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21年12月~本当にあったクリスマス~

【配役】

芽瑠ちゃん:主人公・芽瑠
なっちゃん:ハローワークの担当者&テレビの電話受付
沖さん:会社の社長・沖社長&ナレーション


沖さん(ナレーション):これは僕が去年、クリスマスを含めた年末に経験した事実を再構成したものです。

一昨年秋に軽度の発達障害と診断された芽瑠は、ハローワークでの応募枠を一般枠から障害者枠に変更をして仕事を探し、今日もハローワークを訪れて求人を見つけ窓口の担当者に相談をしていた。

芽瑠ちゃん:この求人に応募したいんですけど・・・
なっちゃん(ハローワークの担当者):少し待っててくださいね。会社の方(ほう)にお電話をして聴いてみます・・・
電話したところ、社長が「話だけでも聴きたいから今、会社に来てほしい」って言っていました。「服は私服のままでいい」って言っていたので、会社に行ってみてください。

芽瑠ちゃん(心の声):こうして私は、会社に向かった

SE:ドアをノックする音

沖さん(社長):どうぞ
芽瑠ちゃん:失礼します。先ほどハローワークの松岡さんから紹介していただいた田島です。よろしくお願いいたします。
沖さん(社長):お待ちしていました。まずは座ってください。

芽瑠ちゃん(心の声):社長は私を椅子に座らせると会社の冷蔵庫に入っていた缶ジュースをおごってくれた。
そして私が持ってきていた不採用となった会社に送った履歴書をコピーをし、私の経歴など15分くらい話を聞き始めた。

沖さん(社長):分かりました。ただ、もう1人面接する人がいるから、すぐには返答は出来ないので、1週間後に連絡を入れます。
芽瑠ちゃん:分かりました。ありがとうございました。失礼します。

芽瑠ちゃん(心の声):社長は「話を聞きたい」と言っていたが、事実上の面接になっていた。
ただ、私の障害を理解してくれて嬉しい!

沖さん(ナレーション):12月24日、クリスマスイブの夜。芽瑠は毎年恒例のクリスマスプレゼントが貰える生番組に電話しようと考えた。内容は「大晦日の生放送の音楽番組に好きなアイドルが出なくて、2年前の録画したものを見ようと思う」というもの。
というのも、芽瑠の住む地域は全国に系列局のあるテレビ局がないという、全国的に珍しい地域で『音楽賞レース』も・『大晦日の深夜から元日の朝まで生放送される音楽番組』も見られず、『大晦日の生放送の音楽番組』が好きなアイドルを見ることが出来る最後の生命線だからだ。つまり、『大晦日の生放送の音楽番組』に出なければ一足先にその年を終えると言っても過言ではない。

SE:電話の呼び出し音

なっちゃん(電話受付):はい、クリスマスプレゼント生放送オぺレーターセンターです。

SE:電話が切れた音

芽瑠ちゃん:もしもし、もしもし・・・

沖さん(ナレーション):芽瑠は、電話がつながったことに驚いてしまい間違って電話を切ってしまった。その後、何度も子機とスマホでかけ直したが繋がらず、その年の生放送が終わった。
そして、会社を訪れて社長が話を聞いてから1週間後の12月30日。芽瑠は1週間経っても電話が来なかったので、会社の社長に電話をしてみた。

SE:電話の呼び出し音
沖さん(社長):はい、沖です。

芽瑠ちゃん:突然すみません。先週そちらに伺わせていただきました田島です。
1週間経っても連絡がなかったので、お電話させていただいたのですが・・・。
沖さん(社長):この前はどうも。あなたを採用することに決めました。
なので、1月5日に出社してください。
芽瑠ちゃん:分かりました。ありがとうございます!よろしくお願いいたします。失礼します。

芽瑠ちゃん(心の声):よかったーーーーー!!!!!!!!!!!

沖さん(ナレーション):事実上の面接となっていた面談で、社長は芽瑠の特技であるワープロ・表計算などのパソコン操作を評価し、採用を決めた。

芽瑠ちゃん:私は入社してから今月で1年になります。発達障害を持っている私を受け入れてくれた社長には感謝しています。ミスをしても社長は怒らずに「慌てなくてもいいからゆっくりやればいい」と言ってくれて、この会社でよかったと思っています。

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