5.

・木が風に揺れる響きの名前なら寂しいなんてことはなかった

・無いようなものが消えない
 沈む体残してお湯ばかりあふれる

・話さない微笑まない鉢植えに水遣る手で自分の世話を焼く

・優しさの海綿で泣く人を奪い合う彼らは肉を食べない

・すすり泣きを日干ししてすり潰した囁き啄んだ鳥が鳴く

・風の音がする
 検分したはずの身体のどこかが開いている

・口を閉じて過ぎた日の靴底からたたきに落ちる若い押し花

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