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「中国スゲー」になれなかったケータイメーカー、南方高科の悲劇◆Vol.115

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当マガジンは香港生活など一般ネタを無料、スマートフォン関連(仕事やお店、買い物など)ネタを有料(月500円、4回程度更新)で交互に執筆。今回は香港スマホネタ、途中から有料です。

今住んでいる深水埗(シャムシュイポ)は電脳ビルやスマートフォン屋が多くあるITの街でもあります。下町なのでローカルフードもおいしく、生活しやすく個人的には香港で最高の場所だと思っています。なにせ10分も歩けばSIM屋台ですから「来週アメリカだからSIM買うか」なんて具合に気軽にSIMも買えます。ちなみにSIM屋台は桂林街と汝州街の交差点付近に多くありますし、中古屋もたちならぶ鴨寮街にも多くみつかります。お店ごとに多少価格も違うのでいくつかの店を回るのがお勧め。

その鴨寮街には中古やジャンクのスマートフォン屋も多くあるのですが、最近はさらに下の「ジャンク以下」のものや、どこからか流れてきた新品(相当)のものを売っている露店巡りが楽しい毎日です。うちから近い大南街に毎日夕方くらいから市が広がります。なお道路で勝手にやっているので合法ではないでしょう。

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香港には「夜冷店」「夜冷舖」という店があります。店内はとにかくいろいろなものがおかれており、店の主はどこからか「コンテナ1つ」を買い込んでそれに入っていたものを並べて売っているのです。日用雑貨からAV機器やIT製品、洋服など、扱う商品は雑多。

10年以上も前に行きつけだった夜冷店では、モトローラの衛星電話、イリジウムの箱入りフルセット(箱はボロボロだけど)を友人とまとめて5台買ったこともあります。1台1万円しなかったかな、、、そんなお店もある時突然閉店してしまいました(お店のおばちゃんと仲良くなったのになあ)。いまも夜冷店はシャムシュイポや他の街にもいくつもありますが、あそこまで携帯電話関係の品ぞろえのいい店は無かったなあ。

さて大南街の露店はインドやらパキスタン系のおっちゃんたちがワゴン車でやってきて、道端にシートを敷いてそこにモノを並べて売ってます。つまり夜冷店で売っているようなものが道端で売られているというわけ。大掛かりな露店はシートごとに靴、キッチン用品、日用品、そしてIT系製品と分類されているので物色しやすいです。また1枚のシートにいろいろなものを並べているところでも、一応分類しておいています。時計見たい人にハンドバッグを見せてもきょうみないですからね。

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露店ではスマートフォンも販売されます。といっても箱付きの最新スマートフォンが格安で売られるなんてことはありえません。そんなものがあったらとっとと転売されますし、そもそもこんなところには出てきません。ここで売られるのは「普通の店ではだれも買わないようなもの」。IT製品なら古いもの、無保証、付属品欠けなどなどです。

なお中古端末を売る人はそれ専門で別に来ている様子。でもあまり製品に詳しくないので元締めがいてただ売っているだけ、ってことかなと。こんなところで売られているので故障品だったり水没品だったりするので、常用するために買うのはリスク大。コレクションや部品取りに買うものでしょうね。

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大南街は我が家からシャムシュイポの駅やショッピングモール(西九龍中心)へ行く途中にあります。駅までは複数のルートがあるのですが、ここを知ってからはこの道を通ることが増えました。以前はITジャンクの露店でミニミニスマートフォンを買ったこともありますが、スマートフォンの掘り出し物はたまーにしか見かけません。

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ところが先日、とある露店の前を通ったところかなり古い携帯電話の箱が乱雑に置かれているのを発見しました。どうせ名もないメーカーの適当な製品だろうかと思ったものの、立ち止まって見ると見覚えのあるメーカーの箱もあります。「Soutec(南方高科)」です。

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箱は日に焼けて古さは否めないものの、こんな状態の製品をいま見つけることは不可能です。自分が会社を辞めたころ(2003年)、中国メーカーが勢いを少しずつ増してきたころに出てきたメーカーです。そんな大昔の新品箱入りが今見られるとは驚きでした。

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