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中国最強翻訳機メーカーから謎のスマホ。知らないスマホ探しって楽しいよね◆Vol.168

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ネットで何でも調べられる時代ですが、だからこそ「なにこれ?」という新しいスマートフォンとの出会いは楽しいもの。海外展示会に行けばひっそりと知らないメーカーが製品を出していたりしていますが、今は展示会もないしいけないし、ということでネットで日々情報を探していますが、普通に検索していたのでは変なスマートフォンはなかなか見つからなものです。

中国メーカーの新製品情報も、ほぼすべてがオンラインで入手できるように思えます。メジャーメーカーの情報だったら、Weiboの中国語の情報ですらグローバルのニュースサイトが取り上げます。ということでGSMARENAなどメジャーサイトを見ていればほとんどの情報は手に入るでしょう。

しかし中国ではニュースにならない新製品も次々と出てきています。現地とコネクションを持っていたり、検索のノウハウがないとわからない情報もまだ多くあります。Doov(そもそもDoovが知られていない)の5G端末なんて、グーグル検索じゃ出てこないし百度でもDoovの動きがわかってないとひっかかりません。

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そもそも情報検索とは「絞り込み」ですから、最初の前提として「絞る対象」を自分で決めなくては検索できません。しかしその段階でマイナーなメーカーの存在を知っていないと検索から漏れてしまいます。まあメジャーメーカーだけを追いかけていればいいのかもしれませんが、スマートフォン業界全体の動きを追いかけるのであればそれでは不十分。Doov絡みで弱小メーカーの5Gスマートフォンを調べていくと、UNISOC(中国チップセットメーカー)とODMメーカーの動きにつながります。そこから格安5G端末の動向、そして中国や新興国の5G展開が見えてくるわけです。

てなことで(中国語で)「中国」「5G」「スマートフォン」「新機種」で検索したところで、引っ掛かるのは大手メーカーばかり。マイナーメーカーの情報を見つけるには過去の知見や中国人の関係者の知り合いとのWeChatでの雑談などは必須で、昔も今も一苦労します。

ところで自分が昔にnoteでやっていた別のマガジン「チャイナガジェット」を見るとマイナーメーカーだらけです。そのほとんどは無くなりましたが、今も残っているメーカーがあり、5G端末を出しているところもあります。チャイナガジェットのマガジンは自分が忙しくなってしまったことと、マイナーメーカーがどんどん消滅していったので更新も止まってしまいました。

ちなみにチャイナガジェットをやっていた当時(2014年ころ)、個人的にかなり注目していたのがK-Touchの「nibiru」ブランドのスマートフォンです。nibiru(ニビル)は火星と木星の間にあるという仮想惑星。その名前を付けたnibiruブランドのスマートフォンにK-Touchは太陽系の惑星の名前を付けて展開していました。

出てきた製品は「火星一号」「金星一号」「木星一号」「土星一号」。それ以上の展開は無く惜しくも撤退してしまいましたが、売れていれば「水星」など他の惑星のモデルも出たでしょうね(もしかすると「海王星」はモバイルバッテリーだったり、など)。そして毎年「金星二号」「土星三号」のように「X号」の部分の数字を上げてシリーズ展開されたはず。nibiruは壮大なスケールで製品展開を行おうとしたのですが、それにしてはリソースが足りませんでした。なお各モデル(惑星)ごとに製品の特長は異なり、「土星」は年配者向けの簡単スマートフォンでした。

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今から10年くらい前なら、それこそ中国のネットで調べても調べ切れないメーカーやスマートフォンがたくさんありました。なおさら展示会へ行くことが重要だったのです。しかし今ではメーカーも減り、マイナーも含め自分が知らないメーカーはほとんどなくなりました。最近では小黄蜂(Smartwasp)が久々に出したモデルが5Gであることをつかみましたが、これもこのメーカーをたまに追いかけているから判明したもの。Doovは一時期中国でもメジャーでしたが、Smartwaspとなるとそもそも本当に売られているかもわからないレベルのメーカーです。

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ということでこの小黄蜂の「A7」を見つけて「うはは」と一人で自己満足するわけです。マイナーメーカーはかなり淘汰されたとはいえ、まだまだ未知の世界が広がっています。

さて今回の本題。マイナーメーカーではなく、またスマートフォンを展開していないメーカーからスマートフォンが出ていることを見つけました。

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