加藤周一『日本文学史序説』より

「中国人は普遍的な原理から出発して具体的な場合に到り、先ず全体をとって部分を包もうとする。日本人は具体的な場合に執してその特殊性を重んじ、部分から始めて全体に到ろうとする。文学が日本文化に重きをなす事情は、中国文化に重きをなす所以と同じではない。比喩的にいえば、日本では哲学の役割まで文学が代行し、中国では文学さえも哲学的となったのである。」

加藤周一『日本文学史序説 上』ちくま学芸文庫、1999年、13ページ。

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