パンテックのスマホが消えた悲しさを露店で売ってたVega R3を見て思い出す◆Vol.162
1月中旬はCESやら調査の仕事が入り、2週間多忙で記事もあまりかけない状況でした。まあCESが開催されていればアメリカに2週間くらい行っていたのでどっちにしろ忙しかったのですけどね。ということで気が付けば1月も後数日で終わってしまいます。
さて1月25日の夜に家の近所を徘徊してたら、中古スマートフォンを売ってる屋台に1台の端末を見つけました。「VEGA」って書いてあります。「あ!パンテックのR3だ」と一発でわかってしまった自分をほめてあげたいくらい、こんなところでこんなものに出会えるなんてちょっと感動。
ちなみにこの手の露店はいくつかありますが、ジャンクに近いボロボロのものを売っている人もよくいます。ちゃんと動く中古が売られていても程度がいいものはあまりなく、買うことはお勧めしません。ところがこのR3は本体に傷などなかったのでコレクションとしても十分いけるってことで購入。HK$120(約1600円)。
さてどうしてこれがR3だってすぐに気が付いたか、そしてどうして買ったのか、ってのが今回のお話。たぶんかなり長くなります。
会社員(香港駐在員)をやめて2003年5月にフリーランス・携帯電話研究家になったものの、仕事は海外端末のことを細々と書くくらいで食っていける状態ではなく、貯金を切り崩して生活していました。とはいえフリーランスになった一番の理由は、当時毎年3月にドイツ・ハノーファーで開催されていた「CeBIT」へ行くこと。2000年台初頭はCeBITで携帯電話の新製品が多く発表されていたのです。フリーランスになり2004年3月に初めてCeBITを取材。どのブースへ行っても感動と興奮で、食事するのも忘れて1日中会場内を歩き回っていました。
そのCeBITでITmediaの斎藤健二氏(今はもう取締役)に声をかけていただき、ようやくメジャーメディアへの執筆デビュー。ちなみに初日の夜にもう1名の方(日経系の記者の方)と斎藤氏と3名で夕食を取っていたところ、終電の時間を逃してしまったという。終電、といっても、その時はベルリンに宿を取っていました。
初CeBIT取材は鉄道に乗るのも好きなのでICEで特急通勤すればいいやってことでベルリンに宿を取ったのですが、ベルリン=ハノーファー間は100分。なお当時はまだ中央駅は無い時代。毎朝宿を6時過ぎに出て、宿に戻るのは22時くらいだったかな(プレスルームが20時くらいまでやっていた気がする)。まあドイツはレールパスがあってそれ使えばハノーファーに宿を撮るよりも安い。どうせならってことで一等パスを買ってベルリンの安宿に泊まっていたのです。
てなことで齋藤氏らと食事をしていたら、その日の終電はいつもより1時間早く(ベルリン行きは1時間に1本)、ハノーファー中央駅に着いたらベルリン行きは無し。駅の窓口で年配女性の駅員に「ベルリンに行きたい」と伝えると、時刻表をA4の紙に印刷してくれました。見てみると、明朝朝5時。すげえドイツ!「ベルリンに行きたい」と伝えたから、その時間を教えてくれる。当たり前で合理的。日本なら「えー、もう電車無いですよ」とか言われるところを、ドイツでは「質問に忠実に答える」わけ。いいとか悪いとかじゃなく「ドイツ、すげえ」と思ったのでした。
なおそのときはレースパス持っていたのがラッキーで(しかも一等車だからまず座れる)、またドイツの国鉄の駅に掲示してある時刻表は行き先の主要駅の時刻も書いてある。必死に「出発」と「到着」の時刻表を見ると、、、ケルン行きは24時間走っていて、ケルン着3時、ケルン発4時に乗ればハノーファーに戻ってこれる!てなことで初の海外出張、初のCeBITは、会期初日にいきなり夜行列車で夜を明かしたのでした。ちなみにそんなことがあって以来、「ドイツはとりあえず何とかなる」と思うようになったのです。
さてCeBIT2004が終わってから、ITmediaで記事を不定期に書かせてもらえることになりました。主に海外ネタ。しかし海外ネタなんて当時日本で流行りません。「日本のiモードは世界一」そんな時代です。ましてやまだiPhoneも出ていませんから。毎月記事を数本書くのがやっと。今思うとあのころは毎日何をしていたんだろう、、、
ところが2004年の12月に、日本でボーダフォンが3Gサービスを開始します。用意された端末はノキア、モトローラ、ソニーエリクソン(海外モデル)。iモード機になれていた日本にいきなり海外端末です。しかもスペックは低いw「なんじゃこりゃ」と多くの日本のライターさんも思ったはず。記事を書こうにも性能低くて特徴書けなかったと思うわけです。
ところが自分はこれらのメーカーの製品を長年見てきていましたから(実際使っていたし)、記事がサクッと書けたわけです。このころからようやく「海外端末ネタ」の需要が増え、会社を辞めて約1年半かかりましたがなんとか仕事が増えるようになっていったわけです。いやー、Pantech Vegaの話からここまで長いぞw 後半はすいませんが有料コンテンツということで。
その後日本にも年に数回行くようになり、当初はノキアの方と仲良くさせていただき、やがてサムスンともつながりができ、韓国へもよくいくようになりました。てなことでここまでの話は「よく韓国へ行くようになった」「だからパンテックのこともよく見ていた」という話の布石というわけです。
韓国は香港から日本に行くついでに立ち寄ったり、奥さん(韓国人です)と一緒に規制したり。たまにサムスンの取材で訪問したり。2008年くらいからは韓国訪問は数か月に1回と結構行っていました。そのころ、TVをつけるとよくやっていたのが「SKY」のスマートフォンのTV CMです。
SKYはパンテックが韓国で展開していたブランド。そのころはサムスン、LG、パンテックが韓国国内3大メーカーでした。なぜSKYなのかってのは買収の歴史があるからなんですが、まあSKYも携帯電話からスマートフォンにシフトを初めて2010年春から製品を投入。最初のモデルが「SKY Sirius」、日本でも出ましたが、これってぜったいサムスンのGalaxyに対抗したネーミングでしょうね。
次に出てきた「SKY IZAR」は本体下部が透明で多色に光る美しいスマートフォン。ちなみに中古でコレクション用に買いましたが傷だらけ。美品が欲しい...YouTubeに動画があったので雰囲気見てください。このIZARの街中の広告が美しかったことを覚えています。
他にも「SKY MIRACH」などを出し(Siriusとこれはauから出た)、製品名をニックネーム的にしてヒットを送り出していきましたが、2010年年末にはスマートフォンブランドを立ち上げ「VEGA」が登場するわけです。
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山根博士のスマホ取材の裏側
香港在住携帯電話研究家、山根康宏が記事に書けない取材の裏話やエピソード、香港生活のお話などを綴っていきます。基本更新は毎週2回(火・金)で…
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