見出し画像

最強自撮りスマホMeitu V7、1年前の名機を中国から輸入◆Vol.143

当マガジンは月額500円(税抜)の有料マガジン。途中から有料です。
-----------------------------------------------------------------------------------

スマートフォンメーカー各社の興亡をこの20年間見続けていますが、自分が大好きだったメーカーが市場から消えていくのは辛いもの。あのノキアの「日本撤退」そして「スマートフォン事業撤退」という大きな事件を2つも目の当たりにしているため、他のメーカーの撤退の動きにはそれほどうろたえません。最近ではSmartisanが事実上ギブアップしていますね。

でも実は中国メーカーで一番気になっているメーカーがありました。Meitu(美図)です。Meituの事業撤退の時は大きなショックを受けたものです。Meituは知っている人は知っているセルフィースマートフォン専業と言えるメーカーですね。

Meituを知ったのはいつごろだったかはっきりと覚えていませんが、六角形のボディーにフロントカメラ画質だけ高く、しかも中国のセルフィーブームに乗って実際に人気だった現場を見ているうちに、気が付けば好きなメーカーになっていたのです。中国の展示会ではコンパニオンさんがiPhone片手にMeituも持っている、なんて姿もよく見ました。

ちなみにMeituのスマートフォンが六角形なのは、セルフィーデジカメとしてやはり中国で大人気だったカシオのTRシリーズの影響を受けているのは間違いありません。TRこそ中国では爆発的な人気(一部層ですが)で、やはり展示会のコンパニオンさんたちは必ず持っているといえるほどの製品でした。iPhoneで自撮りして加工ではTRにもMeituにも勝てないのです。

そんなMeituを追いかけていたものの自分は男性でしたからなかなか深いところまで踏み込めず。そんなときにあらわれたのがITジャーナリストの富永彩乃氏で、彼女が深センに来た時に電脳街を案内してMietu「M6」の実機を見せたら、その場で虜になって翌日には台風の中香港で入手してしまったほど。そこから彼女のすさまじい行動力が発揮され、Meituの本社に非公式・公式で取材に行ったりもしました。

Meituのスマートフォンの美顔化のアルゴリズムは当時の他社とは大きく違い群を抜いていました。美顔というと今でも「顔を加工する」と思う人がいますが、Meituの場合は化粧をする、といったほうが似合うのかも。まあとにかくこんな自分ですら顔の形はそのままに肌がきれいに仕上がるのです。

Meituのスマートフォンは標準モデルのMシリーズと高級モデルのVシリーズの2本で走っていましたが、他社が次々と新製品を出していくとその動きに負けじと技術を高めたTシリーズを投入して対抗していきます。しかしスマートフォンの新機種発表サイクルはさらに短くなっていき、格安モデルを持っていないMeituはついていくのが厳しくなります。またOPPOなどの美顔もMeituに追いつきはしないものの、それなりのレベルにあがってきました。そうなるとMeituに勝ち目はありません。

2018年11月にMeituはスマートフォン事業をシャオミに移管すると発表。事実上のMeituの終焉です。12月に最後に出した「V7」は、Snapdragon 845にトリプルフロントカメラ、背面革張り。Meituの集大成でした。

2019年7月にシャオミは新しいモデル「CC9」シリーズを発表。「CC9」のバリエーションの中に「CC9 Meitu Edition」も出してきました。カメラをMeitu UIにして美顔もMeituのものを搭載。シャオミ傘下で生まれた新しいMeituスマートフォンです。しかし元々のカメラが良くないこともあり、旧Meituのスマートフォンほどのナチュラルな美顔効果は得られず。CCシリーズも中途半端な位置づけになり、後継機は出てきていません。

さて富永彩乃氏はV7の前に出た「T9」を使っていましたが、写真がたまりすぎて本体のメモリが圧迫されて動作が不安定に。写真を消せばいいのでしょうがT9持って自撮りするときに前の写真も見せたいとなるとそうもいきません。「いまさらだけどV7が欲しい」と2020年に入ってから彼女が口にするようになり、だったら中国から買おうか、ということになったのです。

とはいえV7の発売は2018年末。すでに1年半以上も前です。しかしなんとか9月に日本で受け取ることができました。富永彩乃氏のMeitu V7開封動画こちらですが、ようやく届いた安堵の表情をされています(私は声だけ出演)。

45分にもわたるこの動画、なかなか開封されないのですが、実は届くまで大変だったのですよ、、、ということでここから先はその顛末。動画も長ければ顛末も長いです。

ここから先は

3,681字

山根博士のスマホ取材の裏側

¥500 / 月 初月無料

香港在住携帯電話研究家、山根康宏が記事に書けない取材の裏話やエピソード、香港生活のお話などを綴っていきます。基本更新は毎週2回(火・金)で…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?