでしょう。

(面白さ:★★★★★★☆☆☆☆)


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