2021年2月10日(水)

昨日、今日の山口は良く晴れた小春日和で、
おそらく春八番くらいになる春一番が
ベランダの灰皿から
名残の風花を巻き上げていました。

この灰皿、俺が引っ越してきた少し後から
ずっと置かれているのですが、
誰のものなんでしょうか?
日に数本ずつ吸い殻が増えて、
毎回、俺が気付いた時に捨てるんですけど、
自分で吸い殻くらいは始末してほしい。
吸い殻の数と同じだけ
俺のタバコも減ってる気がします。
妖精さんめ。

妖精さんと暮らす日々は意外とシビアです。
妖精さんは俺にしか感じられないし、
そういった性質上、妖精さんの必要経費は
全て俺の懐から出ます。

お腹が空いたと言われればお菓子を買って、
喉が渇いたと言われれば蛇口を捻って。
面倒だなと思うことも多いけれど、
妖精さんが全部やってくれるおかげで
俺はお腹が空くことも渇くこともありません。

ところが、最近気付いたんですが、
どうやら妖精さんの人格は俺とは別に
独立してるみたいで、
俺の感情までは
肩代わりしてくれないそうです。
気付かないフリをしてましたが、
少し面倒なことになりました。

俺はずっと世界と彼を繋ぐだけで、
彼が代わりに生きていてくれるから、
俺はそれを眺めながら
たまに世話してやるだけで、
残りは全部好きにやれていたのに。
今更なんでこんな面倒なこと。

もう自分の感情がどこにあって
どれだけ大きなものになってるのかすら
俺には分かりません。
みんなは本当にこんなもの
背負ってるんですか?

過ぎた感情に任せて
身を滅ぼしてしまえば
虎になれます。ご存知の通りに。
そうして自分の心の形が分かるのだから
虎になったとて幸せです。

きっと多くの人は自分の感情の表層に
学習的なラベルを貼り付けるだけで、
そのラベルに沿った行動をするだけです。
身を滅ぼせるほどのエネルギーは
中々生み出せません。少なくとも俺には。

そうして全部面倒になって夢想するのは、
粛々と燃える炎です。
物質が強い光と熱を放ちながら
ガス状に溶けていく様は、
自分の中にあるもの達を明らかにして、
そして解放されていくようで、
とても羨ましいからです。

自分の心にベタベタ貼り付けて、
自分を形作っていたはずのラベル。
子供が工作をガムテープで固めるみたいに
執拗に雁字搦めにしてきたそれが、
全部燃やし尽くされて、
散り散りになっていくひと時、
どんな色に燃えたいですか?
やっぱ赤かなぁ。マットな赤。

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