「Web3」業界 2023年の展望。『混迷の2022年、規制の2023年』
去年はWeb3業界、本当に色んなことがありました。日本を含む世界中でWeb3、NFT、DAO、GameFiという言葉が広く伝わり、ある意味キャズムを越え始めた一方、5月のTerra/LUNAショックは色んなところに波及しながら11月のFTXショックに繋がって、マーケットのセンチメントを凄まじく下げることに繋がりました。
結果、比較的マシだったBitcoinでも年初から65%下げて、その他のアルトコインやNFTだと90%近く下げるのもざらという厳しい年になりました。連鎖破綻の噂はジェネシス、DCG、シルバーゲート、Huobiなどにも広がり、盤石とみえていたバイナンスにも不安の声が上がるなど、まだまだ不安定な状況が続きます。
既存の金融のように、国による監督下に無いと、こういった危機の時に最後の引き受け手がいない、財務状況などの透明性が担保されていないので、FUDが広がり続け、取り付け騒ぎのリスクが極端に高まるなど不安定極まりないです。Web3がキャズムを越えていくためには国による規制は必須だと多くの人は感じたと思います。
一方で良い兆しとしては金融庁の監督下にあったFTX JAPANの顧客資産は無事で、日本における被害は他の国より遥かに軽度だったのは、2018年1月のコインチェック事件から5年間、日本が官民あげて取り組んできたことの成果が世界に示せたことだと思います。
ここから世界で起こることはある程度予想できます。これまであまりに自由に経営されてきた取引所に対する規制の強化、具体的には顧客資産の分別管理、KYC、AML対応の徹底、レバレッジ規制、第三者によるしっかりとした財務状況の監査、リスティング基準の明確化、インサイダー取引、利益相反取引などの禁止などなど。盛りだくさんにみえますが、日本の認可済みの取引所は既に対応済みで、これらが海外の取引所でも求められるようになると思います。これらの対応はある程度時間がかかり、その間攻めというより守りの時期にはなりますが、Web3がキャズムを越えていくためには絶対に必要なことだと思います。
一方、我々日本は世界に先駆けてこれらの対応に取り組んできた結果、FTXショックの被害は比較的少なく抑えられ、政府もWeb3を国家戦略の一つと明言し、色んな制度改革も進み、ドコモをはじめ伝統的な大企業が続々とWeb3への参入を本格的に始めるなど、かなり前向きな兆しが見えてきています。これから世界は日本を追いかける形でこれらのことが起こってくると思います。そう考えるとこれら一連のショックはWeb3がマスアダプションをしていくためには不可避な出来事であったと感じてもいます。
海外では仮想通貨の取り扱いを証券なのかコモデティなのかというふわっとした議論がまだ続くなか、日本では明確なルールが定まり、認可済みの仮想通貨取引所からのIEOも世界に先駆けて行われる準備が整ってきました。フィナンシェは2021年11月からコインチェックと準備を続けてきて、今冬にいよいよ国内3社目のIEOが見えてきました。これは日本が世界のWeb3を牽引していくきっかけにもなるので、是が非でも大成功させなければとチーム一丸となって頑張っています。
このように「混迷の2022年、規制の2023年」になると思われます。ただ規制が強化されることは、業界がマスアダプションをしていく上では避けて通れない道なので、中期的にみると凄く良いことだと思っています。これまではDAY1からグローバルとう掛け声のもと、規制が緩い国、緩い国に点々と本店を変えてという軽やかさが重視されましたが、これからはしっかりと各国の規制に向き合って丁寧に対応していく大人力が重要になってくると思います。
2023年は前半はFTXショックの後始末や規制の方向性の模索などで、モヤモヤとした相場が続くと思いますが、後半にかけて方向性がみえてきて薄日が刺してくるそんな風に予想します。24年が本格的な反転期になると思います。今年は価格に一喜一憂するのではなく「Build、Build、Build」しっかりとユーザーやプロダクトに向き合うことが重要だと思います。
これまでは出遅れまくっていた、日本が凄く有利なポジションになりました。我々が世界のWeb3を牽引するんだという気持ちで皆んなで頑張っていきましょう!
個別の予想
今年はBCG (ブロックチェーンゲーム)がマーケットを牽引すると思います。AxieやSTEPNの成功と失敗から学んだプレイヤーが次世代のBCGを創り出すと思います。1月12日にリリースの『キャプテン翼 -RIVALS-』ご期待ください!
新しいIPの創りかたとしてのNFTもホットになります。『スーパーサピエンス』『KAMITSUBAKI DAO』注目です。
その他、スポーツや地方創生など色んな領域でのDAOやNFTの活用例が増えてくると思います。
DeFi領域でのイノベーティブなプロジェクトも注目です。資産効率をいかに上げつつも過度に投機にならないか。DEXの進化は特に重要だと思います。
ステーブルコインはWeb3界に置いて極めて重要なので、ここに対する規制は先行してまとまると思います。
レイヤー2やZKロールアップ、クロスチェーン、イーサリアムに変わる新しいコンセプトのチェーンなどは引き続き凄く重要。SUIとAGORICに注目しています。
Fat Protocolという言葉が過去のものに。Androidそのものに金銭的な価値はなく、その上でのGoogle Playの手数料やSearch の広告に価値がある。Protocolそのものではなくその上のアプリケーションこそ価値があるということに多くの人が気づくと思います。
トークンの価値として、出た収益で自社トークンをBuyback & Burnするモデルが注目される。
アプリケーションチェーンに注目が集まる。
適切な規制を素早く整えた国が凄く有利になってきます。米国の規制は特に重要。2023年は明確な勝者の国が見えてくると思います。日本も期待したいです。
改めてビットコインに対する注目が集まる。マーケットの回復は間違いなくビットコインから。
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