西脇順三郎『詩学』より

「ランボーはこの「新しい関係」を発見するポエジイを意識した時の「驚き」を「美」という言葉で表現しなかった。この「新しい関係」を創作する詩人を予言者と言っている。詩人は最高の学者だとも言っている。詩人は長く、広大に、合理的にすべての感覚の組織を攪乱することによって予言者になれるのだ、と言っている。ランボーにとっては詩の目的はこの「新しい関係」の発見だと思ったのであろう。そしてこの「新しい関係」のことを「不知」の世界とよんで、その発見の驚きを表現した。これらの言葉はおそらくボードレールの詩を読んでから、ランボーが詩人になろうとする野心をのべたものであろう。」

西脇順三郎『詩学』筑摩書房、1969年、13ページ。

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