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深センのIoT展示会で無人販売機、そしてSimonのお話

山根博士の「スマホ取材の裏側」Vol.65(2018年8月5日)
年間230日を海外取材に費やす”携帯電話研究家"の1週間の行動記録
香港1週間滞在中、深センの展示会に行ってきました

[1]深センIoT展示会---RFIDが主役、「無人」販売機だらけ
[2]ファーウェイ2位上昇に思うところ---他社抜きに強い
[3]IBMの幻のスマホ、Simonのカタログ---この世に存在するとは!

仕事情報などは公式サイトからどうぞ:山根康宏のモバイルネタ

[1]深センIoT展示会---RFIDが主役、「無人」販売機だらけ

8月1日に深センで開催中の「IoTE2018 China」を取材しました。IoT関連の展示会ですが、コンシューマー向けよりもB2Bがメイン、そのため直接記事化できる内容はあまりありませんでした。また当日の夜には日本へ発たねばならず、1時間半程度で会場を駆け足で回るだけで終わってしまいました。

展示会の一つのテーマがリテールのIoT化。中国で最近流行の無人販売機が数多く展示されていました。ガラスのショーケース型で、QRコードを使いスマートフォンで支払いができるもの。日本で普通にある自販機とは見た目が異なります。ショーケースだから入れるもののサイズはそろっていなくてもOK、冷蔵タイプならば生ものもいれておくことができます。

通信回線は必須で、2Gのモデム搭載のものが多いものの、中には4Gタイプも。ショーケースに設置したモニターをデジタルサイネージとして使う製品の場合、動画をストリーミングで流すこともできるようです。

買い物するときは掲載されているQRコードをスマートフォンで読み取るとドアロックが解除されます。ショーケース内部の製品にはすべてRF-IDタグが張り付けられているため、商品を取り出すとすぐさま何を出したのかが識別されモニターに表示されます。そしてドアを閉めれば清算され決済も行われるというわけ。

現在一般的な自動販売機と異なるのは、取り扱う製品が自在なこと。またガラスショーケースなので中身が見えることです。さらには消費者が直接商品を取り出すため、商品を落として取り出し口から取り出すという構造も不要になります。つまり構造を簡単にでき、メンテナンス頻度も減らすことができます。

とはいえRFIDだけでなく、商品を置く棚の重さを常に図り、取り出した商品をRFIDと荷重変化から二重で読み取る製品も出てきています。単純に1つの棚に同じ商品だけしか置かないのであれば、RFIDのラベルを張り付けておくことも不要です。果物などは直接RFIDラベルを張り付けできないためビニール袋に入れる必要がありますが、手間もかかるものです。

ということで荷重変化検知タイプの製品もこれから増えていくのかもしれませんが、構造が複雑になることからメンテナンスの重要性が高まります。通信料金も含めた毎月の費用もこれから変わっていきそうです。「販売機無料、毎月100元」なんてレンタルプランが出てくる可能性もあります。

また面白いのが無人販売機+有人スナックコーナーを組み合わせた店舗のチェーン店の展開を行っている企業がいくつかありました。すでに深センにも店はあるのですが、缶ジュースやお菓子など手間のかからないものを自販機で売り、カウンターでは生ジュースなどをその場で作り、店内のテーブル席で休憩もできるというもの。人手のかからなくなったリソースを別のところに配分して収益を上げようというものでしょうか。今後この手の店も増えていくかも。

1時間半ではスマートホーム関連のあたりはほとんど見れなかったのですが、結局「深センのモノづくり」として最近もてはやされている深センも、このような展示会は何年も前から開催されており、そして長年の企業の研究開発のもとに今のサービスやシステムも動いているのです。「無人の店がある深センすごい!」を、見方によっては地味な技術が支えているのです。

[2]ファーウェイ2位上昇に思うところ---他社抜きに強い

IDCの調査などでファーウェイがアップルを抜いてスマートフォン2位になりました。となると出てくるのは「セキュリティーの無い会社の端末なんて使いたくない」って声。2018年第2四半期、世界中で5600万人もの人はそれ気にしてないってことなのか(笑)。そんなにやばい製品がなぜ売れているか私は知りたいくらいです。

考えてみればiPhoneはすでにもうターゲットユーザー以上の層が購入しており、今後は堅実な買い替え需要に支えられて数が大幅に動くことはないでしょう(四半期ごと、という意味)。4Qに爆発的に売れ、2Qは落ち込む。今回はその最も落ち込んでいる2Qに、ファーウェイが落ちるところを知らないイケイケ状態のまま突き進んだ結果、逆転したわけです。

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