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パリに怪しいスマホ通りがあっただなんて、自分の過去のパリ滞在は何をやってたんだって話

おしゃれーなパリの街に「スマホ通り」があっただなんて、、、もちろんそれはiPhoneがきらびやかに並ぶショップ街じゃありません。怪しい系、マイナー系、古いものが並ぶエリアです(まあ怪しいといっても最近は変な製品はあまりありませんけどね)。

ヨーロッパのスマホ通りと言えばバルセロナのLiceu近辺が有名(自分の中では)。細い路地を入るとスマートフォン屋が20軒くらい並んでいます。品ぞろえはかなり古いものや、どこからか流れてきたSIMロック崩れ品、また新品もあるもののハイエンドよりミドル、エントリー中心です。ここは毎年2月、MWC取材のときに必ず立ち寄りますが、年々怪しさは影を潜めつつあり、品ぞろえも少なくなってきています。

バルセロナにそんな通りがあるのは、海を挟んだ反対側がアフリカであり、ここから格安端末がアフリカに流れるという動きがあるのではないかと思います。また反対にアフリカで余った端末(主にノーブランド系)がバルセロナにも入ってきているのかなと。特に北アフリカとのスマートフォン・携帯電話の貿易の中継地点の1つがバルセロナではないかなと推測しています(そのためにも一度チュニジアあたりに行こうと思っています)。

他の都市ならば鉄道の中央駅近辺が旅行者のみならず出稼ぎに来る人々が多く、人の集まるところには必需品を売る店が集まるもので、型落ち品や中古端末を売る店が多くあります。たとえばフランクフルト中央駅付近とかですね。

このようなスマホ通り、スマホ屋が集まるエリアは各国にあるはずですが、自分は渡航先でも探しきれていません。ガイドブックに出るような場所ではないですし、検索でもひっかかりません。「2nd hand phone」なんて検索したところで、SEO対策を考えたオンライン販売ショップが出てくるばかりで、しかも普通の中古屋です。なぜならオンラインで売るくらいだから、売れないような商品を扱うような店はでてこないわけです。

*そもそもマイナーな情報をネットの検索で調べるということ自身が相反する行為なんですけどね。

なのでローカル食堂で話を聞いたりするものの、普通の人の行かないエリアですから情報は集まりません。地道に聞いたり、ネットで見かけたそれらしき写真から推測して探していく、なんてことをやってはいるものの、「スマホ通り」はなかなか簡単に見つからないのですよ。

パリは過去の歴史から、アフリカ系の方々が多く居住するエリアがあります。おそらくそのエリアには何しらバルセロナやフランクフルト中央駅のような場所があるはずです。しかし過去にフランス滞在者に話を聞いたりしてもその手のお店の情報は皆無。そのためパリに行った時は、スマートフォンを見に行くとしてもヨーロッパのIT家電店「Fnac」へ行く程度でした。

しかし今回のパリ訪問でついにスマホ通りを発見したのです。きっかけは同じ取材でパリを訪れた富永彩乃氏のタクシー移動。同氏は自分より半日先にシャルルドゴール空港に到着し、ホテルへ向かっている途中の通りでスマートフォン屋が並んでいるのを発見したとのこと。タクシーでの移動もこんな発見があるわけです。

そんなことからパリ滞在2日目、7月9日に行ってみました。

なおアスキーにも記事を書いています。

場所はパリメトロ4号線のBarbès–Rochechouart駅とChâteau Rouge駅の間。Barbès–Rochechouart駅はパリ北駅から1駅北。このエリアは治安が悪いと言われる18区ですね。ただサンフランシスコの街中のような薬の匂いはせず、銃を持っているような輩もいないでしょうから、スリや(普段はないでしょうけど)暴動などに注意するという感じでしょうか。なおBarbès–Rochechouart駅から南はファッションの通りらしい(行ってないけど)。駅を挟んで雰囲気が180度変わります。

このエリアから北にかけては移民が多い街ということで、スマートフォンを売る店が多いのも当然のこと。スマートフォンは生活必需品ですし、はるか昔はどの店もGSM携帯電話を売っていたんでしょう。

ここのスマートフォン屋はほぼすべてがLyca Mobileの看板を掲げています。Lycaはかなり広告費かけているようですが、移民の街では国際電話利用も多いから十分ビジネスになっていると思われます。

アスキーの記事にも書きましたが、大半の店は
・新品はミドルレンジ以下(Galaxy A10系、Redmiなど)
・10年くらい前の旧モデル新品もある
・中古もミドルレンジが中心
・フィーチャーフォンが結構多い
こんな品ぞろえです。まあこれは他のヨーロッパでも似ていますが、フィーチャーフォンが多いのがここの特徴。

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山根博士のスマホ取材の裏側

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香港在住携帯電話研究家、山根康宏が記事に書けない取材の裏話やエピソード、香港生活のお話などを綴っていきます。基本更新は毎週2回(火・金)で…

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