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IFA2018の取材が終了。Nubia αは未来のスマホ

山根博士の「スマホ取材の裏側」Vol.67(2018年9月15日)
年間230日を海外取材に費やす”携帯電話研究家"の1週間の行動記録
出張の連続で更新が遅くなりました。今は帰路の途中のロンドン。
ということでIFA2018からみのお話を。今回は全文公開しています。

[1]新製品盛りだくさんのIFA2018---Nubia αやBBKEY2 LEを見た
[2]IoT関連の展示に萌える---IFAにみた家電のスマート化
[3]エーゲ航空修行はテッサロニキがいい---空港で夜更かし

仕事情報などは公式サイトからどうぞ:山根康宏のモバイルネタ

[1]新製品盛りだくさんのIFA2018---Nubia αやBBKEY2 LEを見た

8月31日から9月5日までのIFA2018は今年も多くの新製品を見ることができました。一方PC関連は今回もほとんど見ていません。レノボのイベントに参加したのですが、モトローラネタが無くて個人的には盛り上がらず。Yogaのあれも、あまりそそりませんでした。やはり私が興味あるのはスマートフォンと通信関連。

ということでスマートフォンはソニー、持ちローラ、BlackBerry(TCL)、ZTE、Nubia、Wiko、HTC、Vestelなどなどを見てきました。マイナーメーカーも複数社回ったのでそのあたりも記事にしていこうかなと(速報の必要はないですから)。大型新製品がなかったのでスマートフォンの話はあまり盛り上がらなかったように思いますが、ZTEの復活やHTCがこっそりミッドハイを出すなど面白い動きはありました。

Xperia XZ3は大きい新製品かもしれないのですが、、、XZ2シリーズをじゃあなぜ出したんだと。個人的な感想は消費者のこと見ておらず、日本のキャリアの販売スケジュールに合わせて製品を開発しているんだなあと。XZ3はとてもいい端末ですが、過去のポリシーをことごとく否定しているあたりもちぐはぐ感が。まあ日本で売れることは間違いないでしょう。

TCLがBlackBerry KEY2 LEを出してきましたが、価格を抑えたのは正解。テキストジャンキーな若者にはキーボードは必須(フリックは日本だけ)。でもKEY2はビジネス層向けなのでスペックも価格もちと高い。BlackBerryを軌道に乗せるならプレミアムかカジュアルにいかないとこれからは難しいですから、KEY2 LEで数を出して固定ユーザーをしっかりつかむ必要があります。一方、アルカテルのスマートフォンは壊滅状態。2018年のモデルチェンジに失敗してしまい、TCL全体のスマートフォンの販売台数は急減しているはず。BlackBerryを救世主にするためには、ボリュームを稼げる製品が欲しい。

さて今回一番気に入った製品はNubiaのNubia α。腕時計型端末は嫌というほど見てきましたが、Nubia αはベルトをフレキシブルディスプレイにしたことでスマートウォッチの制限を打破してきました。これこそが本当のスマートウォッチ、と言えるかも。腕時計のあの狭い画面で各社あれこれしようとしていますが、表示できるエリアが狭く高性能化したところでユーザーはついていけません。ましてや画面が狭いから操作もしにくいわけですし。

音声入力がまともになればスマートウォッチには未来はあるかもしれませんが、今度はそうなると音声で返答をもらえば済むケースも増えるでしょう。今のスマートウォッチの方向性はそもそもアプリケーション(アプリじゃなく)の必要性が無い状態でメーカーが製品を開発しているから無理があります。お年寄り向けアプリが出たとしても、本当に緊急時に使えないようでは意味がありません。

Nubia αは縦長のディスプレイを搭載していますから、テキストを流したり動画を見せるという使い方は十分ありでしょう。小さい画面を複数表示する、なんてこともできそうですし。なによりも未来を感じさせてくれます。あとは実際に製品化されるのかどうか、そこだけが気になるところ。

なおIFAのブースでNubiaの中の人と親交を深めたので、発表会は入場券をもらえそう。年内に発表になるのなら、あらゆる予定をキャンセルして発表会に飛んでいこうと思っています。

[2]IoT関連の展示に萌える---IFAにみた家電のスマート化

スマートホーム、と聞いても日本では規制が絡んだことからエアコンの外部コントロールがケチをつけられ、その後も家電メーカーの動きは海外に比べると遅めです。そういえばスマートTVが日本にはないので、Alexaなどから番組検索やチャンネル操作ができないという。赤外線アダプタをつければチャンネルを変えられるみたいですが、それアナログ操作で本来のAIスピーカーの目指す方向ではありません。

そもそも日本にはIPTVの概念が無いので、家庭のスマート化の中からTVが取り残され、気が付けば若い世代はスマートフォンを使って「キーTV局以外」の動画(YouTubeなども含め)を見るのが当たり前に(すでに今でも)なっていくでしょう。損が得るとTVに割り当てられている電波がもったいない(という点で5G化も日本は貴重な周波数帯が有効利用されない)。

さてスマートホームは海外でも実は普及はまだまだこれから。とはいえサムスンやシーメンス、ミーレなど大手メーカーは自社のプラットフォームを構築し、つながる家電の数を年々増やしています。今年は音声AIスピーカーの普及に合わせて各社が接続を行ったことで、まだコンセプト的なスマート家電しか出していないメーカーの製品もAlexaやGoogle Assistant対応を謳いだしています。

スマートホームのプロトコルはOpen Connectivity Foundation (OCF)に各社が参加したことでメーカーを超えての接続も可能になります。アップルのHomeKitの話題をすっかり聞かなくなったのも、閉じた世界で家電業界をコントロールするなんて無理だったわけです。

それにスマートホームって家電の電源のON/OFFのことではありません。IFA2018で各社が見せていたのは「冷蔵庫の中を内蔵カメラで確認して、そこから最適メニューを検索、足りない食材を注文して夕方にピックアップ、調理プログラムをオーブンにセットしておき、あとは帰宅したら食材の下ごしらえをしてオーブンに入れるだけ」というもの。まああくまでも一例ですが、「家電がスマホにつながる」のではなく、「家電が相互につながり情報を共有する」これがスマートホームなわけです。

IFAは去年もおととしもスマートホーム関連の展示は数多くあったのですが、操作が安定していなかったり、対応製品が少ないなど、実際に家庭に導入するメリットの無い世界でした。しかし今年のIFA2018では冷蔵庫に話しかけてエアコンの温度を調整する、なんてことが普通にできていたのです。家電に搭載するチップセットの高性能化に加え、音声AIスピーカーの認識力も高まったことで「話して操作」が使えるものになってきたわけです。

去年までなら、スマートホームの説明にはスマートフォンアプリが使われていましたが、今年はスマートフォンではなく直接話しかける姿が目立ちました。スマートTVならリモコンが入力デバイスとなり、リモコンに話しかけて「時代劇を検索」なんてやるわけ。となるともはやTVに10キーすらいらないわけですよ。そもそもIPTVの数百チャンネルを覚えるなんて無理でしょう。見たいジャンルを音声で検索、そこから絞り込むわけ。私の韓国の自宅のKTのIPTVは歌謡・芸能チャンネルが10個くらいあるのですが、それリモコン操作がいつも面倒。音声で検索したら楽なんですよね。

スマートホームとガジェットは結び付かないようで、LTEやNB-IoTモデムが搭載されたり、スマートフォンとの連携が当たり前になると、IT製品として面白くなっていくはずなんです。電子レンジにカップヌードルを入れたら、内部のカメラがラベルを認識して自動で4分温める、そして出来上がったら「チーン」と音じゃなくスマートフォンに通達。そんな世界がすぐやってくるわけです。

[3]エーゲ航空修行はテッサロニキがいい---空港で夜更かし

今回のIFA2018は移動中に空港泊を数回。展示会直前は無理ですが、終わった後ならまあなんとかなります。ホテルだって高いわけで、夜遅くについて翌朝出発なんてときは空港で夜明かしするに限ります。もちろん安全性第一ですから、やばい空港ではやりませんよ。

私は普段はアライアンスはワンワールドをつかいますが、スタアラもたまに乗るのでエーゲ航空にマイルを付けています。ざっくりいうと1万2000マイルにエーゲ航空4回乗るとゴールド。通常は10万マイルくらいいるから太っ腹です。なおワンワールド派からするとスタアラはゴールド以外は使い道無いので、下のステイタスの存在意義がわからない、、、

てなことでIFAでヨーロッパにきているのでエーゲ航空に4回乗ることにしたわけです。IFAのあとはMWCAで、ベルリンからロンドンへ移動。それをベルリン→アテネ、アテネ→ロンドンとエーゲ航空に乗ることで2回搭乗。都合よくアテネにつくのが夜遅く、ロンドン発は翌朝です。

そしてアテネについてから夜中の便で国内近場のテッサロニキへ飛び、翌朝6時の早朝便でアテネに戻るとさらに2回搭乗で合計4回、ロンドン行きにも間に合います。ベルリンを夕方に出て、翌日の午前中にロンドンにつきながらもエーゲ航空4回制覇できるわけです。

テッサロニキは過去にもエーゲ航空修行で飛んだことがあるのですが、その時は昼間でした。今回は深夜24時に到着し、翌朝まで空港にいなくてはなりません。ギリシャの治安と言えば、アテネの地下鉄でスリに会いそうになりましたし、それほどいいほうではないでしょう。なので空港も注意が必要です。まあ初めての空港だったら心配ですが、昼間とは言え一度使ったことのある空港なので安心感はあります。またラウンジは朝4:30からあいているので、実質4時間くらい空港でがんばればなんとかなります。

さてベルリンからアテネについて乗り継ぎ時間が2時間くらいあったのでラウンジへ入ったのですが(シェンゲン協定国内からアテネ国内移動なので、アテネ空港ではいったん外に出る必要はなし。なおチケットは4区間ともオンラインチェックインでモバイルチケット発券済み)、すぐに名前を呼ばれて「今すぐ飛ぶテッサロニキ行きに乗れますよ」と。早く乗ればテッサロニキでの夜更かし時間が長くなってしまいますが、移動が多い時は前倒しできるときは早くできるにこしたことはありません。なのでラウンジでは飲食もせじすぐに飛行機へ。

テッサロニキへは1時間くらいで到着。ここでは一旦外に出なくてはならず、それほど広くない到着ロビーで一夜を明かします。念のため出発ロビーへ行くと24時くらいでも保安検査をやっていたので、すぐに中に入ってしまえばよかったかもしれません。到着ロビーは携帯の電波の入りがわるく、リュクを前に抱えて1時間半くらい寝てしまいましたが、ネットで情報のあった「浮浪者が中にたむろしている」は無かったです。

さて4時くらいに保安検査を通り中へ入ると、そこで寝ている人もちらほらいました。中ならより安全ですから次回からはそうしたほうがよさそう。そしてラウンジへ4:30に行くも、明かりはついていますがドアは閉まったまま。結局4:45くらいに開きましたが、4:30に来る客は普段あまりいないのでしょう。

あとはラウンジで休憩して、テッサロニキ名物ともいえる、ラウンジで搭乗手続きをしてそのままバスに乗り込んで飛行機へ。アテネはシェンゲン協定国外に出るためここも外に出て改めて保安検査→出国手続き、その後ロンドン行きに無事乗り込みました。

エーゲ修行をしている人はだいぶ減ったでしょうが、深夜のテッサロニキ空港は悪くないかも。来年もこれでノルマ達成しようかなあ。。。

なお今回は更新が遅れたので、ここまでの全文を公開しています。この下の「続きを読む」をクリックしても、文章はありません。ということでまた次回をお楽しみに。

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