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ミオシンとアクチンの架橋について軽い妄想(筋肉がつる)というのは筋肉内のカルシウムの搬送エラー??


さて、前述の通り、筋肉細胞の本質と言える筋原繊維内に(平時にはその隣にある筋小胞体に格納されている)カルシウムイオンが流れ込んでくると、その存在がアクチンに絡みついているトロポニンが形状変化を起こし、ミオシン頭部とアクチン親和部に架橋が形成され、普段は繋がっていない箇所が結び合うこのチカラこそが筋力だ、ということになる。

それぞれの反応のドミノの仕組みを細かく見る前にこの(ミオシン頭部とアクチン親和部の架橋)について少し妄想してみようと思う。いちいち長いので、このエピソード内だけのルールとしてミオシン頭部は、単に(M)、アクチン親和部は、単に(A)と記すことにしましょう。繊維全体を言いたい時には記号は使わずに、ミオシンとはアクチンと記載します。

アクチンとミオシンの繊維は、平時には互いに干渉せずに互いの隙間を行き来することができる関係で、ミオシン上にM、アクチン上にはAが無数に並んで、カルシウムイオンの流入でトロポニンの形状変化の機会があれば、すぐにでも架橋を形成すべく虎視眈々と周囲を伺っている(実際には意思があるわけではないでしょうが)。
それぞれの繊維の先端は相手の繊維の束の中に突っ込んで存在しているので、ミオシンの先端付近のMは常にAに食いつける位置関係にある反面、繊維の根元付近のMの場合、アクチンとの位置関係によっては、Aがすぐそこにはない状態のこともある。

先に進む前に妄想したくもなるコトは、とりあえず2つ用意していて、限られた個数のカルシウムイオンが投入された時に何が起きるのか?というコト。

Q.(Aは無数に存在する中で親和性を帯びるAがわずかだけ存在するとどうなる?)

例えば、カルシウムイオンがひと粒だけ流入した場合、親和性を発揮するAがひとつだけ発生して、その一箇所だけで架橋が成立する。でも、元々、AとMが向き合っていない場所に存在しているAに作用する位置でカルシウムイオンがトロポニンに吸い付いてしまったら、どうなるだろうか?きっとすぐそこではなくても一番近くにあるMがAとの間で活性を発揮してい、筋肉全体の長さを短くしながら架橋を形成する、ということになると思う。

そこから先は私もまだよく理解して書いているわけではないのだが、架橋は、一度、形成されるとカルシウムイオンが回収されるまで安定的に架橋であり続けるのではなく、ATPをADPにしながら咥え込んだMは、その状態を維持できる時間に限度があって、再びATPを呼び込んでADPにしながら架橋形成する、というコトらしく、親和性のあるAの数に限りがあると一度、架橋ができても、後ろのMに架橋を奪われるみたいなことも起こるのではないかとも思う。(この辺の話は機会があれば改めて)

ただ、この後で筋肉の生理学的構造を細かく見ていくとわかるのだが、実際の筋肉の構造はうまくできていて、カルシウムイオンの放出される開口位置になる筋三つ組(筋小胞体ー筋小胞体がセットになっている構造)は、必ずミオシンの繊維でいうと先端付近に存在している。

実際にカルシウムイオンひと粒だけ開口部から投入というわけにはいかないだろうが、開口の強さ、大きさに応じて、カルシウムイオンは筋肉繊維内にドバッとて影響されることもチビチビと提供されることもあって、筋肉繊維内のカルシウムイオンの濃度に応じて、ミオシン先端付近に対面しているAからミオシン根元方向に存在しているAを傾斜があるような形で活性化させていき、カルシウムイオンが十分に供給されるとアクチンとミオシンがほとんど重なるほどに互いの隙間に入り込みあって繊維全体に渡って架橋を作り、これが最大の筋力ということになる?と考えて良さそうに思う。

わざわざ、全体像を話す前にこんなミクロの話をするのには、別にもうひとつたくましく妄想しておきたいから。


Q.(回収されないカルシウムイオンが発生してまう困った状態について)

筋小胞体からのカルシウムイオンの開放口は、神経からの電気信号が到達すると機械的に開口し、トロポニンCの吸引力に引っ張られてカルシウムイオンは、勝手に筋小胞体から筋肉繊維内に侵入していく。しかし、筋力が消失する時にカルシウムイオンが筋肉繊維内から筋小胞体に回収される機構ではたらくカルシウムポンプには、MとAが架橋を作る時にも使用されるATPという燃料を駆動力として必要とするポンプになっている。妄想のネタはここから。

もし筋肉内のATPが枯渇してカルシウム回収ポンプが十分に作動できなかったら?

カルシウムイオンが筋小胞体に戻れないならば、カルシウムイオンはトロポニンについていたままなので、MとAは常につながったまま(実際にはATPをADPにして繋がって、その効果が消失しても再び別のATPを動員して、加工形成を繰り替えす、、、、)みたいな事態に陥るのではなかろうか?つまり、架橋のためにMが使うATPとカルシウム回収ポンプのために必要なATPでATPの取り合いが起きることになって、いつまでたっても架橋が起きたまま。みたいなことも起こるのではないか?

例えば(筋肉がつる)みたいな状況は、そのような筋肉内のカルシウムイオンの移動障害(=ATP供給が間に合わない)みたいな事態を想定すると、合点のいくことも多いような気がしているのです。こうしたことをもちょっとちゃんと考えるには、筋肉の構造だけではなく、筋肉にATPがどのようにして供給されるのか?みたいな面倒くさい話も考える必要があります。

先は長い。つづく。

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